年明けこそ鬼笑う

新吉

第1話 昔の事を言えば鬼笑う

 私はコオニだった時代がある。

 むかーしむかし、わたしは気がついたら空の上の不思議な世界にいた。わたしと同じ角の生えた他のコ達と遊んだ。わたしの記憶はここからだ。子どもは時々いなくなる。いつのまにかコオニになるらしい。


 コオニは人を迷わせる。楽しく遊んでいるうちに帰り道がわからなくなるらしい。そういうイキモノ。本人つまり私たちにそういうつもりはなく、ただ一緒に遊んでほしいだけだ。魔女から聞いて初めて知った。


 ある日空の世界に住めなくなってみんなで引っ越した。私は、私たちは人間のフリをして生きていくことになった。魔女に魔法をかけてもらってはいるけれど、とても不安だった。楽しそうにしているコ達が多かったし、魔女がアパート全室を、コオニのみで借りてくれたおかげで、今生きている。今は女優を、少し前まではコヤクと呼ばれていた。魔女がテキトーに割り振った仕事をずっと続けている。


 私がコオニだったことを話せば、みんな笑うだろう。怯えられたり、嘘つきだと言われるかもしれない。私は演技を学ぶためにいろんな経験をさせてもらった、その恩人にだけ。私は人間じゃありませんとマネージャーと呼ばれるその人に自分の弱点をすべて伝えた。


「他の人に絶対話しちゃだめですよ」

「わ、わかりました!」


 ある日突然人間になったときもマネージャーに報告。


「よかったですね、大人になりましたね」

「はい!たくさん勉強させていただいたおかげでです」

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