茶うさぎから白うさぎへの手紙 2022

64 すごい原作

　こんにちは。

　ここ数日は、針仕事をしているので作業中にアニメを見ているのですが。そして、そのアニメの原作も最近ちょっとずつ追いかけていて。

　その作品の大ファンなんですけど、私は終盤からハマった組で、しかも巻数が多いし文字数も多くて、ちょっと後回しにしてたんです……というか、アニメの出来が良すぎて……というのもあって。スタッフもキャスティングも全部神がかっていて。

　今さらながらですが、原作を読んで今まで以上に作者のすごさが身に染みて分かると言うか……。

　私は作品にハマると原作を漫画でも小説でもけっこう読む方だと思うのですが、アニメにするにあたっての時間や話数の都合やら、30分の中に区切りが良いところまで山とオチを作って収めるために削られたり、組み替えられたり、エピソードをくっつけたり色んなパターンがあるなぁと思っているのですが、今読んでいる原作はほぼそのまま。

　シーンの切り替えや、回想に入るタイミングなんかも、ほぼ弄ってない。

　たいていの場合、映像にした時に生じる「物語を摂取するスピード感」などを合われるためになのか、鑑賞時の感情をあおる為になのか、エピソードを切り貼りされて演出されることが多いのですが、それもない。

　確かに用意されている放送枠の制約があるから、その中で何を見せるか、何を物語のゴールにするかという問題があるから、作者の技量とは違う作用が働いしている事もあるとは思いますが。

　運もあるでしょう。もちろん運の無い作者もいると思います。

　誰もが知っている昭和の名作にもびっくりするような中途半端なところで打ち切られている作品もあるし。数年前その作品のアニメが劇場化されていましたが、キャラクターのビジュアルが一新されていて、それも何というか……運なんでしょうね……。

　そういう意味でも、今私が読んでいる作者は運を持っている方なんでしょね。放送枠が足りなくなったら必死で枠を取っ手来てくれる企画・制作がいるし。

　とりあえず原作がそのままアニメに反映されている話に戻しますが、週刊誌に連載というハードスケジュールで最適解を導き出しているという事が天才だと感動するんです。

　確かに足すことも引くことも出来ない。……いや、確かに長寿作なので、つじつまが合わなくなっているシーンも多少あるのですが、それをギャグにして昇華出来る稀有な作品なので、そこも助けになっているとは思いますが。

　作品のスピード感って、確かに重要なんですよねぇ……描写も大切だけど、想像させることで埋まる事をわざわざ書くとスピードが奪われて野暮ったくなる。かといって減らし過ぎると分からなくなってしまう。それが出来ているし、映像にしても体感が変わらない。

　確かに映像にする時に、長いセリフを埋める時間に流す映像をどうするかとか、傷ついて死にそうなのに長ゼリで、苦しんだ感じで話してほしくないから工夫しないといけないとか、アニメチームも演出をすごく工夫しているのだと分かるけれど。もちろん映像にする苦労はあると思う。

　でもセリフもほぼそのまま。変わっている事の方が珍しい。そういう全てをひっくるめて、物語を書きたいと思っている側の人間からすると憧れる所ばかりで。

　まぁ、こんな天才にはなりたくてもなれるものではないですが、勉強になるところは勉強したいなと。

　ところで、これはアニメの話。でもドラマ原作になってしまうと、これもまた話が色々と変わってくるようで。

　きっと「大衆に好まれる作品作り」という事なんでしょうか。大体がご都合主義で改変され過ぎて、原作のエッセンスだけしか抽出されていない様なケースが多い気が……

　確かに日本で撮影しないといけないという最低限のルールがあるので、その部分で変更を余儀なくされることもあると思います。

　でも物語に必要ない恋愛要素を入れてみたり、原作にいない咬ませ犬を登場させてみたり、必要のない爆破とか謎めいたシーンとか。

　実写は特殊だなぁとよく思います。

　人間が演じるから、アニメや漫画の様な喜怒哀楽の演技をしようとしても天井があるから、他の事でそれを補わないといけないのでしょう。

　そして、限られた放送枠の中で、物語にメリハリのある波を作らないといけない。視聴者は大体が女性だから恋愛要素を入れて……と。

　……分かるんですけどね。

　しかしヒットした原作というのは、作者が作った特別な世界観や空気が必須なんです。

　恋愛要素が無くても続きを見たくなる、不思議な魅力。そういう所を作り上げる努力をしてほしいなぁと思っています。

　これは……業界の違いなんでしょうね。ドラマや映画になると、必要ないオリジナルキャラが出て来るやつとか。（バーターを出さないといけないとか色々事情もあるんでしょうけど）

　なんというか……オリジナルティーがある原作を実写というフィルターを通して、平均化しないで欲しいなぁと言う要望ですね。

　最近、漫画原作のドラマを見ていて、なんか取って付けたようで気持ち悪いなぁ、と思っていた要素が原作にはないというのをＳＮＳで炎上しているのを見かけて、やっぱりなぁ～と思ったので。

　知らなくて見ていても、原作者の作っていない異質なものってなんか臭くて分かるんですよね……不思議なことに。

　とにもかくにも、他媒体が作られる原作ってすごいな！って事です。もっとリスペクトして作ってほしい！

　どんなにほそぼそさ書いていたとしても、物語を書く人たちにとっては他メディア化は憧れですよね～