ひとりじめしたいっ!
初月・龍尖
わたしは姫様のことが大好きだ。
わたしは姫様のことが大好きだ。
切れ目が強くて橙色の髪も相まって気が強そうに見えるけれど実はすっごくふわふわしたお人なのだ!
そんなわたしのお姫様に婚約者ができた。さる国の第3王子でいわゆる政略結婚だ。
その王子は実にいやらしいやつだ。会うたびに姫様のことをじっくりねっとり見ている。じつにけしからん。
姫様は出るところは出ているし引っ込んでいるところは引っ込んでいる。おしりもきゅっとしまっていて佇まいが最強だ。そんな姫様を視姦するけしからんやつにわたしは待ったをかける。言葉では言えないので視線に割り込んでやる。
姫様の日々をお護りするためにわたしも鍛えているのだ。姫様ほどでないにしろ十分強いと自負している。
それから王子の視線にさりげなく入る日々が続いた。
王子はわたしの行動によほど腹が立ったのか鋭くわたしを睨んでくるようになった。だったら、とわたしも睨み返してやった。
火花が散るような睨み合いが何度も続き、わたしは秘密裏に王子に呼び出された。
言葉の応酬、激しい戦いだったとだけ言っておこう。
わたしたちは激戦のあとに手を握りあった。
いやぁ、こいついいやつだわ。姫様の良さをわかっている。上と下の対比の素晴らしさ、あの顔から想像もつかない言葉回し、とにかく親友級だ。
そうしたら、次は姫様から呼び出された。ついにわたしの良さをわかってくれた!? 婚約破棄!? と拳を握りながらお部屋に入ると姫様はわたしに言った。
「レスナはセティスト様と相思相愛のようだからわたしから根回ししてあげるからね」
へ? わたしが、誰と、相思、相愛? セティスト様って誰?
「大丈夫、大丈夫だから。身分の差なんて愛でどうにかなってしまうわ。継承権もあまり高くないからいけるわ」
いける? なにがいけるんです、姫様?わたし、わからないです。
呆然と震えるわたしを優しく撫でる姫様。うわぁ、久しぶりの姫様成分だぁ。いい匂いがするなぁ。お手は柔らかいし最高だぁ。
数日後、わたしは純白のドレスを着て神官様の前に立っていた。目の前には親友。あれ? おかしいな。わたし、結婚……、姫様……。
ベールをめくりあげられ困ったように親友を見上げる。親友も変な表情だった。一瞬ためらったがそっと口づけされ、わたしたちは夫婦となった。
結婚しても姫様の元で働けるらしい! わぁい!!
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