9
それ以来、母親からの過干渉な連絡は減り、父親からは年に数回呼び出され、共に食事をすると「お小遣い」を渡された。
これぐらいの距離感が一番丁度良く、波風経たずに生きられるのかもしれないと、娘はそんな自分の家族を、受け入れつつあった。
23歳になって初めてできた恋人は、娘の欠落した自己肯定感を満たしてくれる、太陽のような存在だった。
25歳になり、彼から結婚の申し出を受けた。娘はこれを受け入れ、彼の生家を初めて訪ねた。
彼の家族は娘を温かく受け入れてくれた。
他人の目を気にする母親は、そんな相手の家族に対して毅然とした態度を取りつつも、嫁いで貰うからと終始低姿勢な相手の家族に機嫌を良くし、結婚を了承した。
父親には、会わせなかった。
娘は、この人達と家族になれば、自分も幸せな家庭を手に入れられると、そう思うようになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます