第4話 天才兵法家の若返り異世界生活

3話はまだ途中です。本エピソードは4話の内容です。


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 あなたは、79歳の老人。


 あなたは戦国末期の兵法家だった。幼いころに父親を殺され、剣の修行に明け暮れた。

 

 復讐のために何が必要か。

 真っ向から向き合い「盲亀もうき浮木ふぼく優曇華うどんげの花」などと言うのは講談の話。相手に気づかれないように近づき、気づかれないように刀を抜き、一刀のもとに切り伏せる。


 不意打ちの剣術を、あなたは突き詰めた。


 普段と変わりなく歩き、変わりなく腕を振り、そのまま相手の喉笛をかっ切る。同時に刀身を血振るいし、納刀。この一連の動きを、いかに素早く行うか。


 居合、とも呼ばれる。


 この頃は、ただ、とてつもなく速い抜き打ちだった。


 あなたは仇の居所を突き止める。常に3人以上で行動しているようだった。茶屋をひやかして出てきたところ、あなたは仇の横を、何気なく、物見の途中のような気軽さで抜けた。


 ――それで終わりだった。


 談笑していた3人のうち、一人が喉を押さえて地面に転がる。首の周辺から血が溢れだし、ほどなくして絶命した。掛け声も剣戟の音もない。そんな仇討ちだった。


 あなたは廻国修行に出ると、この技術を惜しみなく教え、無数の弟子を育てた。この不意打ちから身を守るには、同じ技を習う他なく、兵法家はこぞって習いに来た。


 よわい80を間近に、老齢でありながら矍鑠かくしゃくとしていたあなたは、供も連れずに再度の廻国修行へ出かけ、森で土砂崩れにあい、抵抗の間もなく流され。


 ――そして、女神に出会った。[了]

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