思考と願望と未来

『実現しないことは思考や願望にならない、という話を聞いたことがあるよね?』

「あぁ、こういう『潜在意識』とか『引き寄せ』とかを題材に話をする人は、必ずそう言いますね」

『またある人は、願望として生まれた時点で、実現している未来が存在する、とも言っている』

「どちらにせよ、どことなくフワッとしていて分かりません」


確かによく聞く話だ。

願望として生まれている時点で現実になることは決まっている。既に叶っている未来は存在している。しかし、そんなことを言われても、結局は未来の話だ。信じるか信じないかは人それぞれの判断だとしても、結果は、その未来になってみないことには分からない、としか言えない。


『これはあくまでも、こういう考え方もある、くらいの話になると思うけれど。例えば、今の世の中にある便利な物たちはどこから生まれたと思う?』

「というのは?」

『スマホなんてものは、原始時代には無かっただろう?』

「あー、それは、多くの人が様々な物を発明していった結果、有名なあの人たちが『こういうのを作ろう!」って思って作ったから?」

『極端な話だけど、これこそが、実現させられる人はその思考を持ち、実現できない人は思考を持たない、という話なんだよ』


他人の思考を読み解くことは出来ないから、確実な話ではないけれど。

確かに、原始人がスマホのような便利な機械があったらなぁ、なんて想像するだろうか。有名なあの人は、その願望を実現する未来を持っていた。だから、それが思考化した。結果論だけれど、そう考えるなら分からなくもない。

飛行機も、車も、電気の発明も、全ては未来で決まっていた。かもしれない。


『それでも何か引っかかりがあるなら、今度は極論で逆説を考えてみると良いよ』

「つまり?」

『未来で決まっていることが願望になる、という説を否定する方法は?』

「そんなの、未来にならないと、もっと言えば死ぬまでわからないじゃないですか」


それが答えなのだ。

私にはそれらを否定する方法は無い。それが思考と願望と未来として、なんの関係性を持っているのかも、私には証明できない。けれども、願望を現実にした人はたくさんいる。それならば、どちらを信じた方が良いのかなんて、考えるまでもない。


んん、奥が深い。



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