93 需要
こんにちは。
私が長年推しているうたうたいがいるのですが、彼女がテレビなどで披露するのに局から指定される曲が、昔に出した彼女最大のヒット曲ばかりで不満に思っているという発言があった。
不満というと感覚的に少し語弊があるのだけど……最終的には自分の曲と向き合ってくれる回りの人たちと触れて、前向きに納得していたようだった。
私も彼女のコピーバンドをやっているので、全く同じ感情ではないけれど、片鱗は分かる。
例えば数曲しか出来ない持ち時間の場合や、色んなお客さんが入る場面だと、どうしても最大のヒット曲を望まれる。
だから私自身もバンドメンバーも、その曲はすごくやっているのです。
リクエストされると……ですよねー、という気持ちになる。
私の場合は本人ではないから、その曲もその曲以外も作り出したわけでもないし、そのヒット曲以降の頑張りとか産みの苦しみとか活動の思いでは無いのだけど、無くても「ですよねー」と思うのだから、本人はもっと、他の曲に需要が無い事実に打ちのめされるだろうなと思う。
だって他の曲も同じように大切な曲だし、同じように聞く人に届くように活動をしてきたのだから。
最大のヒット曲以外って俄かの人々には届かないものなんですよねぇ……そしてヒット曲は時代の空気になり、匂いになり、思い出の中に組み込まれる。だから聞く人にとってはいつまでも聞きたい曲になってしまう。
作り出す側は、次々に新しい物を発信して新しい時代を生きているのに、受け取る側は使い古された物を欲しがる。
曲自体に大切な思い出なんかが乗っかってしまうから仕方かないのですが。
どこの世界でも同じようなことがあるのでしょうが。
あのお話を書いた○○先生ですよね?とか、役者さんでも、○○役をやっていた方ですよね?とか。
「いつの話だよ~、それから他も色々やっているけど?」ってなってしまう。
頑張った事と評価が比例しない場合、発信側はけっこうなストレスになのだけど、それ以外にも「私はこればっかり(これしか出来ない)やつじゃないんだ」って思いもあって。
でも逆にそれを受け入れた人は強いなぁ~とも思う。某将軍様とか、歌ネタや一発屋と言われたネタをやり続ける芸人さんとか。
その椅子というか……その需要を守り続けることがどれだけ大変か。
でもまぁ、やる側からしたら求められる問題以外にも、飽きる部分もあるんですよね……実際は。だから新しく奇抜なアレンジなんか入れたりしたいけれど、入れたら違うって言われるし。
発信側と受信側ってなかなか噛み合わない。どちらの気持ちも分かるから難しいなぁ~と思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます