ピーター過去編



四国の山々に住むある小人たちの話

主人公たちの過去の話


登場人物

レイ(主人公女12歳)

イチ(主人公男10歳)

ニイ(男10歳)

積水家のサン(男8歳)


(他)

ヨン(男10歳)…隣村の狩猟師の息子

兵隊さん(男)

subちゃん(男)

レイ爺さん(男)....レイの祖父、村の村長


(現在)

もう1年もイチはレイ爺(レイの祖父)と同じ地下シェルターで暮らしている。イチは今日とても憂鬱な気分で過ごしている。その理由は今日は年に1回の大イベント、シラユキ祭りがあるからだ。


シラユキ祭り…村ができた当初にできたとされている。村で1番功績を残した狩猟師が川に出て、魚を釣り村の安泰の為に魚を神、この村にいたとされるとてもすごい人?シラユキ様?よく分からないがその者に捧げる伝統的な祭りだと教わった。


イチ達は1年前まではこの祭りが大好きだった。年に1回しかないこともあり、自分の倍もある魚を狩猟師達が川に出て狩猟をする躍動感が見ていて飽きることはない。尚且つ採ったあとの魚もイチにとっては大好物だから。だけどあの事件があってあの祭りはイチにとって相当嫌な思い出があるものとしてこの1年間頭の中に残り続けている。


陽が頭の上まで昇る前までにイチとレイ爺(レイの祖父)の2人は河原の祭りが行われる祭壇まで行くと村のみんなが準備をしている。


1年前の事件もあり、イチを気遣う村のもの達が多くイチを見た途端に励ましてくる人達も多かった。自分達だって相当辛いくせにとイチは思い、この場から早く切り抜けたかった。


その場を後退りし準備をしに来ていたレイと合流した。レイは自分が祭りに来たことにとても驚いた。レイは昔からの幼なじみで歳は2つ上だがとても活発でどこへでも飛んでいきそうな奴だ。自分にとっては歳は上だが姉貴というより、妹みたいなやつだった。レイは昨日からこの祭りの準備をしに川瀬の祭壇までおりていてた。その前まで自分に気を使って別に祭りに無理に来る必要はないとレイ爺と同じようなことを言っていた。


レイとは離れ次にニイにも会った。ニイは昔から付き合いは長く、父親同士が同じ組合で働いていたことから自分が産まれた時からずっと同じ部屋で暮らし仲が良かった。ニイがこの祭りに参加していたことにイチは驚いた。でもそれはニイもそうだったのかもしれない。ニイは自分と少し話したあとイチにどうしても会わせたい人がいると言い出し、その人を連れてきた。その者はsubちゃんだった。


subちゃん…イチの父親の狩猟組合の部下

(父とは師弟関係にあった)


subちゃんともイチの父親の仕事の関係でよく話す機会も多かった。subちゃんの人柄もよくみんなから好かれている印象が強かった。一年ぶりにあったsubちゃんも少しは痩せていたがそれ以外印象は変わっていない。むしろ張り切っているようにも感じた。そんなsubちゃんが自分に会って話したいことはなんだろうか?でも大方検討はついた。


今日の祭りの主役(村1番の狩猟者を代表し、祭りのイベントである川魚を代表する組合でつり上げる。)それを任されたのはヨンの父親でもある、ヨンチチ親方であった。


ヨンチチ…ヨンの父親で隣町の狩猟師、村の元2大狩猟組合の親分。


去年までは引退していたが、今年に復活しまた再スタートとなったそうだ。


その親方の一人息子である同級生のヨンとはイチは元々仲が悪かった。イチの父親とヨンの父親は村の2大狩猟組合の親方であったため、2人とも父親の様な狩猟師を目指していたため、ヨンとは少しライバル関係にあったからだ。でも会っただけで嫌悪するような関係ではなかったのは確かだ。イチとヨンはあることがきっかけで取っ組み合いの大喧嘩をしてしまい、それ以降口を聞かなくなかってしまった。喧嘩とヨンチチ親方が組合を抜けたことが大きく関係していたからだ。


「お前の親が卑怯なマネをしたせいで、父さんは組合を抜けたんだ」


そう涙をこぼして殴りかかってきたヨンに腹を立ててしまった。でもこれはもう何年も前の話だからもうすっかり忘れてしまっていた。


subちゃんは恐らくヨンチチ親方の組合に入ったのだろう。そうイチは感じた、いやそうに違いない。それを元々自分の上司だった息子の自分に伝えに来るほど律儀な人だとイチは知っていたから。subちゃんが元々お父さんのライバル組合に入ったことを自分は歓迎しなくてはならないのか?なんて返事をすればいいか分からなかった。subちゃんは何かを言い出す前にすぐに組合の者達に呼び止められてそれを断ろうとした時に自分は忙しそうだから祭りの後でもいいよ、と自分に助け舟を出した。


ニイはその後でもう話しは終わったの?とまたニイとイチの二人の会話になった。ニイは少し前向きにこれからのことを話し出した。でもイチは今でも後悔している。あの日のことを。本当はニイにもどんな顔をして会えばいいのかも分からなかった。


イチは用事があると言い出し、突然思い出したかのように走り出した。

ニイもsubちゃんも村の者達もみんな必死に前を向こうと進んでいる。今日何も変わらず祭りに参加しようとしているのは自分だけだった。イチはこの気持ちを変えたくてある場所を目指して走り出した。引き留めようとするニイの手を振りほどいて。


イチは祭壇からある場所を目指そうとするが途中、兵隊さんと出会い一緒に行くとこになった。


兵隊さん…村の守護として自分たちが住む農村地区をおりた場所にある、ある(四国にある)都市?から遠征中のもの。実際毎日ぐ〜たらしているだけのおっさん。去年まではそう認識していた。


イチと兵隊さんが走って来たのは古い河原下の造船所であった。あんなに走ったのに兵隊さんは全く苦しそうな顔一切せず、外で待っていると入口前で座った。去年から時が止まったかのように物はそのまま置きっぱなしだった。悲しくなってイチはまた涙をこらえた。そこは去年までのイチ達や家族が住んでいたたった一つの家だった。


(去年)

イチとニイとレイは内緒で狩猟を見に来ていた。村の食料狩猟という事で、組合に入っている狩猟師だけが動物を狩る事が許されている。食べること以外狩猟することはこの村では禁じられている。


危険なので狩猟をしているところを見るのは巻き込まれることもあるからと祭り以外で狩猟している所を見ることは出来ない。だから今日は親達に内緒で狩猟を見に来ていた。3人はとても興味心身だった。


しかし結局バレて3人はこっぴどく怒られた。


イチチチさん…イチの父親、狩猟組合の長

ニイチチさん…ニイの父親、組合の相談役


イチとニイは親の関係上同じ場所に暮らしていて、レイもたまに河原まで降りて一緒に遊んだり、泊まって行ったりもする。

レイの両親はレイがまだ幼い時に死別したらしい。以来レイの祖父であるレイ爺が世話をしている。イチチチ(イチの父親)もニイチチ(ニイの父親)も昔からレイの両親と仲が良かったらしくレイのことも自分の娘のように面倒見ている。


その日もこっぴどく怒られた3人も組合の全員が宴会のような晩酌をすまし、眠りについた。幸せの一時だった。だがsubちゃんだけはどこか不満そうな顔をしていた。それは最近イチチチ(イチの父親)がsubちゃんに対するアタリが強いからだ。subちゃんは最近そのこともあり落ち込んでいる。なぜならイチチチ(イチの父親)はいつもは心優しく他人に厳しくすることは自分の子でもあまり少ないからだ。


今年の祭りも恐らくイチチチ(イチの父親)だということは予想できる。なぜならヨンの父親(ヨンチチ元親分)が数年前に引退し、組合と同列になる腕の立つ狩猟師はイチチチ(イチの父親)以外いなかったからだ。ヨンの父親も一度祭りの代表になったことがあるほど腕の立つ狩猟師だった。辞めたきっかけはイチチチ(イチの父親)と喧嘩?が原因かもしれないと噂されている。


今年もイチの父親が祭りの代表となったことが村中に知らされた。


数ヶ月後イチとニイとレイは造船所の遊んでは行けない倉庫でかくれんぼをしていた。イチの誘いだった。倉庫は置物が多くあり、隠れるのに最適だと考えた。

事故は起き祭りで使う木材器具を破損してしまった。3人は泣きながら謝ったためそこまで怒られなかった。


組合の全員と積水家の手伝いが加わったおかげで幸いシラユキ祭りにまではなんとか修理は完成するらしい。


積水家…村の建設家の一族。村の住宅を全て地下シェルターに移すなどの開拓を設計した。積水家のサンの祖父に昔イチチチ(イチの父親)は弟子入りしていた時期があった。


積水家のサン(男8歳)…イチとニイとは2歳年下で昔から交流がある。


サンは昔から変わっていた、イチとニイとレイはアウトドア系だったが、サンは昔から外で遊ぶのが好きではなさそうだった。昔から祖父と建設作業を一緒に付き添ったりして、そっち部分で興味がありそうだった。サンの父親はこの村を出て、兵隊さんの生まれ故郷(四国にある小人の都市?)で仕事をして学んでいるらしい?と誰かから聞いたことがある。


修理している時、イチはどうして、積水家にイチチチは狩猟師の息子だったのにも関わらず先に弟子入りしたのか知りたくなったのでニイチチに聞いてみた。ニイチチはその日3人と話す機会があったので、イチチチさんの人柄の良さを話した。イチチチはいつも村の人達のために必死だったということ。でもその時イチ爺(イチの祖父であり、先代組長)には何も話さなかったらしく勘当しかけたこと笑いながら話した。他にもイチチチの面白エピソードも、イチは自分の父親は本当ににすごい人だとまた尊敬してしまった。



無事シラユキ祭りの数日前に魚漁に使われる大型器具の修理は無事に成し遂げられた。


祭りの三日前でまだ祭りのイベントに行われる川魚の釣りを行うのに、普段なら機材を出して、準備するだけで良いが、壊して修理してまだ1度も使われていないとなれば話しは別だ。1度点検し実用しておいた方が良いだろうと予行練習を行った。その前夜、明日川魚を釣るということでレイも泊まりに来ていた。

早朝、イチチチさんとニイチチと組合の全員が河原で釣り前の朝飯を食べて休息していた。イチの母親もニイの母親も1家総勢でこの作業を取り組むため人員は必要だった。


そんな中イチチチはひとり名指しでsubちゃんを指名し、倉庫の部屋の中で連れていった。話があるとの事だった。subちゃんは覚悟した。温厚なイチチチが最近subちゃんに当たりが強かったのでクビも覚悟しての事だった。


数分後だった。

subちゃんとイチチチさんは何か誰かが悲鳴を上げている声を聞き付け、急いで組合の元に戻ったが一足遅かった。見るも無惨な狩猟師の組合の者達の屍がそこに散りばめられていた。そこにはイチの母親もニイチチの身体も転がっていた。何が起きたすぐに理解した。


1匹のタヌキ?がそこには立ち止まっていた。


2人は動揺したが無理はなかった。

「今まで動物が自分達(村のもの達にも)に手を出した事例などたった一件もなかった」

からだ。


イチチチはsubちゃんを村の緊急用ベルを鳴らすよう啓発し逃がした。イチチチはたった1人でタヌキ?から立ちはだかった。


イチとレイとニイは明日を楽しみにしていた。かくれんぼしていたことは悪かったが、自分達の大好きな川魚釣りを祭りと予行練習の分と合わせて2回も見れることに心躍らせていた。「怪我の功名」と言うやつだ。早く明日になることを望んで眠りについた。

朝3人を起こしたのは普段鳴るはずのない緊急用ベルだった。


3人は駆けつけて見るとイチチチとsubちゃんが見た景色と同じだった。自分たちの父親と母親の身体が地べたに転がっている。

こんなはずではなかった。朝起きて大好きな川魚釣りを見学した後昼か夜では魚のご馳走をする予定だった。本当にこんなはずではなかった。イチは一目散に走り出し。イチチチを腕に抱いた。もう既に意識はなかった。サイレンが響く中、号泣したことは記憶にある。それ以外は全て記憶にない。それに続けてレイとニイも駆けつけ同様していたが、最悪の事態は立て続けに起こった。泣き崩れる3人の元にタヌキは襲いかかった。


レイはこの2人を守ろうとして向かって来るタヌキ?に両手を広げ防ごうとした。

ある奇跡が起こった。3人に振りかざそうとした前左足は突如レイを見て動きが止まった。

その瞬間タヌキ?は無惨に切られ、頭と身体は瞬時別々になった。


兵隊さんが駆けつけて3人を守ったのだ。兵隊さんが恐ろしい目付きでタヌキを切り裂いた。いつもののんびりしている兵隊さんではなかった。しかし兵隊さんが見るにもうこ状態は手遅れだと察した。


のちに、レイはこの時のことを鮮明に覚えていると語った。自分たちに手を振りかざそうとした獰猛なタヌキの目の奥にはレイの顔がぎっしり詰まっており、タヌキはほんの一瞬目から涙を流していたことを。たった一瞬だったがレイはそのタヌキの目が頭からこびりついて離れなかった。


葬式は夜に行われた。小人は死ぬと遺体は残らず数時間で灰になってしまう。3人はこれからも今日という日を忘れることは無い。あの日本当なら河原で漁をするのではなく、狩猟をしに山奥に出かけるはずだった。自分達が機材を壊さなければ、タヌキ?と出会うことは無かったからだ。深い後悔と悲しみだけが3人をこれからも苦しめるだろうと確信していた。そして大粒の涙を流したのは3人だけでなく組合に良くしてもらった村の人達やその他諸々も送別を悲しんだ。


(現在)

あの時言いつけを破らず、倉庫で遊ばなければ。深い後悔が1年たった今でも苦しめている。何をすればいいのかもイチはもう分からなくなっている。今日久々に会った皆を見て少しづつ前に進もうと必死に考えを逸らしていた。だが1歩1歩前に進もうと努力していた。自分はどうだろうか?なにもすすめていない。だからここに(元住んでいた造船所)来たら何か変われるだろうと思って勇気を振り絞りここに来た。しかし何も変われなかった。


河原の祭壇に行けばもう既に祭りの余興は始まっていた。ヨンの父親率いる新組合は総出で川魚を釣りかかっている。なんとも力強くて美しい光景だろう。小さなものが大きなものに立ち向かっている。それは素晴らしいものだと。数年前まではそんな魅力に惹き付けられていた。だが今は違うことに頭がいってしまう。生きていれば自分の父親が今日もあの舞台で性を出していたのではあろうか?そんなことを考えるとまた胸が苦しくなった。どうしようもないほど。


またイチは逃げってしまった。祭りからも、過去からも。逃げて行き着いた場所は蛍が飛び交う美しい水瀬だった。昔父親から大切な場所だとここを教わった。自分にも大切な人が出来たらここに連れてきて欲しいとも頼んでいた。本当にここは心が安らぐ美しい場所だった。そんな場所をイチが来た時には1人の老人が嗜んでいた。この村の人達はなんとなく覚えてはいるがこの老人は初めてあったような気がした。


話を聞けば、老人もある人からここが大切な場所だと古くに教わったそうだ。それが誰かは質問しなかった、正直どうでも良かったらかだ。


老人に全て話したくなった。そんな雰囲気があった。涙を流すイチに老人は包みこむように暖かく接してくれた。そして老人の生き方や価値観など世界の大きさなど全てを話した。


「私は君たちがずっと羨ましかった。本来我々が生きる道をこの村で生きる者達全てが私に教えてくれた。感謝している。」


老人はそう言い終わったあとどこかに行ってしまった。老人の話を聞いたあと、イチはあることを決心する。


祭りは無事終了。宴会も終了

(省き)


次の日

イチはある場所を訪れていた。兵隊さんが住む家だった。そこに行き兵隊さんに護身術と戦闘方法を教わるため、弟子入りした。全ては父親が守ろうとしたものを自分が引き継ぎ天国で安心して見守って貰えるよう。これから先全員を守ると決心した。そのために強くなる必要があった。これからの長い年月をかけてイチとレイとニイの長い物語が幕を開ける。

(終)


過去編第2章

(イチチチさんの過去)

(登場人物)

イチチチ…イチの父親

ニイチチ…ニイの父親

レイチチ…レイの父親

レイハハ…レイの母親、レイ爺(村長)の娘

ヨンチチ…ヨンの父親


ヨンチチ(ヨンの父親)がまだ青年だった時、は父親(ヨンの祖父)に暴力を振るわれていた。父親(ヨンの祖父)の家業は上手くいかず、村の者たちとの関係も良くなかった。それ故にその怒りの矛先をお酒と息子にぶつけるようになった。ヨンチチには母親(ヨンの祖母)は出ていきいなかった。

村の集団団地は2つに区分されている。この状況でヨンチチを助けたのは隣村のイチチチ(イチの父親)とニイチチ(ニイの父親)の同世代の2人だった。この時から3人の仲は深まっていく。


イチチチは隣村では有名な奴だった。有名な2大狩猟組合長(イチの祖父)の息子で後継者候補であった。村の者たちからも人となりの良さから人気を集めていた。イチチチはヨンチチから見てとてもマイペースで自分とは違った物をたくさん持っていると感じている。ただそれだけだった。そんなイチチチにライバル意識と尊敬を向けだしていき、イチチチの組合と近年対抗しているもうひとつの2大組合に弟子入りすることを決意した。


レイチチ(レイの父親)は恋をしている。村の村長の娘であるレイハハ(レイの母親)にだ。このことをあの2人にだけバレることだけは避けたいと願っている。イチチチとニイチチにだけは。あの2人はレイチチが小さくて2つ年下なだけあってすぐちょっかいをかけに来る。会う度にイチチチはからかって腹に弱いグーパンを入れに来て最初に殴られた方が殴ったやつの1日言うことを聞くなどあまりに横暴なことをしに来るのでとても鬱陶しい。しかしイチチチの人となりの良さもあってどうしても嫌いになれないのも事実だ。2人はとても自分に良くしてくれている、とても良い奴なのだから。自分も会う度警戒してやり返そうとするが、1度も成功したことが無い。やはり腹立たしい。


レイチチは昔の記憶として1番思い出なのが夏の日のある一日。レイハハに呼び出された3人(イチチチ、ニイチチ、レイチチ)はある場所に訪れた。それは蛍が飛び交う水面の川辺だった。とても美しくて涙が出そうなくらいだった。あの時の記憶は鮮明に覚えている。レイハハ(レイの母親)は父親(レイ爺)から教わったらしく、大切な人に教えてあげるといいよと言われたらしい。レイハハの中の大切な人の中で自分も入っていることがこの上なく嬉しかったのも覚えている。


数年の時がたちそれぞれの独り立ちしていかなくてはならない時、イチチチが家業として狩猟師を励まなくては行けない時期に家業から身を離れた。これには親父さん(イチチチの父親でもあり、二大組合の組長)は激怒した。勘当まで発展しかけたが、イチチチにはきちんとした理由があった。その年イチチチは積水家に弟子入りした。経緯としては、去年からこの村の問題として、暴風や雨風や川の氾濫なので住宅地に被害が殺到していた。この問題を解決しべく積水家の組長(サンの祖父)が日々切磋琢磨しており葛藤していた。村の者たちを1番に考えているイチチチはこの状況にいてもたってもいられなくなり、力になりたいと考えた。組長さん(イチの祖父)にこのことをきちんと話せばよかったのに行動主義とマイペースが仇となり今回の結果となった。


イチチチはこの性格で人生を渾名してしまう。


数年後イチチチの活躍もあり積水家は村の住宅を全て地下シェルターへ移す計画を実行できた。これには二大組合の助けもあり、移住の貸し借りなのはスムーズに行われた。


さらに月日が流れ、2大組合の組長(イチの祖父)の体が悪くなり家業を続けていけなくなってしまった。毎年祭りの川魚釣りの代表として活躍した男の悲報だった。その情報を聞き付けついにイチチチが組合に戻って来た。もうひとつの理由として狩猟中にニイチチが足を怪我し、狩猟に参加できなくなってしまったことも原因である。イチチチは狩猟師として大きな飛躍を見せるようになる。


数年後2大組長(イチの祖父)が死去。

イチチチは家業を継ぎ若頭となる。

狩猟に行けなくなったニイチチはそのNumber2の組合の相談役として任命された。


一方ヨンチチももうひとつの2大組合の若頭として、次期組長として評判が高くなるほど狩猟師としての器と名が大きくなっていた。


そんな3人がたまに会うのが年に1回のキブン祭りである。村の2大組合が睨みを効かせ緊張する中イチチチはいつも通りマイペースに話を進め、宴会では祭りの代表を指しおえて乾杯の音頭を勝手にあげるほどだった。


ヨンチチは仕事でもない限り人と関わることがすごく苦手だった。特にこういう飲み場では。ヨンチチはお酒を飲まない。なぜなら父親(ヨンの祖父)の二の舞にだけは絶対になりたくはなかった。父親(ヨンの祖父)は酒を飲んで全てを失った。仕事も家も家族も信頼も、全て。自分にも父親の血が流れているためいつかそうなることを恐れていた。


イチチチは事情を知っていたから、ヨンチチを気遣って自分がいる時には絶対にお酒は飲まなかった。酒は嫌いだーとか言っていたが、イチチチがお酒が大好きであることはヨンチチは知っていた。だが自分を気遣うイチチチにどこか敬意を持って接していた。同じ仕事のライバルとして、友人として。


だがこの関係が月日を巡る度に壊れていくことをまだ2人は知らない。


数年後

めでたいことが2つできた。1つはイチチチの狩猟師としての経歴が凄まじいことが評価され来年の祭りの代表として選ばれていたこと。そしてもう1つはレイチチとレイハハのふたりの間に新しい命が誕生した。数年前に2人がいい感じになり、ゴールインを決めた。その時既にイチチチにもニイチチにも妻がいるが2人がそこまで発展していたことに驚いたことを覚えている。

昔からの間柄は今も変わらず、相変わらずイチチチはレイチチを会う度にからかっている。


子供が産まれるということで組合の造船所で派手な祝杯が挙げられた。組合の狩猟師全員でワイワイ盛り上がった。あまりに騒いだため全員寝付くのが早かった。


その日懐かしの4人(イチチチ、ニイチチ、レイチチ、レイハハ)で話し合った。子供の話や結婚生活や2人の新居を積水家にもう既に頼んであることや、昔話や、子供と3人で遠くに行きたいことや、それからのこと。話せば話すほど人生は素晴らしく思えてくる。レイハハは昔からどこか変わっていた。レイハハは人一倍元気で、イチチチとニイチチに負けないくらいしっかりとした性格だった。それゆえいつも村長(レイ爺)を困らせていたことや。それから村から飛び出して大きな世界を見たいとそればかり考えていたあのお転婆娘が今や夫と子供の話で持ち切りなのがイチチチ達にとってはとても微笑ましかった。あとレイハハはイチチチが祭りの代表となったことをとても嬉しがっていた。あんなイタズラ好きのガキがここまで…などと言って茶化していたがそんな心情をイチチチも知れて嬉しかった。祭りのためこれからも精進しなくてはならない。改めてそう感じた。こんな日が毎日続くだろう、そう誰もが造船所の小さな話し合いで感じていた。子供は来年の寒い時期を乗り越え気温が心地よくなる時期に産まれるらしい。


レイハハの容態が変わったのはまだ寒い雪が降る季節だった。村の者たち女性総勢で子供を産む準備をしていた時に、レイハハの容態が悪化し出産の時期が大幅に縮まってしまった。このままでは子供もレイハハも危ない。


レイチチは何も出来なかった。1番そばについてあげなくては行けない時に何も。レイ爺とレイチチは2人して見守ることしか出来なかった。状況を変えたのは1人の小さな産声だった。天使が空からやってきたのだとも思えた。病室に入ると本当に天使がレイハハ小さな腕にくるまっていた。

しかしその天使は引き換えに自分の妻を住んでいた空に連れて行ってしまった。レイハハは自分の娘(レイ)の顔を見ることなく空に旅立ってしまった。その日妻の亡骸と新しい命をベットの上で泣きながらレイチチは抱き抱えた。


葬式は行われ、レイ爺はずっと泣いていた。当たり前だ、たったひとりの可愛い一人娘を失った。当たり前なのだ。レイチチも我が子(レイ)を抱えたまま式に参列した。イチチチもニイチチも参列した。式は悲しみに包まれていた。

その日3人は話し合った。レイチチからしてレイハハの娘(レイ)はこれ程ない以上に可愛く愛おしかった。レイチチは2人に心配をかけないように元気を装い懸命に喋り続けた。2人はそのことを見るまでもなく感じ取っていた。だが話しているうちに次第にレイチチも本音を吐くようになっていった。

これからどうすべきか、子供を1人で面倒見れるのか、自分が大きな子に成長させてやれるのか、この子が大きくなって母親がいない事をどう思うのか、あんなに楽しみにしていたレイハハが自分の娘(レイ)も見られずに先に逝ってしまったことにどれほど悔やまれないことか、後半ではこんな事ばかり話すようになった。2人は何もいえなかった。だがイチチチはこれから俺たちでこの子(レイ)を育てていくから困ったらなんでも相談するようにレイチチに言いつけた。2人(レイ、レイの父親)をレイハハが言っていた3人(レイの家族)がやりたかったことの夢を叶えるまで2人を支えるとイチチチは約束した。それだけが今のイチチチにできることと感じたからだ。


1年が経ち、レイチチ徐々に笑顔を見せるようになっていた。イチチチもニイチチも仕事に専念するが2人には気をかけていた。イチチチは初めてのキブン祭りの代表を成し遂げた。歴代の誰よりも躍動と活躍をみせ村人の熱中させた。レイチチもレイ(赤子)も参加していたのでどうにか元気づけようと思っての事だった。


ヨンチチ(ヨンの父親)も2大造船の若頭としてイチチチのことを尊敬していた。ただそれだけでは無いモヤモヤが心を覆い尽くすようになっている。祭りで生き生きして主役を張っているイチチチを見ての事だった。


レイチチはレイハハとレイの3人で住むはずだった家(地下シェルター)を他人に譲った。これはレイチチの意思だった。ただ自分が悲しくなるだけ、全員がそのことをわかっていた。レイチチは最近より家業に精を出すようになった。娘のレイはほとんどレイ爺に預けていた。


その頃おめでたい話にイチチチとニイチチは1次の父親になることになった。2人の期間はほとんど同じでまた造船所で盛大な祝杯を上げた。そこにはレイチチとレイも参加していた。レイチチはとても嬉しそうだった。レイにとって2人と仲良くできる友達ができることに。女の子か男の子かどちらなのだろうか?など他愛のない話をして盛り上がった。ただイチチチやニイチチはレイチチの最近の様子がおかしいことに気づいた。仕事あまり無茶するなよと軽く警告しておいたが、本人は全く気に止めていなかった。娘(レイ)のために懸命に生きなければならない。そうでなければレイハハに天国で顔向けできないと。


あの時もう少し強く止めて置けば良かった。そのことを一週間後すぐにイチチチ達は思い知らされることになる。


(1週間後)

その日イチチチとニイチチの元にレイチチ(レイの父親)が仕事の現場で倒れたことが知らされた。それも体調は危機的状況との事だった。イチチチとニイチチはやっていた仕事を中断して、レイチチを看病している兵隊さんの家に押し掛けた。日が沈む日没頃だった。

兵隊さんが言うには自分たちが住んでいた山下の小人が多く住む都市(兵隊さんの生まれ故郷)でも流行った病気とよく症状が似ていて、突発的なものだったがその驚異は恐ろしく1次は皆が覚悟した場面もあったと言うが、イチチチとニイチチが来た頃には症状も治まり安静にベットの上で横たわっていた。伝染的なものか全くわからなかったので近寄ることが許可できなかったが、イチチチとニイチチは兵隊さんに無理を言ってレイチチが眠る病室に入った。2人は我慢ならなかった。自分たちよりも年下のレイチチが老人のような顔つきでベットに横たわっていたからだ。レイチチは2人が来たことに気づいたのか、やせこけた片腕を上げ、手でこっちに来るようにジェスチャーを取った。2人は近寄った時にレイチチは小さな声で何かを言った様に口元が動いた。イチチチは聞き取ろうとして、耳をレイチチの口元まで近づけると、突然レイチチはイチチチにとても弱々しい腹パンをした。イチチチは驚いてレイチチの方を向くと少し口角が上がっているようにも感じた。最後に小さな声でレイチチは絞るようにイチチチに言った。「レイを頼んだ」


レイチチはその後安静に寝ているが、またいつ症状がけるかはわからなかった。兵隊さんは都市部で流行った症状とよく似ていたため、いち早く都市部まで降り、特効薬を持ってくると言い村の人達にレイチチの看病を任せ村を後にした。イチチチとニイチチは今のレイチチに対して何も出来ないことを悔やんだ。この気持ちはどうなるのだろうかと。


レイチチは目を覚ますと、そこには赤子(レイ)を抱いて寝かしつけている死んだはずのレイハハがいた。そして2人と自分がいた空間は3人で住むはずだった新築の家の中だった。夢だとは少しの間気づかなかった。レイハハが自分に赤子(レイ)を抱くようにと交換すると、そこには既にレイハハの姿はなくなっていた。優しい顔で眠る自分の娘を眺めている内に夢だと気づいた。神様は最後に娘と合わせてくれたのだと思った。

まだ言葉も知らない娘に父は語り出した。

自分が気弱だったため、自分に似たら誰か意地の悪いやつにいじめられてしまうのではないか、逆に自分の妻に似たらヤンチャになり誰かを困らせてしまうのではないかと。

そんな娘が心配でとても愛らしいことなど

自分がいなくてもきっと大丈夫

自分がいなくても村長(レイ爺)や頼もしい昔馴染みの兄貴みたいなやつら(イチチチやニイチチらのこと)に困ったら相談すること、きっと支えてくれるし助けてくれる。

自分がいなくても自分の娘は優しい子になる

自分がいなくてもきっとたくましい子に育ってくれる

自分がいなくても成長し、立派な大人になる

自分がいなくても、自分がいなくても。

そう何度も言い聞かせていた時、抱いてした自分の赤子に人差し指を口に食わえられ、その後小さな手でずっと人差し指を強く握られていた

レイチチはただただ泣いていた

娘(レイ)の成長を1番に身近で見ることを楽しみにいていたレイハハは自分の娘を見ずにこの世を去った。自分はあの日母親の代わりに自分の娘が独り立ちするまでいつまでも隣でいて、成長を共に喜ぶことをレイハハに誓ったはずだった。

それが今、早くも娘から離れなければないらないことを悔やみに悔やんだ。レイハハに顔向けできない。何より自分の名前をまだ呼んでもらえてもいなかった。父さんでもパパでもなんでもいいから名前を呼んでほしかった。

自分の娘に実の母の名前も実の父の名前も呼ばせてあげれなかったこと

夢の中の自分はただただ泣いていた、

ただ夢の中の娘はただただ何も知らず笑っていた。

いつのまにか娘は消え、新居の家の中で自分1人になった。


そこにはレイハハが立っていた。泣きじゃくる自分をレイハハは抱きしめた。自分はただただ謝った。レイのことを。


「レイは、大きくなるよ」


レイハハの方を見ると穏やかな笑顔を浮かべていた。レイハハの目の奥には、自分ではなく、女の子?が泣きながら両手を広げこっちを向いているのに気がついた。何故かそれがレイの大きくなった姿だとも確信した。それがどうしてレイだとわかったのか、


最後の瞬間まで気づくことが出来なかった。


イチチチやニイチチらが見舞いに訪れた翌日、

兵隊さんの医者から特効薬を取りに行く段取りも虚しく

レイチチは幼い娘(レイ)一人残し、静かに息を引き取った。


葬式でイチチチやニイチチ、そしてヨンチチも参列した。ニイチチは可愛がっていた弟のように思っていたレイチチの死を受けてずっと泣いていた。村長はまだ小さい孫(レイ)をあやしながら葬式に参列した。イチチチは泣いてはおらず放心状態のようになっていた。心配したヨンチチは、その夜にチョーの所に尋ねた。妻(イチの母親)は居場所は分からないが出かけているといった

ヨンチチはイチチチの居場所がすぐにわかった


街から少し離れたところで少し歩くがついたらすぐに分かる川岸だった

川岸では多くの蛍が飛んでいた

昔イチチチが教えてくれた場所(レイハハとレイチチとイチチチとニイチチとできた思い出の場所)でそこにはイチチチはひとりいた。

(イチチチとニイチチとレイチチとヨンチチの4人で祭り終わりによくここで4人で毎年集まり話していた、ヨンチチはイチチチに教えてもらった、ので4人の思い出の場所というのしっていた)


イチチチは一升瓶を既に空にさせ、1人でお酒を飲んでいた。ヨンチチがきたとわかった瞬間すぐに酒を隠そうとしたが間に合わず隠すことと飲むことを辞めた。イチチチはひとりでに話し始めた。最後にレイチチに会ったのは自分たちだったこと、最後にレイに殴られ笑っていたことなど。ヨンチチはただ黙って話を聞いていた。父親として娘の成長を側で見れなかったレイチチを哀れみただただイチチチは泣いていた。酒をずっとまずいまずいと言いながらずっと泣いていた。イチチチが泣いている姿をヨンチチにとってはそれが始めてみた瞬間だった。


イチチチはあることをその夜に決意した


9年後(主人公の父の過去)

イチは7歳、ニイは9歳

その年ヨンチチは初めて祭りの漁師の主役となった。

ヨンはとても嬉しがった。ついに自分が祭りの主役となった。

(あれからイチチチは祭りの主役となって8年連続なっていた)

ヨンチチはついにイチチチに勝ったと思った。(イチチチのことをライバルから徐々に疎ましいと思う気持ちに変わっていた)

ヨンチチは祭りを無事に行いみんなで飲み会をしていた時だった。飲み会の席から離れた時、

村の人達の話を聞いてしまった。

村の人達が話していたことは、

イチチチが祭りの主役をことわっていたこと(イチチチはヨンチチを代わりに指名したこと)

村の人達は譲った理由として恐らく最近イチチチとヨンチチとの関係がどんどん悪くなっていたのでイチチチはヨンチチの気を使ったと思われること(これは村人の見解)

ヨンチチはイチチチに対しての怒り感情が溢れかえった。

ヨンチチは昔父親に殴られていた自分を可哀想で弱い奴だと今でも思われているのかと思ったこと。

嫉妬し、ライバルだと思っていたイチチチは自分のことをなんとも思っていないこと。

それからすぐに漁師を辞めた。

イチチチは何度か自分に話をしたいと家に訪れたが顔を二度と見たくないと言って追い返した。何日も家に来ては追い返した。(意地を張っていた)それから2人で話すこともなくなった。そしてイチチチが死んだ話へ変わる。


主人公の過去へ戻る(現在から1年前)

subちゃんはヨンチチの家に一目散に走り出した。subちゃんはヨンチチに話をしに行った。

ひとつは死んだイチチチの代わりに祭りの主役になって欲しいこと。漁師に戻って欲しいこと。それでもヨンチチは何も言わずただ俯いていた。subちゃんは死ぬ直前イチチチと倉庫で2人きりで話した内容を話した。

内容はイチチチは今年で漁師をやめて船長をsubちゃんに継ぐといったこと

何年か前からsubちゃんに厳しくしていたのは自分が1番筋がよく、見込まれていたこと、

(ヨンチチが漁師を辞めた今、漁で村人の腹を満たす程の技量を持っている人は自分しかおらず辞めるにやめれなかったが、今のsubちゃんなら自分の代わりになってくれると考えたため)

どうして辞めるのか聞いたところ何年か前から医者になるために都市部におりて勉強したかったことなどを言ったことなども明かした。

ヨンチチは用があると出かけるといい家を出た。subちゃんはすぐに呼び止めようとしたがヨンチチは止まらなかった


イチチチやニイチチやその漁師達の葬式が終わった。あれから夜になってもヨンチチは家に帰っておらずみんなで捜索したがどこにもいなかった。それを聞き付けた村長も捜索するのを手伝った。村長(レイの祖父)はある場所に向かった、そこは蛍が飛び交うあの川岸だった。ヨンチチは昔(父親に暴力を振るわれていたこと)のことがあり毛嫌いしていたお酒を既に瓶何本も空にしていた。


自分の親父(ヨンの祖父)お酒を飲んだらみんな何もかも忘れて楽しそうにしていた、自分にはそれがわからなかった。父(ヨンの祖父)もお酒を飲んでは暴力を次の日何も無かったかのように接してきた。ヨンチチはsubちゃんの話を聞いて全てわかったと村長に話した。イチチチが医者になろうとしたのは、あの日苦しみ寝込むレイチチに何もしてやれなかったことへの後悔、そして2度と病気で苦しみ死ぬ人がいないようにするためだった。そしてあの日自分に祭りの主役を譲ったのは漁師を辞める覚悟をしたからだと、自分は昔からイチチチと馴染んでいて知っていたはずだった。イチチチはいつでも村の人達のためを思っていること。そうと決まればイチチチは真っ直ぐで、もう誰にもそれは止められないことも。それを自分はあの日自分の思い違いでイチチチの思いを踏みにじった。自分はどれほど哀れな奴なのだろう、酒の力で全てを忘れたかった。酒を飲んで自分に暴力を奮った父(ヨンの祖父)のように身の回りの人達を失うのが怖かった、だが今や昔から遊んでいた4人(レイハハ、レイチチ、イチチチ、ニイチチ)はみんな死んでしまった。みんな忘れてしまいたかった。だが飲んでいる酒では全く酔わない。村長は泣いているヨンチチに祭りの主役をやって欲しいと頼んだ。村長はヨンチチに話し始めた、イチチチのことを。


それから一年後、

村の者たちの思いを胸にヨンチチは今年の祭りの主役として、祭りを無事成し遂げた。人生で2回目だった。あの日以来また酒は飲んではいないがいつものように、あの蛍が集う川瀬に行き、酒を持っていった。


イチチチはお酒が大好きだったから、祭りのあとの宴会でもたらふく飲んで欲しかったがもうそれは叶わ無い願いになってしまった。


subちゃんはその後イチチチ率いた組合の唯一の狩猟師として、行き場を失っていたがヨンチチに拾われて今はそこで所属していた。

ただ今日の祭りでヨンチチの組合を去ることを決心した。もう一度イチチチが作った組合を取り戻したくて、造船所もあの日のままで残していた。それを要望していたのはsubちゃんだった。また2大組合を村に誕生させ活気あるあの頃を取り戻すため、今からsubちゃんは奮起する。1年ぶりの祭りが終わった翌日から全員があの日から前に進み出したような気がした。


そしてその日から6年が経とうとしている。

(過去編終わり)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る