65 個展に行って思ったこと
こんにちは。
今日はある作家さんの個展に行ってきました。絵を描く作家さんです。
縁がある絵があれば欲しいなぁと思ってはいたのですが、絶対に良いな!と思う絵ばかりのはずなので、個展が始まってすぐに行ってしまうとあれもこれも欲しくて困ってしまう……ということで最終日にお邪魔をしたのです。
前もってもネットでじっくり見ないように気を付けて……だって、これだって思う絵を見つけてしまったら、他は目に入らなくなってしまうし、それがもし売り切れていたらがっかりしてしまうから。
興味津々なのに興味のないフリで自分に演技して、細心の注意を払って今日まで過ごし、やっと絵をじっくりと見てきました。
その画家さんは鮮やかな色彩で動植物を描く方なのですが、今回はフクロウと花がメイン。
やっぱりと言うべきか、当たり前の話なのだけど、肉筆画と言ったらいいの?原画?生の絵は別格ですね。キラキラしていて、透明感があって立体的で。印刷や写真と違って、なにか一枚「魔法のベール」のようなものがかかっていて、よりクリアに見えると言うか。
会場は大きな画廊ではなく、雑貨屋さんの一角。三歩ぐらい下がって見たら、今回の出展作品が全て見渡せるくらいのスペースです。
日常的に飾りやすいように、小さな額に飾られた作品から大きくても四つ切くらいだっただろうか?
そのほとんどがもう行先が決まっていただけれど、ハイビスカスとフクロウが描かれた作品がまだ残っていて、一目で気に入ったので、それをお迎えしてきました。
行くときは、欲しい物があっても高かったらムリだなぁ~とか、悶々としてたのですが。行ってみたら、驚くほど安い!
その雑貨屋さんの店主さんともお話をしたのだけれど……安いよね~と。
私も布雑貨を作っているので、よくわかるんだけど、値段を付ける事のむずかしさよ。
イラストだけ描いて後はそれを業者に送ってグッズ注文とかじゃなく、一点ものの場合、はっきり言ってそれで生計を立てる事は、ほとんどの作家は無理だと思う。
その一つを作るのにすごい時間や、その技術を習得するまでの期間に、失敗作の経費も全部を一つの作品に乗せるなんて無理だから。
どんなに筆が早い人だって、その構図を考える時間から、画材を買ってきたり、合わせようと思っていた額がイメージ通りじゃなかったからと買い直したり、その買い出しの時間や移動費や……手数料というか、「時給換算」したらヤバい事になる。
布物だってパターンを書いて、試作を繰り返して、イメージ通りの材料を求めてお店を回ったりして。作るのも、躾縫いをして縫って躾を解いてアイロン掛けて……。出来上がった物と人件費のバランスは基本取れない。
一点物は、それだけの時間や手間をかけて作っているのに一個は一個。一個売れたら同じものはもうない。当たり前だけど。
なのに安いって!!
値段を付けるとき「この値段なら買ってもらえるかなぁ……」と「材料費と手間を考えたらこれくらいは必要だなぁ」のせめぎ合い。
確かに、私は幸運なことに「材料費はこれだけなんだから、その金額で売れよ」というハンドメイドは安いと思いこんでいる頭のおかしいお客さんに会ったことは無いし、逆にちょっと高いかな?という値段を付けても買ってくれる方がほとんどです。
店主さんによると、前回の個展の時はもっと安かったのだけとか。それで安すぎますよ、とアドバイスをして今回のこの金額。それでも私は安いと思った。店主さんもまだ安いと思うと。
自分では「頑張れば出来る」事だから、価値を低くしてしまうんですよね……わかる。
でもそれは才能だからなぁ。
私は絵が描けないから、どんなに頑張って修行しても絶対同じようには描けないし、描ける日が来たとしてもそれは膨大な時間と画材を無駄にした後の事。
私も、どうしてミシンをカーブに沿ってかけられないのだろう?とか、裏返す時、角を潰さないように出来ないのだろう?とか思っていたけれど、それは私には簡単だけど、それが難しいと思う人だっているという事だ。(でもなぁ。仕事を丁寧にするだけの事なのだけど)
……と偉そうに言っているけれど、人の作品は良し悪しが分かる。でもいざ自分のものとなると……。
人の作品の場合、特に私も一点物の作家だから、その儚さとか、大量生産できない辛さとか、時間との闘いとか……そういうものを自分と重ねてしまうので特に、値段は作家寄りの価値観で判断できるので安い!とジャッジできるけれど、自分のものとなると正確なジャッジは出来ない。
とりあえず、絵が描けるという才能で作り出された、素晴らしい作品を安価で手に入れる事が出来たので、私は少しでも描いた方に私が気に入っている事が伝わるようにSNSに公開する事くらいしか出来ないので、それをします。
公開してファンが増えるのも期待するけれど、それよりも描いた作家さんの承認欲求が満たされる様に。本当に作家にとってこれが大切。
だいたい、作家は寝ずにやってしまうもだから……。無理をした向こう側の作品なんですよね……
しかし南の島が好きな私に、その絵が残っていてくれたことに運命を感じる。春だから春っぽいの花の絵が売れたんだろうか。
秋の葡萄の絵と赤いハイビスカスの絵と迷ったりだけれど、葡萄の絵は額が丸かったから、置きたい場所が丸は置けないから四角いハイビスカスの絵にした。
その他は殆ど売り切れ状態でした。
次に個展がある時は、買いにくい金額になっているかもしれないなぁ。でもその方がいいなぁ。……消費者としてはそれなりに複雑ではあるのですが(笑)
ハンドメイドも絵も、作家はいつやめてしまうかわからない。いつ興味が別のモチーフになるかしれない。
だから好きな作家さんがいる時は、全力で承認欲求を埋めないといけないし、作品に見合う金銭的見返りを手にしてほしいと思っている。
小説も漫画もそうですよね……
エタらないように、火をくべないといけない。
……私の場合はくべてくれる人がいないから、自家発電しないといけないのですが。
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