隣
「他に何か行きたいところはあるか」
「ない」
後は何も言わず、兄はアクセルを踏みこんだ。
横顔が見えた。運転中の男性はかっこいいと、何かの雑誌で読んだことがあった。
私は何とも思わなかった。それはきっと、私が妹だからだった。
「免許取りたいかも」
「年齢的には取れるじゃん」
それはそうだ。だが、予備校通いの身で教習所に通うのも変な話である。
昨日よりも速い。度々車線変更し、周りの車を抜いていく。
兄の運転は荒い。一人の時はもっとらしい。
泳ぎ上手は海で死ぬと言う。上手ですらない横好きは、やはり海で死ぬのだろうか。
「もうちょっとゆっくり走りなよ」
「道連れみたいなことはしないよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます