境界の箱庭

維 黎

世界

 抜けるような空という表現がぴったりな晴天

 暖かな日差しが注ぎ、かすかに髪を揺らす風には、わずかながら潮の香

 車で小一時間ほど走れば一周してしまうような小さな島

 ここが

 これが少女の"世界"

 ここ以外は知らない

 "世界"は終わったのだ、と言われても


 空を見上げる

 白く輝く太陽が"世界"を真っ白に染め上げる

 少女は眩しさに目を閉じて、太陽に手のひらをかざす

 ゆっくりと瞼を開けば、"世界"は先ほどと変わらず瞳に映る


 少女は一つうなずくと

 "世界"に向かって手を振った


 

 

 

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