そこで、思い出を。
@ryoo
プロローグ
気がついたら見知らぬ部屋にいた。
ドラマや映画以外にそんな事があるなんて、まして自分の身の上にそんな事が起こるなんて、見延遥はそう思った。
12畳くらいの広さだろうか、大きめなテーブルに二人掛のソファー、その正面に少し大きめのテレビ。テレビ台の上に小振りな何かのトロフィーが飾られている。
テーブルの上にはビールや酎ハイの缶が何本か置かれている、目に入るのはそのくらいだ。なんとなく、缶に触れた。中身が入っているのか無意識に持ち上げようとした。だが、持ち上がらない。正確には触れる事が出来なかった。缶の表面をすり抜けて掴もうと曲げた親指と他の指が結ばれる形になる。今まで見たことのない場所、知らない間にそこにいる自分、感じた事のない感覚。
……急に気味悪さが襲ってくる。とにかくこの部屋から出ないと、玄関の場所もわからないけれど動かないと、その時、鍵を開ける様な音が聞こえた。
気味の悪さは恐怖心に変わり、体が震えだした事を桜は感じた。ドアを開け、そして閉める音。それはすぐ近くから聞こえる、足音が近づく。どこか隠れられる場所をと視線を巡らせる前に部屋のドアノブが回された。
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