もう二度と会えない気がしたから

ふと、その姿がない事に気が付いた。


ひとたび開けば、厳しい言葉ばかりが飛び出す、小さな口。

時には口よりも雄弁に語る、大きな瞳。

白く華奢な身体。冷たくて、小さな手。

細くて柔らかい髪。


身に纏うのは、その全てを覆う、闇色の外套。


薄闇を駆け回って、ようやく見つけた小さな背中。

嬉しくて、それと同じか、それ以上に、どうしようもなく怖くて。

気が付けば、押し倒していた。


" どこにも行かないで。オレの、そばにいてよ……。 "

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る