7
父親は数年前から母親と連絡を取り合っていた。
娘の成人の誕生日に記念品を贈りたいと母親に申し出、そこから何度か居酒屋で酒を飲む中まで関係は復帰していた。
父親は母親と離婚したのち、再婚はせず、新たに子供もできてはいなかった。母親はその事について好印象を持ったが、今まで全く養育費等を寄越さなかったことで娘が苦労したと父親を責め、再婚はしないが娘を今後援助し続けるよう要求した。母親はプライドが高く、父親からの金銭は、一切受け取らなかった。
娘から一方的に罵倒され、荒れに荒れた母親は、父親に電話し、「お前が居なかったから娘が私の愛情を理解しない大人になってしまった」と、ヒステリックな声で強く責めた。父親は母親の元へすぐに駆け付け、自分が娘との間を取り持つと確約して、翌日、有給休暇を取り、知り合い伝いに聞いていた娘の勤務先へとわざわざ訪ねたのであった。
父親は娘に対し「俺がお前の父親だ」と誇らしげに名乗り、免許証を見せた。それは娘が母親から散々聞かされた下劣な男の名であり、娘は始め躊躇したが、母親と数年前から連絡を取っていたと言われ、母親とのことで話をしたいと申し出を受けた為、娘は勤務終了後に近くの居酒屋で二人で食事をすることにした。
そして勤務終了後。
父親の車で居酒屋に行くと、母親が待っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます