161-贈答品と私?
「コヨミ様を偲ぶ会の皆様からの主殿への贈答品はこちらに存じます」
雀色の髪と目(少しだけ垂れ目な所がまた良い!)の素敵な美中年執事様(人型寿右衛門さん)に案内されたそれは、茶色い屋根が印象的な二階建ての木造建築だった。
ツツジ、朝顔、アジサイ。
私にも馴染み深い花がきちんと分けられた区画に植えられていて、遠くにはペルシア絨毯の様な模様を刻んだ花時計まで。
内側には多肉植物っぽいものと外側に花々。こちらは割と豪華な雰囲気のお花達。タペストリーガーデン、で多分正解の筈。
各階にきちんと南に面したサンルーム? もあるみたいだ。
とにかく庭が広い。お家も大きい。これって邸宅?
一応自宅の王宮は別枠です。あれは例外。もう、あそこは私的には観光地みたいな所なので。
あ、でも王宮私室にも行きますよ!……行くべき時は。
「あ、マトイ様! ここはコヨミ様のタウンハウスです。管理を私達婦々がしておりますので、いつでもお使い頂けますよ」
カクレイさん、三角巾と割烹着。
長いお耳がきちんとしまわれていて、高身長と相まって何だかかわいらしい。
「コヨミ様がこのお姿で良くお掃除をされていたから、私達も真似をさせて頂いているのです。勿論、掃除の仕上げには清浄魔法も掛けていますから万全ですよ。植物達にも自動の成長魔法や保護魔法が掛けられていますからね!」
リラシナさんのチョコレート色のお肌にも白い割烹着は意外なくらいに素敵に映えている。
ご婦々それぞれが本当に生き生きとされていて、良いなあ。
「船で海外にも旅立ちたいと考えていらしたコヨミ様を異世界にお招きしましたので、様々な
少し照れる美中年さん……て何。ご褒美?
そしてやっぱりすごい、このお家。何だかもう、ハウスさん? って感じ。
……あれ、でも、コヨミさんのタウンハウスって! 個人の資産ではなくて、国宝級のお宝じゃないの?
私、一応王族! 勝手に頂いたらダメでは?いやその前に本当にこれを頂くの?
「ああ、こちらの資産としての問題ですか?それならば財務大臣たる私が保証いたしますからご安心下さい。これは異世界人コヨミ
リラシナさんが私の懸念を見越したのか、きちんと説明をしてくれた。
白様経由で王宮にも報告済……なら安心、なのかな。
「転移陣には既に座標が入っておりますし、黒白殿も恐らく覚えられましたでしょう。認識阻害等、あらゆる魔法により防犯、防御しておりますし、タウンハウス殿が認められたもの以外は認識、敷地内半径1キロメートル程については立入が不可能にございます。もしも、後日改めて、という事でしたらそうなされましても宜しいかと」
「確かに突然過ぎて、マトイ様が驚かれているわね。ここは王宮、学院、聖教会本部、各局と全ての重要施設から近くて、私達皆の魔力を長い年月を重ねて蓄えている場所なので、マトイ様にこちらに住んで頂けたらお守りし易いと思ったのです。もう少し順序立ててご案内するべきでしたかしら……」
あわわ、寿右衛門さん、リラシナさん。
いえ、嬉しいですよ、皆さんのお気持ちも素敵なお家もお庭も!
でもね、騎士舎と聖教会本部準々貴賓室とあと王宮のニッケル君の私室とで十分というか、スペースとか色々余り気味だったのに加えてこれ程まで、というか。
『……皆様、緑殿からの通信に存じます。拡声いたします』
すると、黒白がこう伝えてくれた。
緑簾さんから?
何だろう。良いタイミングだったかも。不穏な話ではないといいなあ。
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