サボテン

ももいくれあ

第1話

真っ白いベッドが届いた。

部屋じゅうに広がった、

 ホクホクの笑顔だった

南向きの日差しを浴びた

新聞が色あせた

クシュクシュと風をうけて、

心地よい音(リズム)だった。


 赤ん坊の叫び声、

 ヨチヨチ歩く後ろ姿、

 長すぎた帰り道、

 ランドセルも小さくなった、

 ショートカットもなじんできた、

 水着の跡が消えなかった、

 何回か傷ついた、

 ニキビの跡が消えなかった、

 誰かを好きになった、

 優しさが傷つけた、

 心のトゲが消えなかった、

 みんなもトゲをもっていた、


一日中夜だった。夜だったらいいのになっ。

一日中雨だった。雨だったらいいのになっ。


隙間なんてないくらい、

壁じゅうにはりつめた、

涙がポロポロでちゃうけど、

苦笑いの毎日だった。

真っ赤なソファーが欲しくなった。

もう、どこにも置けなくなった。

買ったまま、しまっておこう。

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