いらない物を詰め込んで
只今、夏真っ盛り。
肌に優しい日焼け止めを塗りたくり、ツバが広く首を隠す布の付いた帽子を被せると言った対策を講じてはいるがシロの肌は小麦色に染まっている。
健康的なのはいい。ご近所さんからもシロの肌の白さを病気関連と誤解されていたからそう見えるのはいい。実にいい。
だた、外に出たあとのお風呂が大変なんだ。別にシロがニンゲンじゃないからって訳ではないが。
シロは天使である。これは曲げようのない事実だ。
シロは天から追放された。これも事実。
カミサマとしての資質がないわけでは無いらしいが、いかんせん実例をあのクソ
話を戻すがシロは肌が弱い。と言うか全般的に体が弱い。
ここで俺は気が付いた。
”カスであるとして追放された”のではなく”カスの寄せ集めを追放した”のではないのか、カミサマとしての”いらない部分”を詰め合わせて俺に押し付けたのではないか、と。
やはり上もクソな世界だった。降りてもクソ昇ってもクソ。でも真理はすぐそばにあった。シロは可愛い。真理。
帰宅したらすぐに肌の弱い人向けの化粧水をはたかせ、石鹸と泡立て用の網を渡してお風呂に入れる。この時、無理に擦ってはいけないと一言に注意をしておくことを忘れない。シロは我慢強い子だから痛いのを見せないようにしてしまう。今なら気配でわかるけどはじめの頃は肌荒れになった原因が判らなくて右往左往したからな。
あと、一緒には入らないぞ? オレ、成人男性。シロ、女の子の部分もアル、カワイイコ。
お風呂からあがったシロの短い髪にほのかに光る輪が見える時がある。そう言った時はたいてい機嫌がいい。自分一人で上手にお風呂に入れたぞ、と胸を張って自慢してくるくらいだ。えらい!
逆に髪が陰っていると泣きそうな顔になりながら白い紙にペンでその思いを書きなぐっている。その紙をくしゃっと丸めてゴミ箱に投げ入れるまでが一連の動きだ。ホールインワン!
どちらにしても感情が育っているのはいいことだ。
お友達でもつくってくれたら、いや、シロみたいな子をひとりでお外に出したら襲われてしまう! でも箱入りはだめだ……、塩梅が難しいぞ。
実際問題、シロの事を俺はかわいい娘と思っている。
ボーイッシュな女の子、いいじゃない。
でもなあ、プールとか温泉とかなあ……。
娘なら、女の子として育てるなら、俺だけだと多分ダメだ。
友人……。女の友人ねえ……。
散々貢いだカスミちゃんしか思い浮かばねーな。
なんとかならんかねー。
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