言霊確変

SEN

言霊確変

言霊確変


台本:SEN  声劇2人台本(不問2人) 所要時間:20分








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キャラクター紹介



勅使河原 健(てしがわら けん) 冬夜の後輩。憲法に詳しい。「歩く六法全書」

春夏秋冬 冬夜(ひととせ とうや) IQ200。物理学に詳しい「探求心の鬼」


※難しい漢字

勅使河原(てしがわら)

春夏秋冬(ひととせ)

三千高(さんぜんだか)

小鳥遊(たかなし)





本編↓





「ふへぇ~…やっと午前の講義終わったぁ~眠気との闘いだった…」


冬夜

「お疲れ…勅使河原」


「んおっ!?春夏秋冬先輩じゃないですか!お久しぶりです!先輩もこの研修に参加されていたんですね」


冬夜

「あぁ…しかし講義どころじゃなかったな今回。ん、コーヒー」


「ありがとうございます!…あのじいちゃん教授が喋りだしてから驚愕しましたもん…全く何言ってるのかわかんない…ふぉふふぇふ言ってましたもん」


冬夜

「はははっ…聞けたものではなかったよな?俺の隣の人も教授が喋りだした途端誰にも聞こえないぐらい小さな声で「まじか」って言ってたよ」


「言いたくなりますよあれは…全員時が止まりましたもんね」


冬夜

「ただな勅使河原……俺はこの3時間弱、非常に興味深い事を考えさせられたんだ」


「よく聞き取れていましたね」


冬夜

「や、教授の話じゃない」


「え?じゃぁ何を?」


冬夜

「隣の人が呟いた言葉で私は…あの言葉が脳内を駆け巡った」


「え、「まじか」ですよね?「まじか」だけですよね?」


冬夜

「あぁ……その、何とかって言うよなそういうの…えっと…こと…ことだ───」


「言霊ですか?」


冬夜

「それだ!その「まじか」の言霊が聞こえたとき電撃が走った…体中から発汗し動悸と息切れが止まらなくなった」


「危険な状態じゃないっすか!?どうやっておさまったんですか?」


冬夜

「救心だ」


「便利ですよね」


冬夜

「息を整え私はまだ少し混乱していたが自分を落ち着かせる為にお茶を一気に飲みほした…」


「そのお茶は…」


冬夜

「ほうじ茶だ」


「落ち着きますよね」


冬夜

「そしてようやく隣の人が呟いた「まじか」について考えることにした」


「講義は聞けたものじゃなかったですもんね」


冬夜

「聞いてくれるか?俺の3時間弱に渡る言霊についての解釈を」


「もちろんですよ…3時間弱を10分に圧縮したバージョンでよろしくしたい所です」


冬夜

「わかった…俺の思考能力と言語力・語彙力が「まじか」に追いつけるかわからんがやってみよう」


「はい…飯も食いたいので10分で」


冬夜

「まず…言霊の意味だが…わかるか?」


「えっと、日本において言葉に宿ると信じられた霊的な力のことを言いますよね。言葉の幽霊でことだま。言葉の魂で言魂とも言われいることです」


冬夜

「そうだ…言葉にして発するだけで言葉には魂が宿り意味になる。隣の人が呟いた「まじか」は俺の耳にだけ入り言葉としての魂が俺の体中を巡った」


「凄いことですよね…普段話すだけでも言葉なんて無数にあるのに…たった3文字…「まじか」だけでそうなっちゃうんだもん」


冬夜

「まったく凄いよな…こうやって話すだけでも言霊の情報が飛び交っているんだ……しかし強力に強烈だった3文字…「まじか」」


「あの静寂に包まれた空間だからこそ感じえたのかも解りませんけど」


冬夜

「それも一つの要因だな……しかし一番はやはり…この意味だ」


「意味…ですか」


冬夜

「あぁ…3時間弱かかってわかったことなのだが…近畿でも有名なあの教授のお話が聞けるぜひゃっほいと思っていたに違いないんだあの若者は」


「確かに…俺も楽しみにしていました…三千高教授は日本でも5本の指に入る物理学の天才ですからね」


冬夜

「だろ?そして始まる講義……彼は愕然としただろう、絶望を感じただろう…そして振り絞った……今自分に言える唯一の、精一杯の言葉を……」


「それが…「まじか」」


冬夜

「あぁ……彼の全力の「まじか」を聞いたのは私だけ…その言霊は誰に届くこともなく私のみに届いたんだ」


「んー…そんな深く考えることですか?」


冬夜

「っ!?…なんだと」


「や、あのすいません…でもそれは誰しもが感じたことですし聞いた瞬間先輩も理解したハズです…その「まじか」は何に向けて放たれ何を思って言ったのかを」


冬夜

「そんな事はわかっているんだ……わかっているんだよ」


「わかっていながらも更に何かあると考えたわけですね…さすが探求心の鬼と呼ばれた春夏秋冬先輩だ」


冬夜

「その呼び名は嫌いでね…探求心なんて誰もが抱く。ただ突き止めるまでいきたいだけなんだよ」


「そうだ、高3の時もその探求心のあまり科学の小鳥遊先生の家柄まで調べてましたもんね!あれはもぅストーカーでしたよほんと……あ」


冬夜

「……おい、誰から聞いたその話」


「や、その、あ!そうだ…「まじか」について話ましょうよ!まだ終わっていないでしょ先輩の見解が!」


冬夜

「よくない!誰に聞いたか言え!」


「まじか…」


冬夜・健

「っつわぁっ!!?」


冬夜

「今……いたぞ…ヤツが」


「居ました…いましたよね…」


冬夜

「私たちは理解したつもりでいただけでヤツはどこにでもあわられる…」


「不意に現れるヤツを僕たちはどうすることもできない…何て無力なんだ」


冬夜

「すまない…よもやヤツが現れるとは思ってもいなかった…油断していた」


「いえ…自分の方こそ軽率でした……正直に言いますと先輩のストーカーの事は俺が言いまわってましたすいません」


冬夜

「いいんだ…今はただヤツが恐ろしい」


「なるべく穏便に事を進めましょう…私たちはもぅヤツのテリトリーに入っている」


冬夜

「ここまでの物とは…まったく恐ろしい」


「この話は早く終わらせほうがいいかも知れませんね…法に触れているやもしれない…」


冬夜

「その可能性もあるな…そうだったな、勅使河原は歩く六法全書と言われていたもんあ」


「やめてくださいその話は…ただ親が二人共裁判官で小さい時から絵本の変わりに読まれていたからですよ…六法全書を…法律を…寝る前に…枕元で…2歳から……毎夜毎夜…365日……うぁぁっ」


冬夜

「まじか」


健・冬夜

「っぅうっわ!!!!?」


「駄目…駄目だ!駄目なやつだ!もうヤツの手中だ!」


冬夜

「なんてヤツだ…いとも簡単に出てくるじゃぁないか…」


「俺たちはもぅ囚われているのかもしれない…言葉の魂に…」


冬夜

「知らず知らずに言葉にする内に呪われているのかもしれんな…もぅ名前を呼んではいけないぞ」


「わかりました…ヤツは危険すぎる」


冬夜

「言霊の中でも最強かもしれんな」


「あり得ます…いくら頭が良くてもこれだけ撹乱させられるんだ…間違いない」



◆チャイム



冬夜

「あ、午後の講義始まるぞ」


「えぇっ!?俺飯食ってないんすけど!」


冬夜

「まじか」


冬夜・健

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあ!」






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