第2話


「ん……」


「おはよう。でも、もうこんばんはの時間かな?」


「え……?」


 時計を確認すると短い針が6と7の間にあった。

 一瞬朝の6時かと思ったが、結葉の言葉から、すでに夜の6時だったと分かる。


「最近起きるの遅いね。昨日も遅くまで起きてたの?」

「ん~、どうだろ……。あんま時間は気にしないでゲームやったり、ぼーっとしたりしてるし」

「あははっ。柊の怠け者め」


 おでこを指でつつかれる。


「うわっ」

「そんなんでふらつくなんて、もやしさんだね。怠け者もやしだ」

「やめてよ、そのあだ名。……ん? ……なんか腕が痺れてる」

「変な態勢で寝てたんじゃないの? しばらくすれば治るよ」

「だよね。でも……なんか腕に力が入らない……」

「分かる分かる! 腕が痺れると感覚もなくなって変な感じだよね」


 変な感じ……。

 確かに、なんか胸の辺りもモヤモヤしているような気がする。

 身体がまだ起きてないからかな?


「でも、今の状態だと健康に良くないので、お姉ちゃんは心配です」

「どうしたの、急に」


 結葉はお姉さん風を吹かせながら腰に手を当て、控えめ……スレンダーな胸を張っている。


「あっ、なんか失礼なこと考えてたでしょ? えっちなやつめ」

「か、考えてないよ!」

「ふふっ。冗談だよ。でも心配なのは本当。あまり家にばかりいても身体的にも精神的にも良くないと思うし、夜になったら外に出てお散歩しようよ! 特に夜中だと人もいないし、最高だよ? 最近私も夜に散歩してるの!」


 ボクとは対照的で、なんだかんだ外が好きな結葉。

 たしかに、最近運動不足気味で、ちょっとのことでふらつくことが多い。

 別に学校に行くわけじゃないし、夜だと人通りがほとんどないのも確かだ。


「うん。じゃあとりえず、今日散歩してみよっかな。カップ麺の買い置きもしておきたいし」

「うん! 行こう行こう! ご飯はもうちょっと健康的なものを食べてほしいけどね。ふふっ」


 自分の提案が通って満足気だ。

 夜中まで時間があるので、適当に時間をつぶして過ごすことにした。

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