どうすれば義理の妹のおっぱい(←Fカップ)を揉むことができるか理系の俺が検証したところ、返り討ちにあった

島風

第1話義妹のおっぱいが揉みたくなった

一縷の望みをかけて、自身の最大の願いを込めて。


たとえ万分の一の確率しかなくとも、この願いが叶うなら。


俺は僅かな希望を込めて、妹の天津風 陽葵に渾身の土下座を披露していた。


そして、張り裂けそうな胸をこらえ大声で叫んだ。


「陽葵のおっぱい揉ませてくれ!」


俺、天津風 蒼。高校二年生、俺の残念な青春の1ページがここに刻まれた。


俺は人並みの性欲はあるが、年がら年中、女の子の胸を揉みたいとか、絶えず360度女の子の胸をチェックしているような危険人物じゃない。むしろただのボッチで、安全なヘタレだ。


しかし、今、俺は妹の胸を揉みたいという衝動に激しく駆られていた。


何故俺がこんなマジキチの境地になったか。


それはともかく。


「わかったわ、お兄ちゃん。おっぱい揉んでいいから、その代わり」


「……。え?」


俺の切なる願いが叶った瞬間だった。


改めて言おう、俺は妹のおっぱいを揉みたくて揉みたくて仕方がないと言う変態じゃない。


こうなったのには経緯がある。まず、それを説明させて欲しい。


あれは中間テストの前のことだった。


俺は想い人で幼馴染の海老名 花蓮にLI○eのメッセージを送って、学校の屋上に呼び出していた。もちろん告白のためだ、わかるよな? このシチュ?


そして、そこに綺麗な黒髪をなびかせた花蓮がやって来た。


海老名花蓮。小学生の頃から何度も同じクラスになったことがある幼馴染の女の子。


俺が唯一時々話せる女の子。多分初恋だろう、彼女への興味は尽きない……なんで興味があるのかって? 統計学的に顔もスタイルも偏差値が高いからだ。論理的にそうなのだ。幼馴染である点はあまり興味はない。


「か、花蓮! お、俺とつきあってください!」


「は? あり得ないでしょ?」


俺は唯一の女友達で、女子偏差値の高い花蓮に思い切って告白した。


子供の頃から何度も話していて、お互い気安い間柄だった。


これはもう、お付き合いしていいだろう?


俺は論理的で数学的で統計学的に判断してそう思った。


だが、彼女から帰ってきたのは、あっさりした拒絶。


意味わかんないだけど? 論理的にあり得ないだろ?


「用件はそれだけ? じゃ、私は用があるから」


そう簡単に告げると邪魔くさそうに帰ろうとしていた。


「えっ? 嘘だよな? そんな……俺たちあんなに仲良くしてたじゃんか? だからさ、もうちょっとさ……話そうよ!」


「はぁ!? 何言ってんの? あんたなんて唯の腐れ縁でしょ! 風紀委員の私に迷惑かけてさ、対処してただけなのに、何勘違いしてるわけ?」


そ、そんな……


俺は花蓮のことで頭がいっぱいで夜も眠れなかったのに……


「きもいわね、あなた私のことそんな目で見てたの? わかってよかったわ。二度と近づかないでよね。じゃ、バイバイ」


花蓮はそのまま行ってしまった。初めての告白。俺の初恋は失敗に終わった。


いや、問題はそこじゃない。どこで計算を間違えた?


俺は理系人間なんだ。どこが計算違いなのかが気になる。


そして失意の中、中間テストの発表があった。


「11位みたいだな。屈辱だ、文系が苦手とはいえ、10位圏内から落ちるとは」


俺は超理系人間だ。全ての事象は数字と方程式で解決できると信じている。


そう思っていた。故に文系というモノに必要性を感じていない。


決して文系が苦手だから負け惜しみで、本当の勉強は俺が1位で、文系は根絶した方がいいとか思っている訳じゃない。


決して都合が悪いから無くなって欲しいとか思っていない。


ただ、論理的に必要ないとそう思っているだけだ。


もう一度言うが負け惜しみなんかじゃない。


「蒼、お前、また国語とか社会ダメだったんだな? いい加減文系も勉強しろよ!」


そう俺に声をかけてきたのは、理系、文系、その上運動までできるチート人間、藤堂 進一郎 だ。


確率的に彼のような明晰な頭脳の遺伝子、恵まれた身体能力の遺伝子、顔の造作が極めて運良くバランスがいいと言うだけの運がいい人間が存在する。


そう、彼は運がいいというだけの事象だ。


決して羨ましくなんてない、絶対にだ。だから、反論しておこう。


「いや、俺は理系人間だし、文系に価値を見出していないだけだから」


「いや、お前、理系の成績も俺より悪いし、別に理系に向いてないぜ」


な・ん・だ・と・?


俺が理系に向いていないだと?


「それに、勉強ばかりしてないで、女の子とデートするとか青春も謳歌したら?」


「いや、俺は理系だ。恋とか数値化できんモノには興味はない!」


はっきり言い切った。いや、決して振られたばかりで、俺がモテないからとか、負け惜しみなんかじゃない。


「ふ〜ん。じゃ、俺、今日は花蓮とデートな。だから後よろしくな。俺、今日決めるぜ、はは!」


「な!?」


これだけはわかった。これが悪意のある台詞だと。


わざわざ珍しく藤堂が俺に声をかけてきた理由。


俺が振られた相手の女の子とデート? それをわざわざ言いに?


ヤツはことあるごとに俺に難癖つける。馬が合わないというヤツだな。


ああ、でももう白状するよ。


俺だって花蓮と両思いになりたかったさ! 放課後デートして、週末は遊園地とか水族館とかでデートしてなぁ! それから、おっぱい揉みたかったぁああああああ!


俺は意中の人をクラス一の秀才でイケメンの藤堂に奪われて、ヤツはわざわざ俺に屈辱を味合わせるために話しかけてきて。


勉強も意中の人でも負けて、俺は失意のもと帰宅していた。


その途中。


「陽葵?」


そんなことを考えながら自宅までの道を歩いていると、一人の銀髪の少女が何人かの不良っぽい奴らから絡まれているっぽい場面に遭遇してしまった。


彼女の制服は同じ高校のものだ。そして良く知っている顔だ。


天津風 陽葵


銀色の綺麗な髪、幼さを残すも美しい容貌、そして制服の胸の部分を大きく盛り上げる抜群のスタイル。


兄の俺から見ても、陽葵は学校一の美少女だった。妹だけど。


兄として当然の行動。まず俺は冷静に事象を観察する。


どうも、ナンパにあっているようだ。相手はあまりお柄が宜しくない。


陽葵は美少女なので、結構こういうことはある。


過去何度か助けたことがある。


「これは、警察じゃなくて、声かけて警告するだけでいいな」


俺はこのナンパ師たちを甘く見てしまった。いや、見た目だけじゃ人間わからんものだ。


そう思うと陽葵の方へ近づいていった。


「や、止めてください。わ、私、あなたとなんか付き合いたくない!!」


「へへ、そんなこと言うなよ。俺の知り合い、めっちゃイケメンなんだぜ!」


いや、それだったら、そのイケメン連れて来て、お前は去れよと心の中で突っ込んだが、


「や、止めて、お願いですから!」


陽葵は本気で嫌がっている。声色からかなり恐怖を感じているのだろう。


陽葵は真面目すぎる性格からか、こういう手合いのヤツらを上手くあしらえない。


俺は余計なおせっかいだとは思っていたし、助けても当たり前としか思われないとは思っていたが、妹を助けることにした。


理系人間の俺でも家族って大切なモノっていう感情位はある。


たとえ俺が妹から嫌われていて、滅多に口も聞いてくれなくて、たまに出るセリフがキモいとかバッチいとか言われていても、俺は妹を見捨てるようなヤツじゃない。


たとえ、助けても『なんでもっと早く助けにこないのよ!』とか罵声を浴びせられるだけとわかっていてもほおってはおけない。


それは俺の兄としての義務感のようなものだった。


全く打算などないが、論理的な理系的な行動。


気が付くと、俺は妹と男たちの間にわってはいった。


「ごめん、待たせたね。何? ナンパされちゃったの?」


「はあ? おに?」


一瞬驚く妹に俺はウィンクをして、合図を送った。


「ああ! はい、ナンパされて困ってたの。陽葵の彼氏!」


うん……俺の妹、大根役者だな。あと、自分の本名出すな。セキュリティが甘いヤツだ。


しかも、案の定、演技がバレたっぽい。


「お前? 正義の味方のつもりか?」


「ふざけやがって、漫画かよ!」


「いいカッコしてんじゃねぇ!」


男達は俺に殴りかかって来た。もちろん俺に対処する力なんてなく、一方的に殴られた。


また計算間違えた。


「や、止めてぇえええええ!?」


妹の叫び声が響いた。だが、幸運なことに何人か、大人の男性が集まってきた。


「君たち何をやってるんだ? ケンカか?」


大人たちは声を聞きつけて何人か集まり始めた。すると、


「やべ。逃げるぞ!」


そう言うと、逃げて行った。


俺は大人達にお礼を言うと、みな安心して去っていった。


そして、俺と妹だけが残された。


「相変わらず助けに来るの遅いわね。お兄ちゃんはもう一つ残念なのよね。もう少し早かったら得点高かったのに」


「ええっ? それが可愛い妹を助けた兄にかける言葉か? 少し位感謝しろよ。これだから文系人間は嫌いなんだ」


「私も理系人間は嫌いなのよ。本当、なんでもメンドクサイ計算ばかりして、なんで単純に心のものさしで計ることができないのかしら?」


「できない相談だな」


「あ、そう。じゃ、お礼は言わないからね」


は?


お礼すら言わんのか?


相変わらず妹の陽葵とは相容れないようだ。


何故なら、妹の陽葵は超文系人間なのだ。


理系に特化した俺に対して、文系に特化した妹。


そう、俺たちは決して相容れない存在なのだ。


もちろん、だから歪みあっているけど、助けないということはない、家族だから。


ちなみに妹と俺は本当の血が繋がった兄妹じゃない。


2年前に再婚した親父の新しい母さんの連れ子。


高校1年の時、親父が再婚して、兄妹となって、最初の1年間は仲良くやっていた。


まあ、最初はお互い仲良くしなきゃという義務感みたいなヤツだった。


でも、1年位前から陽葵と俺は反目するようになった。


まあ、兄と妹なんてそんなものだろう。


妹にとって俺は異性ではないバッチいモノという認識なんだろう。


それに加えて理系が苦手な陽葵、文系が苦手な俺。当然成績は肉薄する。


だから、俺たちはライバルでもあった。


「お兄ちゃん。中間テスト、何位だったの?」


「多分、11位だ。みなで話したけど、おそらく」


「そう、ふふ♪」


陽葵の語尾が嬉し気に上がる。


「私、9位だから♪」


「ふ、ふん。今回はちょっと、精神的にまいってたから」


ほんと、妹ってヤツはムカつく存在だ。ついさっき助けてやったばかりなのに、お礼も言わず、成績でマウント取りに来るとかな。


「お兄ちゃんも、いい加減理系、理系ってこだわらないで、文系も勉強したら、私は別にお兄ちゃんみたい文系に拘ってるんじゃなくて、単に理系が苦手なだけよ、あら?」


「どうしたんだ?」


妹に説教されてむくれていた俺だが、妹が何かに気がついたようだ。


「お兄ちゃん、顔に擦り傷ができてる」


「そりゃ、さっき殴られたからな。傷位できてるだろ。別に感謝しろとか言わんから心配するな」


「そんな心配しなくても感謝なんてしないから……そういうことじゃなくて」


妹はそういうと、何やら自分の鞄をゴソゴソする。


「お兄ちゃん、少し屈んで、顔に絆創膏貼ってあげるから、少し血が出てるよ」


「そうか、じゃ、頼む」


「―――――!!!!」


屈んで、妹が接近した途端俺は心の中で思わず叫び声が出た。


妹のおっぱい、いや、胸が目に入ったからだ。


最初にも言ったが、俺は常時女の子の胸を観察する習慣はない。


ましてや妹の胸を凝視したことなんてない。最近距離が遠かったし。


だから、初めて気がついた。


妹のおっぱいがおそらくFカップはあるだろうことに。


この1年間でかなり成長したらしい。昨年まではD位だった筈だ。


そして、目の前に胸が来て、次に妹の顔がアップになる。


陽葵って、こんなに可愛いかったのか?


そしていい香り。クラクラしそうだ。


俺は不覚にも妹に心を奪われた。


「はい。絆創膏終わり。て? 何惚けた顔してんの?……。あれ、もしかしてお兄ちゃん、私に女の子の魅力感じちゃった?」


「な!? だ、誰が!!」


俺は慌てて訂正した。誰が妹に魅了なんて……されてたけど。


「ふふ、いいのよ。お兄ちゃんが私にメロメロだって、まあ、私は構わないけどね」


妹はケラケラ笑って俺のことを馬鹿にした。


頭きた。


助けってやったのに?


これだから文系人間は!


俺は心に復讐を誓った。


決して振られた腹いせとかが乗っかっているんじゃない。


純粋に理系として文系へ正義の鉄槌を下すべき。


妹許すまじ。



俺は思案していた。一体どうやって妹の陽葵にギャフンと言わせられるか?


しばし考えて、答えは出た。


俺の明晰な頭脳が最適解を導き出す。


「陽葵の了解のもと、あのおっぱいを揉んでやる……フフ」


そう、ここで重要なのは陽葵に同意させた上で揉むことだ。


無理やり?


いや、それはただの犯罪だ。


明晰な理系の論理で巧みに騙して本人の同意の元、揉んでやる。


そして自ら胸を差し出してしまった妹を散々バカにしてやる。


完璧なアイデアだ。これなら、陽葵をギャフンと言わせることができるし、なにより。


妹のFカップのおっぱいが揉める!


俺はさっそくプランを練った。


狡猾に妹を騙す。悪魔の所業。だが、仕方ないのだ。


あいつは理系をバカにした。


あいつは兄をバカにした。


俺は振られたばかりで腹が立っていた。


あと、やっぱりあのおっぱいはどうしても揉んでみたい!


それで考えたのが、妹のコンプレックスにつけ込む作戦だ。


あれだけデカいんだ。絶対コンプレックスだろ?


だから、小さくなる方法があると言えば? 揉んだら小さくなるとか。


俺はさっそく行動に移した。幸い中間テストが終わってそのまま休日になった。


そして、今日は親父もお母さんも留守だ。


俺は妹の陽葵に声をかけた。


「なあ、陽葵、お前、胸にコンプレックスあるだろ?」


「えっ? 別に……ないわよ」


「いや、絶対あるだろ!?」


「ないわよ! 自信ならあるけどぉ!!」


こいついっつも。なんでコンプレックスないんだよ!


俺がおっぱい揉めんだろ!


だが、第二、第三の作戦はある。


「い、痛た! 痛い! お腹が痛い!」


「どうしたのお兄ちゃん?」


「陽葵、おっぱいを触らせてくれないか? 多分、そうすると落ち着くと思う」


「……嫌」


ぐああああああぁぁあ


おっぱい揉めないだろ? 黙ってやらせろ!


第三の作戦。


後ろから陽葵の嫌いな虫のおもちゃをくっつけるため、こそりこそりと近づく。


陽葵は虫をとても恐がる。虫が近くに飛んできただけでも恐がる。


虫が自分の体に止まったりなどしたら絶叫をあげる。


もし虫が陽葵の体に止まったら、俺は紳士としてこれを排除しなくてはならない。


胸に虫が止まることによって世界が平和になると言っても過言ではない。


妹を救い、俺は合法的におっぱいを揉めるのだ。陽葵は助かり、俺はおっぱいを揉める。


これはWin‐Winの関係だよな? 分かるよな?


できれば俺達はいついかなる時もそういったメッセージを、常に虫達に向けて発信し続けるべきだったのかもしれない。


しかし、偶然を待っている訳もなく、このおもちゃの虫を陽葵の胸に押し付ければ全て解決する。


これはWin‐Winの関係なのだ。


そう思い、後ろから少しずつ近づく。


しかし。


「お兄ちゃん!!」


「は、はい!?」


コッソリと気づかれずに妹の後ろに近づいたつもりだが、気が付かれてしまったようだ。


「わかってるわよ。私のこと、バカだと思ってるの?」


そう言って、自分の胸を抱きしめる。少し涙目の陽葵。


ダメだ。


終わった。


気づかれた。


しかし、なお諦められない俺がいた。


既に妹への復讐とかどうでもいい。


『おっぱいを揉みたい……おっぱいを揉みたい、おっぱい揉みたい、おっぱい揉みたい、揉みたーい……!』


気が付くと俺は妹の陽葵に土下座していた。


そして、張り裂けそうな胸をこらえ大声で叫んだ。


「陽葵のおっぱい揉ませてくれ―――!!!」


「わかったわ、お兄ちゃん。おっぱい揉んでいいから、その代わり−−−―」


「……。え?」


全てが終わったかと思った瞬間、奇跡が起きたが。


「なぜ私の胸を揉みたいか400字以内で答えよ!」


「何?」


悔しかった。絶望した。


罠にハメるつもりが罠に落ちた。


理系の完璧な作戦を全て退け、出されたものは文系の挑戦状。


それが妹のおっぱいを揉みたい理由を400字以内で答えよだ。


完全に文系の問題だ。


そして、これに答えないとおっぱいが揉めない。


答えれば文系に負けることになる。


完敗だ。答えれば理系の敗北確定、答えなければおっぱいが揉めない。


だが、驚くほど、俺の決断は早かった。


人間、計算だけではどうにもならない感情というモノがある。


俺はなぜ妹のおっぱいを揉みたいか、熱く語っていた。


「……あの時からなんだ」


「どの時?」


可愛い顔の眉を吊り上げる陽葵。


怒っても可愛いんだな、お前。


「陽葵を昨日助けた時、お前が近くに来た時」


それは事実だった。俺が陽葵のおっぱいから目が離せなくなったのはあの時からだ。


「その……陽葵の胸が目の前に来て、次にお前の顔が目の前に来たら、その」


「私のおっぱいを揉みたくてしょうがなくなった訳ね?」


「……う、うん」


ふと、陽葵を見上げると、陽葵は髪をかき上げ、勝ち誇ったように俺に。


ビシッ!!


と、指をさした。そして。


「お兄ちゃんは私に女を感じたのね?」


「え、えええええええ!? 陽葵を女だなんて!?」


「いや、昨日からしょっちゅう私の胸を凝視して、おかしいと思ってたの、そしたら」


「い、いや、これはぁー!」


俺は動揺した。俺が陽葵に女を感じたなんて。


そんな、俺と陽葵の関係が終わってしまうような気がした。


そして、確かにそれは俺と陽葵の関係を終わらせるモノだった。


「つまり、お兄ちゃんは私が、す……す、好き……」


「へぇ?」


何故かドモリながら真っ赤な顔をした陽葵がそこにいた。


「お兄ちゃんは私のことが好きなのよぉ~!」


「ええっ!」


驚いた。あまりの展開に驚いた。


確かに俺の頭には陽葵のことでいっぱいだった。


でも。俺は動転していた。


「ち、違う、俺はただ、陽葵のおっきな胸を思う存分揉んでみたかっただけでぇ!」


「嘘よぉ!! 好きだから揉みたいのよぉ! 違うの?」


違わない。


そうだ。


俺はわからせられた。


何故こんなに妹のおっぱいが揉みたかったのか?


何故俺は陽葵のことが気になって気になって仕方なかったのか。


1年前からあまり話してくれなくなった陽葵のことが気になっていた。


妹だと思おうと、そうじゃないと関係が壊れてしまうから。


どこかで心に栓をしていた。


それが昨日陽葵が俺に絆創膏を張ってくれた時に堰が切れたかのように押し寄せた。


俺は、俺は。


「男の人って、好きだからエッチなことしたいんじゃないの?」


「―――そうだよ! 俺はお前のことが好きだぁぁぁあああ!!!!!」


俺は言わされた。


完全敗北だ。400字以内にはなっていないかもしれないが、俺の完全敗北だ。


理系の俺は文系の妹、陽葵に負けた。


理系としても、異性としても……


俺は陽葵の魅力に屈した。


これから起こることは容易に察することが出来た。


陽葵から散々罵倒され、バカにされ、蔑まれる。


そして、全く気持ちがないと宣言して。


この間、花蓮振られたことを思い出した。


あれ? 俺、花蓮に振られたことあまり気にしてないな?


でも、陽葵に振られたら?


俺はガクガクと震えた。


嫌だ。……嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、絶対嫌だ……!


俺の頬には涙伝わっていた。


「……ひ、陽葵」


俺は陽葵に慈悲を、せめて慈悲をもらおうと陽葵を見上げた。


せめて兄妹の関係は修復したい。


すると。


陽葵はスルスルと上着を脱ぐと、シャツのボタンを3つ位外して、ブラのホックを外して。


「お兄ちゃん、好きなら、好きと言って。好きって言ってくれたら……触っていいよ」


顔を真っ赤にした陽葵がそう言ったのである。


俺は困惑した。


てっきり、バカにされると思っていた。


罠にはまったと思った。でも。


「直接胸見せるとかは恥ずかしいから、シャツに手を入れて触ってね」


頭にかああああーと、血が上った。


「……す、好きです」


「そんな小さな声じゃ、嫌ぁ!」


「好きです。ずっと前から好きでしたぁ!!」


「……わ、私も」


小さな声で、陽葵は俺の告白に答えてくれた。


答えはYES。


つまり、陽葵も俺のことを?


「ほ、ほんとにいいのか?」


「お兄ちゃんがそれで喜ぶなら。私」


――むにゅ。


それ以上は何も言うまい。


だが、念のため言っておくが、俺はそれ以上のことは何もしていない。


可愛い妹、いや想い人にそんな簡単に手は付けられない。


大切だから。大事だから。



あれから俺と陽葵は隠れて付き合うようになって楽しい日々を送り始めた。


だが突然花蓮からメッセージが来た。


『放課後、学校の屋上に来て』


そうして、放課後の屋上に行くと花蓮がいた。


一体なんの用だろう?


「良かった来てくれたぁ!」


顔に喜色を見せる花蓮。こんな表情は初めて見るな。


「一体どうしたの?」


「どうしたのじゃないわよ。わ、私ね」


「……?」


なんだか花蓮の様子がおかしい。


「わ、私ね。気が変わったから。あんたと付き合ってあげてもいいよ」


「はっ?」


マジで驚いた。いや、あの時俺への配慮のある振り方なら、そして、陽葵がいなければ付き合いたいと思ったかもしれない。


普通わかりそうなものだが、花蓮は微塵も俺の気持ちが分からないらしい。


頬を赤くして、待っているが、あきれて無反応になる。


「ちょっと蒼。なんなの、その無反応?」


「え? なんなのって……なに?」


何言ってんだ。あんな振り方したんだぞ?


「あんた、私が付き合ってもいいと言っているのよ!! なんでもっと喜ばないの?」


いや、もっとって、全然喜んでないんだけど?


まあ、だが一応花蓮へは配慮しよう。


「気持ちは嬉しいよ。でも花蓮の気持ちには応えられないよ」


「な! なんでよ! あなた2か月前に私に告ったでしょ!」


血相を変えて花蓮が怒る。


好きって言われたら嬉しい。でも、その気持ちに答えられないのも事実だ。


でも、花蓮は俺にグイグイと近づいて来て。


「この私が、付き合ってやるって言ってるのよ? 少しは喜びなさいよ! 信じられなくて惚けているの? だから光栄に思いなさい! ここ、泣いて喜ぶところでしょ!」


はぁ?


やっぱり花蓮は性格が悪い。


いくら可愛くても、あんな振り方の上、こんな自分勝手と呆れる自己評価の高さ。


でも、我慢して慎重に言葉を続ける。


自分がフラれた時のことを思い出した。


人の気持ちって、大事にしないといけないと思う。


「いや……でもごめん。今は花蓮の思いに応えることはできないよ」


ぺこりと俺は丁寧に頭を下げた。


「はぁ!? な、なんでよ! 2か月前は私のこと好きって言ったくせに!」


「いや、今は別に好きな人がるんだ。俺と花蓮とじゃ釣り合わないし。それに花蓮は藤堂と付き合ってたんじゃないのか?」


「そ、それは……じ、事情が変わったのよ!」


理由にならないよ。


「いいから! 私と付き合いなさいよ! 私が付き合ってあげるって言ってるのよ! 私のこと好きなんでしょ!」


花蓮まだ俺が花蓮のこと好きだと思っているらしい。


「いや、ごめん。今の俺は、花蓮をただの幼馴染としか見れないよ」


「は、はぁ……!?」


花蓮は激しく動揺しているようだ。


俺が断るという可能性を微塵も考えていなかったようだ。


それにしても、この心変わりなんだろう。


「そう言えば藤堂とはどうしたの?


「藤堂君は浮気ばっかりで、振ったの!」


「……いや、そう言われても」


「酷い振り方したことを怒ってるの? そうよね? だから断るのよね? 謝るから、だから!」


「え? いや……別に振られたことはもう気にしてないよ。別に怒っていないし」


「じ、じゃあなんで断るのぉ……! 私の告白応えないとかおかしいでしょう!」


ホント自己評価高いな。まあ、確かに外面偏差値高いけど総合的偏差値低い。


性格の酷さが残念きわまる。


「花蓮は可愛いから良い人見つかるよ。それじゃあ」


俺が花蓮に別れを告げると、突然、花蓮に手を掴まれた。


「ま、待って! お願いだから!」


俺は首を傾げざるを得なかった。


藤堂と別れたからと言って、この花蓮の突然の心変わりには不思議に思えた。


「なんで花蓮は今更俺のことを? 花蓮の言う通り、俺と花蓮じゃ不釣り合いだろ」


「とぼけないでよ! あなた期末テスト、学級で一番になったんでしょ? 模試の成績も良くて国立の大学の推薦とれたんでしょ?」


そう言えば、陽葵と一緒に勉強していく中で、俺が理系を、陽葵が文系を教えあったから、成績が凄いあがったな。


それに、国立の推薦取れたんだ。俺より先に知ってるとかすげぇな。


ていうか、花蓮の恋人の条件って。


俺はもう、陽葵のことを話そうと思った。


「花蓮、あのな。俺は陽葵と付き合ってるんだ。両親にも了解をもらっている」


「はぁ? 陽葵? それ、あなたのい、妹」


花蓮は陽葵が連れ子で血の繋がりがないことを知っている数少ない人物だ。


「……そ、そんな」


花蓮はその場にへたり込んでしまった。


最近の俺と陽葵の関係。


俺があっさり花蓮を振る理由。


それに合点がついたのだろう。


花蓮はほうけたような顔をする。


「だ、大丈夫?」


「…………」


花蓮は泣いていた。


完全敗北がわかってしまったからだろう。


「いやあぁああああああああああ! 蒼ごときに振られるとか! ありえない!!」


彼女を襲っていたのは、激しい羞恥だったらしい。


心配して損した。


そう思って、俺は花蓮をおいて帰途についた。


帰ったら陽葵とキスしよ♪


終わり

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