転生者よ死に候え

甚平

第1話 電車にひかれたけど、チート能力で天下を取る。

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 あなたは、15歳の少年。


 母親はあなたが生まれて間もなく他界し、父親は、あなたが8歳の時に病気で亡くなった。自力でトイレにもいけなくなった父親を、夜通し介護した日を覚えている。


 遺産の相続で、おかしなことが起きた。

 

 息子である、あなたが受け取るべきものが、親族の手によって勝手に分けられていったのだ。それが法的に正しいのか、それとも、のか、それは当時のあなたには分からなかった。ただ、分かったのは、


にされた)


 どう大人たちが隠そうと、その事実は理解できた。

 あなたは思った。世の中と言うのは、往々にしてがまかり通る。それなら、自分もそちら側になろう。どいつもこいつも、やろうと。


 有名私立校への推薦入学を決めたのは、その過程に過ぎなかった。


 居候先の子供から恨みを買うのも、あなたは織り込んではいた。それはそうだ。子供らしい振る舞いをしつつ、家事を手伝い、親の用事にも喜んで付き合う。それでいて有名校へ進学するあなたと比較され、向こうは劣等感を感じるだろう。


 それでいい。そうやって不良にでもなれば、ますます自分は比較対象として持ち上げられるし、悲劇の主人公を演じられる。


 ひとつ誤算があったのは。


「お前さえいなければ」


 推薦入学生は、高校へ直接届ける書類があった。あなたは駅のホームで電車を待っている。吐く息は白く、ちょうど、雪がちらついていた。がたんがたんと音をさせ、線路の向こうから電車が近づいてくる。


 あなたは背中を押され、つんと金臭いにおいを嗅ぎ。


 ――そして、女神に出会った。[了]





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