181 何気ない会話において

 こんにちは。


 暑い。本当に暑い。冷たい飲み物が苦手な私がお茶に氷を入れて飲んでいる。そして寒いのが苦手なのにクーラーを使用している。真夏でもジャージを着ている私が、ですよ?(しらんがな)

 きっと今年は例年よりも急速に暑くなってしまったものだから、徐々に暑くなって体が熱さに慣れるという段階を踏んでいないので暑さに耐性が出来ていないのでしょう。

 ぶっ倒れるよりはマシなので、氷もクーラーも活用しますが。


 でも暑くなって良い事もある。何がって、ぬか漬けが美味しいのです!

 もーね、ほんと何も変わっていないのに、おいしさの感じ方が全然違うのです。母親にも「今のぬか床の味が一番好き」と言われた。いや、それは気温のせいです。何も変わっていません。

 食卓に出したぬか漬けも飛ぶように無くなる。ゲンキンなもんですよ、ほんと。寒い間はそんなに食べなかったのに。

 そりゃ、食べてくれた方が良いんですよ?でも365日休まずに漬物を出している身としては複雑です。出来るだけ減塩で、血圧が高くても美味しく食べられて、腸内環境も良くなるようにと思って作っているにほとんど箸を付けないし、時々買ってきた奈良漬を出すと味が濃いからそればっかり食べる。人の分を残そうなんて考えも無しにバカバカ食べる。まぁ父親の話ですが。


 美味しい物を食べてしまうのは仕方がない話ですが、奈良漬に至っては、多分私が漬けたと思ってここぞとばかり食べて褒めるんですよね……。邪魔くさいから買ってきたものだとは言わないけれど。

 一度も言っていないわけじゃないんですよ。買ってきたものだって何度も会話に上がっています。

 奈良漬けは特殊な酒粕が必要でそれが手に入るタイミングでないと漬けられないし、そもそもまだ自分で漬けてみたいとは思ったことは無いのです。それでも奈良漬けの漬けダレがぬか漬けの味付けをするのにちょうど良くて、定期的に大好きなお店の物を買ってくるのです。

 そういう話もしているのです。でも耳に入っていない。

 

 最近思うのだけど、円満な会話が出来る条件と言うのがあって、もし出来ないのであれば、ある程度の訓練が必要だと思うのです。

 どんなものかと言うと、


・その場にいる人たちの会話は、自分に向けられている会話以外も耳を傾け、会話の流れをちゃんと理解する ……他の人たちが散々盛り上がった内容を新たしい話の様に持ち掛けられても、自分が輪に入ってなかっただけの話

・言葉にする前に一度、聞いた人の気持ちを考える ……やり過ぎると話せなくなるけれど、イメージするのは大切。言わなくていい事のブレーキになる。

・その場にいない知人、タレントや芸人、スポーツ選手などを馬鹿にした発言をしない ……人を落としても自分の価値は変わらないし、嫌な気分しか残らない

・「どうでもいい」「なんでもいい」という言葉を投げやりなニュアンスで使わない事 ……それは選択権を与えているのではなく、選択権を失くしている行為

・言う必要のない事を言わない事 ……もう反省している人に反省を促すとか、どこが悪いか気が付いている人にダメだしをするなど

・言われて嫌な事を言う行為を積み重ねない事 ……必要な事もあるけれど重ねすぎると、良い内容の話であっても条件反射で嫌悪を感じてしまうようになる

・誰も解決できない愚痴の割合を少なくする事 ……災害や時事問題はどうしてもあるから仕方がなけれど、共感の容量は決まっている

・言葉選びをするレベルを一段階上げる事 ……「情けない」を「期待している」とか「応援している」に変えるなど、言いたい本質がブレない又は適格な言葉に変更する。若者なら「怠い」「ヤバい」など。


 まるっと言うと

「言うべきでは無い事と言ってもいい事を、口に出す前に選別できる事」と「話を聞く事」が大切で、すなわち「想像力の筋力をつける」という事なんだうなぁと思う。

 箇条書きにするとものすごく邪魔くさくて難しい事の様に感じるけれど、たいていの人は何も考えなくても自然に出来ているんだと思う。

 そしてこれが自然にできている人は、世の中において日々変化する差別などの価値観のアップデートを自然に吸収している。それはアンテナを張っていて、想像力の筋力も十分についているからだろう。


 会話は、次から次へと話題をふる事が会話なのでは無く、どれだけ言わないかが大切。言わない方が良い事が実際は多い。

 口に出さない部分と言うのは、会話をしている者同志が言葉と言葉の間にある行間をイメージで埋めて成立する。言わないと分からない事ももちろんあるけれど、ほとんど言わない部分に真実がある。

 指示や連絡事項、やって欲しい事など仕事の内容は絶対に言わないといけないけれど、今話題にしているのは「楽しい会話」「何気ない会話」というカテゴリーにおいての話です。

 話題の矢がどんどん降り注げば降り注ぐほど、矢から逃げてしまう。から回ってしまう。そして会話が邪魔くさくなって何も話さなくなる。

 会話は聞く事。自分に対して話されていない内容もちゃんと把握する必要があるというのを理解する事だ。そして会話が必要ない時だってある。それで十分な時。


「沈黙は金」と言うけれど、ほんとうにそうだなぁ、と思うのです。そして、ここぞという時に言うべきことを言ってくれる人は優しい人なんだな、って。

 それはまた別の話。

 

 

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