274-登壇の騎士団団長と騎士団副団長
「殿下、空中をご覧あれ」
「ニッケル様、魔力を用いて視界を開いてみて下さい」
あ、そうか。
私には空中闘技場が存在していた所に空中に浮いている出場者がいる様に見えている。
だけど、朱々さんとナーハルテ様には違う光景が見えているんだ。
『いえ、我々もです』『うん』『その通り』
黒白、リュックさん、携帯版ハイパーまで?
見えてるんだ、そうかあ。
「あ、見えた」
それなら、と、言われた通りにして魔力を込めて上を見たら。
螺旋階段と一本道で繋がる、透明な中心部。
浮き上がっていて、舞台装置の
魔力が込められた素材なのだろうか。
そこに、まず最初の出場者が登壇する。
やはり、この方からだ。
「まずはー、コヨミ王国騎士団団長、ゴールド公爵家当主、金紅ぅー、フォン・ゴールド! 優美な姿に溢れる魔力! 民をー、国をー、守るぅー、騎士団の確たる要ー! 選ばれしー石はぁー、金ー! そして武器はゴールド家代々の宝ぁ、長剣一本!」
団長ー! 最高ー! と歓声が湧く中に金紅さんが片手を挙げる。
金紅さんの防具は、騎士団の正式装備ではなく、この試合の為のもの。
下の方が伸びた
胸当てと背中当てが揃っている防具だ。
ゴールド家の家名の通り、純金。でも絢爛豪華と言うよりは優美な感じ。
正に金紅さんの為にそこに存在しているのが分かる。
長剣は、詳しくない私でも多分国宝級とかなのだろうと思わされる美しい刀身。
青く光る、と言えば良いのかな。
それにしても浅緋さん、実況上手ですね?
映像水晶であちらの格闘技とか観戦してそう。
どういう経緯でなのかは分からないんだけど、きちんとあちらの版権を購入した映像素材をこちらの映像水晶で見ているらしいんだよね。
個人または団体での所有者はまだ少ないけど、正しい手段で入手して映像鑑賞会を行ったりもしているらしい。
要するに映像記録媒体を正式な権利で適正対価を払って購入しているということだ。
ハイパーの映像水晶の項目にあったなあ、そう言えば!
多分、あちらで言えば海外に正式売却みたいな形になってるんだと思うけど、どういうルートなのかなあ。
いや、今はそうじゃない。
試合試合! 出場者さん!
「続きましてー、コヨミ王国騎士団副団長、コッパー侯爵、アタカマぁ、フォン・コッパーぁー! 猛る闘志がぁ、巨体をぉ、包むぅー、いつもはその背を守る団長とぉ、雌雄を決するぅ! 魔石はぁ、こちらも凄いぞぉ、金剛石だあ! 武器はぁ愛用のぉ、
うおおっ副団長! 最高です! と野太い声援が多い。
その声に白い歯を見せて応えるアタカマさん。
やっぱりお二人は大人気。
ところで、百斎さんまでノリノリですね?
金剛石って……そうだ、ダイヤモンドだ!
ええと、アタカマさんもこの試合専用の防具で。
やっぱり、全身鎧じゃないんだね。
色が暗緑色に似ているのは、魔石さんがアタカマさんの髪と目に合わせてくれたのかな。
ニッケル君の用語知識、ありがとう!
あと、金紅さんの代々伝わる長剣はやっぱり国宝でした。これもニッケル君知識。
公爵家からの特別な計らいで博物館で展示された事もあると言う、コヨミさんがゴールド家の初代様に下賜された名刀だ。
アタカマさんの斧槍も、代々騎士団の重量武器を最も上手に使える騎士が扱う名誉ある武器だった。
うーん、まだ試合開始前なのに、盛り上がってるなあ!
いい感じ!
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