【第8章】決戦! 魔法少女‼
第1話
ここは銭湯の待合室。
いつものように銭湯の仕事に真剣に取り組んでいた。なのに……
「あの……ここから降ろしていただけますか?」
爽やかスマイル全開の俺。
「無理です♪」
同じく爽やか笑顔でそれに答える杏沙。
「そろそろ身体中の血が頭に集中して爆発しそうなんですけど?」
「うん♪ それで?」
「あの……その手に持っているのはなんですか?」
「これはバットです♪」
「あの……なんで笑顔のまま大きく振りかぶっているのですか?」
「そこにボールがあるからです♪」
「僕はボールではありません。新斗です」
「うふふっ♪」
「えへへ……」
まるで英語の授業のような会話を繰り広げているが、現場は殺伐としております……。
状況を簡単に説明すると……俺が殺される5秒前です。
OK5(オーケーファイブ)です。
目の前には依然として貼り付いたような薄気味悪い笑顔でバットを構える杏沙。
俺にいたっては、身体を布団で巻かれた状態で、頭を逆さにして宙吊りの状態だ。
「では、ボール……いや新斗。なんでこんなことになってしまったのか説明できる?」
「えと……いつものようにお風呂掃除をしようと女風呂に入りました」
「それで……そこで何を見ましたか?」
「一糸まとわぬ杏沙さんと一葉さんです」
「うん。それも十分処すに値するんだけど、そのあと何をしましたか?」
「そのまま普通にお風呂掃除を始めました」
「なんで私たちがいるのに何食わぬ顔で掃除を始めたのよ⁉⁉⁉⁉⁉」
貼り付いた笑顔が急に鬼の形相へと変貌。
「二人がいることに気付かず入っちゃったのは悪かったよ。俺も考えごとをしてて、ぼーっとしちゃってたし。でも、あそこで逃げたら、本当にやましい感じになっちゃうだろ? だから正々堂々と掃除に徹しようかと思いまして。だから反省はしているが後悔はしていない」
「なにいってだおまえ⁉⁉⁉⁉⁉」
「杏沙さん、言葉が変になってますよ?」
「お前の言動の方が変に決まってるだろぉおおおおおおおお!」
「んぎゃーーーーーーーーー‼‼‼‼」
バコッ!
とある島の銭湯で、鈍器で何かを殴る重々しい打撃音と、一人の男の叫び声が響き渡った。
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