雑記帳

四京 歪樹 / シキョウ ヒズキ

誰か教えろ

誰か教えろ


なんて ガラにもなく思う


懐いてしまったチビの

 

" 振り払い方を "


追っ手を撒くために

飛び込んだ路地裏


迷子のチビが

半ベソで立ち尽くしてた


目が合ったその瞬間

上から下から大洪水


『どうしよう』


なんて 泣きながら縋り付くから


" うるさいやつを黙らせるため "


くだらない言い訳をして

仕方なく手を伸ばした



母親の元に駆け寄る

その背中を見届け

そっと 雑踏に姿を眩ませた


" それで、終わるはずだった。"


名乗る事もなく別れた


なのに 気が付けばいつでも

奴が視界でチョロチョロしてやがる


いくら撒いても 追いかけてくる

どこまでも ついてくる


油断してたら とうとう

追いつかれてしまって


『友達が居ない、誰も頼れない』


なんて ひどく情けない顔をするから


" 仕方ないから遊んでやる "


大きなため息吐きながら答えたのに


『やったぁ!』


なんて 瞳を輝かせて大喜びするから

口元が緩みそうになる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る