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娘が14歳になったとき、自分の母親が精神的に自分よりも未熟で、自己愛に満ちているのだと理解した。
さらに母親は、他者からの目を非常に気にする人間であり、貧乏であることや、不潔であること、自分自身が未熟であること、一人の母親として成り立っていないことを、他人に知られることを極端に恐れていた。
母親にそれらのことを誰かが指摘しようものなら、その日の夜には、母親は記憶を無くすまで酒を飲み、泣き喚いた。
この頃、母親は新たな恋人と共に暮らしていた。娘はこの母親の恋人を家族として受け入れることは無く、母親はそのことについて何度も娘を𠮟りつけたが、とうとう娘は、この男を「お父さん」と呼ぶことはしなかった。母親は娘の強情さに深く落胆し、挙句の果てには娘の所作全てに対して憎悪を抱くようになった。
母親は、娘に離れの小部屋を一部屋与え、朝と晩に食事を与える以外の家庭活動を一切行わなくなった。
しかしそれでも、娘に住む家と衣類、食事を用意し、中学校へ通わせていることから、自分は母親として最低限の行為をしており、他人から後ろ指を刺されるような生き方はしていないと、心の底からそう信じていた。何より、自分を肯定してくれる恋人が、今は母親の人生の中心だった。
母親は、この男が陰で母親と娘を罵倒しており、挙句、娘に対して暴力を振るっている事を知らなかった。
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