チートはもらったが、世界に男しかいないなんて聞いてない。

絶対に怯ませたいトゲキッス

第一章 男子高生と異世界と魔王軍

第1話男子校の男子高校生

男子校の男子高校生。「華」という場所から、世界で一番遠いところにいるものだ。そして、今日。クリスマスには、町や電車の中で見るカップルを見ながらため息をつくぐらいしかできない。

「またため息かいな。」

「周大、さっきからため息50回目だよ?」

わざわざ数えてるんかい。

「しょうがないじゃん、聖夜にわざわざ男子高生三人でカフェに来てるんだから。」

「集まりたいって言ってたのは、周大だろ?」

「そうそう、今更文句言うのはおかしいよ。」

ぐうの音も出ない。

「ま、今更そんなこと言ってもしょうがないから今日は適当にゲーセンでも行こうぜ。」

「行こう行こう!!!」

「そうだな、悪口言って変わるもんじゃないし。」


行きつけのゲームセンターにはいつもより多くの人がいた。クリスマスだからといって、空いているとか言うボーナスステージではないらしい。相変わらずのバカでかいゲーム機の音量が耳に入る。

「クレーンゲームやる?」

「うーん、今そういう気分じゃないんだよな。また、次やろうぜ。コインゲームやってくるわ。」

「おう。」

コインと現金を交換するマシンへと、体の向きを変えた瞬間。俺は、怪しげな男と目が合った。真っ白な服と、マスクにサングラス。手には何やら小包を持っている。

そして、小包の中から白い男はガスボンベを取り出した。

「えっ。」

白い男はそのガスボンベを自分の方向に放り投げてくる。地下鉄サリン事件、という八字の漢字が頭をよぎった。実は、あれは何とかテレビの何とかっていう番組のドッキリで、、、なわけないか。

「逃げろ!!!」

そう叫んで、店の中の友達の方向へと走り出した。まずいな、ここは二階だ。出口までかなり遠い。

「早く逃げて!!!」

途中にいた子供たちの首根っこもつかんで出口へと連れていく。すでに、異様なにおいがここまで漂ってきた。少しして白いガスも周囲に現れる。

「っつ!!!」

突如頭痛が襲ってきた。まずい、ここで立ち止まったら、、

「みんな逃げろ!!」

足は自由に動かなくなってしまった。意識もどんどん薄くなっていく。は、はは。これ生き残っても後遺症とかのこるんだろうなあ。


「ん、んー。」

お、どうにか生き残ったらしい。ひとまず後遺症が残ってないのを願っておこう。

「俺の目の前にいる人、だーれだ!!!」

まず、眼に入ってきたのは白い空間であった。部屋のように区切られていない、際限なく広がっていそうなところだった。

「どこだ?ここ。」

ここには、俺以外にだれもいない。なにもない。どこか、見当がつきようもない場所だ。

「相沢周大君、そういう名前なのね。」

突然、耳元で声がした。

「え?」

慌てて横を向くとそこには人がいた。それも、かなり美人の。

「だれ?」

ただ、ドキドキはしない。人間という感じがしないからだ。彫像画のような静かな美しさ。そういうものに似ている。

「私は神です。」

多分、普通の人が言ったら笑うようなセリフだが、そうだとしたら納得が付くものがある。

「あなたには、今から異世界に行っていただきます。」

どうやら、神の中では俺が異世界に行くという事実は確定事項らしい。

「突っ込みたいことはいっぱいあるんですが、これって質問許されます?」

神はこの質問に対して少し沈黙した。あれ?やっぱこういう質問もしちゃだめだった?

「・・・一つだけならしていいことになっています。」

質問は一つだけっていうシステムらしい。

「続けますね。あなたが行く世界ももう決まっているのですが、流石に何も持たずに行くのは可哀そうなので、一つだけ。一つだけチートともいえる素晴らしい能力を与えることになっています。」

これも一つだけかい。

「それをこの中から選んでもらいます。ある程度時間はあるのでゆっくり選んでいいですよ。」

そういって渡されたのは、能力表のようなものだった。いろんなのがあるな、思考加速、運動能力強化、、、、

「じゃあ、これで。」

俺が選んだのは、、、

「ふむ、魔法量増量ですか。シンプルですがいい選択ですね。」

魔法がある世界、ということはスキルから読み取れた。じゃあ、

「一つだけの質問、今していいですか?」

「どうぞ。」

「俺の友達が一緒にゲームセンターにいたと思うんですけど、そいつらは今無事ですか?」

「・・・・・すいません、その質問には答えることができません。」

長い沈黙の後、振り絞るような声で返事を返され、そのあと僕は何も言えなかった。


「では、あなたの異世界での成功を願って。あ、一つ大事なことを言い忘れて、、、まあいいいか。」

そんな声が聞こえ、俺は目を開けるとそこは目新しい騒がしい街の中だった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――作者の絶対に怯ませたいトゲキッスです。第一話を読んでいただきありがとうございます。少し短いような気もしますが、きりがいいのでここで終わりにします。この作品を応援したいとおもわれたら、ぜひ星評価、ブックマークよろしくお願いいたします。


次回!!!男しかいない町!!!

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