171 落語のアニメを見たその後

 こんにちは。


 例の落語のお話、とりあえず二周しました。

 ちゃんと最後は「良いお話を見たなぁ~」の感想で終わる事が出来ました。感想は色々ありますが……書きたいけれどネタバレもなんなので、詳しくは書かないのですが……


 思い出したことが一つ。

 昔見た占いで私の開運が「落語を見ること」だったのです。でも興味が無かった。興味が無かったと言うより、意味が分からないという固定観念から抜け出せなくて見ることは無かったです。

 小さい頃は、よく祖父母の家にお泊りしていたので、落語がテレビやラジオでかかっている事があり、身近な存在ではありました。でも、噺家さんが変な声出した!とかそういう所の笑いは収録で聞こえてくる笑い声と重なるのだけど、全く分からないところがある。昔の洒落みたいな言い換えが子供に分かるはずもない。文化とか言い替えとか人間関係とか、いろんな事を理解できて初めて笑えるもの。笑いって教養なんですね。

 落語じゃないけれど「東海道中膝栗毛」なんて言われても膝栗毛の意味が分からない。いや、習ったからわかりますけどね。でも分かっても、へぇ~とは思うけれど面白い!とはならない。身近な言葉じゃないから。

 今回のアニメでも「居残り」という落語のオチの「ごま塩ですから」が、お話の流れから「騙されやすい人」「頭の悪い人」「抜けている人」という感じだろうなぁと思ったけど、どうしてごま塩なのかが分からない。もちろん調べましたよね……。回答はその前のセリフ「おこわにかける」イコール「恐喝、だます人」という言葉を受けて、ごま塩で一杯食わす、という流れなんだとか。やっぱり「へぇ~」となるけれど、分かっていたとしても高座でドッとは笑えないなぁと。これがドッと笑える人たちがたくさんいた時代と現代は変ってしまったんだろう。

 それでも私は小さなころ祖父母の家で見ていた頃の理解力よりは幾分か上がっているので、お話は分かるようになっているでしょう。

 でも落語のネタは今のお笑いの様にドッと笑う事ばかりが面白味では無い事がわかったというか。ネタは基本的には洒落ていて「へぇ~」で良いのだと思う。ドッと来るのは噺家さん面白味が乗っかる事によって起こる。何より純粋に語りを聞くものなんだな、と今は思う。


 前に言っていたおじさまが「寝る前に落語を聞くんですよ、今は音源が簡単に買えますからね。良いもんですよ」と話してくれたのを思い出す。

 話のテンポやら、名調子や気持ちのいい啖呵を聞くのが名人の声と相まって心地いいらしいのだ。それを聞いた時、私は「へぇ~」くらいしか言えなかったように思うのだけど、今はその感覚が分かる。退屈で眠くなる訳じゃなく、心地よくなる感じ。

 

 ところで落語をする事……お客さんの前で演じる事?話す事?を「かける」と言うみたいなのだけど。「次の高座、どのネタをかけるの?」みたいな感じで。かけるってどこからきているんだろう。そして、この「かける」が音楽をかける、レコードをかける、に繋がっているんだろうか?「かける」が落語由来の言葉だったとしたら、どれだけ大衆に浸透していて、今でもそれと知らずに使っているのかがわかるなぁ~と思ったのです。


 お話の作り方的には、「愛されているのに愛されている事に気が付かない」というのはテッパンの物語になるんだなぁと思ったり、死んだ人が死後の世界で未練や残した想いを昇華させるかと言うのを書くのは蛇足になりがちだから、生きている間に気付かせたり改心させたり、夢や走馬灯でやんわりと丸く収めたりすることが多いのに、みっちりと死後を描き、野暮ったくも無く蛇足でもなく、すごい作品だなぁ~と思いました。きっと本当の主役は、登場人物ではなく「落語」だったから出来たのかもしれません。

 アニメ版しか完走していないけれど、何て言うか……やっぱり演者がすごいですね。ほんと。ただ落語をするのではなく「役で落語をする」という点が乗っかっているんだと思うと、果てしない凄さを感じました。


 原作もちょっと読んでみたけれど。あー、原作を揃えたい作品がどんど増えて困る(嬉しい悲鳴)

 

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