ひきこもり少女の冒険譚
柚乃原 暦
プロローグ
初めまして。
わたしの名前はユアと言います。
みなさんは、こんな話を聞いたことがあるでしょうか。
むかしむかし、あるところに、わるい魔王がおりました。
わるい魔王はいつも暴れていて、人を困らせていました。
そこに勇者があらわれ、魔王を倒してくれました。
世界は平和になりました。
めでたし、めでたし。
……みたいな話。
これはヒルザ王国に伝わる昔話で、小さい頃から寝る前に聞かされていたので、わたしはよく覚えています。
でもこんな話、所詮は昔話だし、架空の話だとみんな思っていたと思う。
わたしもそう思っていたし。
「勇者様、勇者様!!次の街が見えてきたみたいですよ!!」
でも現実というのは、思いも寄らない出来事が起きてしまうもの。
そう痛感したよ。
まさに【事実は小説よりも奇なり】です。
なんでわたしがこんな目に遭わなきゃいけないの?
出不精で、ひきこもりで、運動神経も悪い、何の力もないはずのわたし。
いや、本当に何の力もないんだけど……。
自他共に認めるか弱いわたしがどうして……。
「勇者様?聞いてます?」
「ご、ごめん。ちょっとボーっとしてて。あはは……」
どうして、魔王を討伐する【勇者】に選ばれてしまったの?!
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1話は19時に公開予定です!!
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