59-召喚の私達
『良く呼んでくれましたね、ナーハルテ・フォン・プラティウム。あたくしは
ほう……とセレンさん他聖女候補さん達がため息を漏らす。
朱々さんの真名はもともとナーハルテ様にしか聞こえないのだけれど、他の音声も防音魔法で必要な箇所のみ聞こえてくる。
さすがは聖魔法大導師様の聖魔法。
ただし、白様、聖魔法大導師様、寿右衛門さんは朱々さんの本性をご存じなので苦笑い。
これで、既に学院で終えていたほぼ契約済だった召喚から最後の段階を踏んだ事になる。朱々さんは正式にナーハルテ様の召喚獣になったのだ。良かったねえ!
あ、ハンダさんは口ポカン。
私は、『キミミチ』では見られなかった前年度の召喚大会はこの真逆な感じでツンデレ朱々さんだったのかなあ、と思いつつもうっとりとしていた。
だって、ナーハルテ様と鳥の精霊獣の孔雀系朱々さんだよ! 美しくない訳ないじゃないか!
あ、この孔雀は雄を想像して下さい。朱色のめちゃくちゃ美しい雄孔雀を。
そしてそれが雌さん、人型ならスタイル抜群な迫力美女さんな朱々さんです。
学院での召喚授業の映像の写しは頂いたけどね、やっぱり、本物最高!
『そして、このもの達はあたくしの血統の子達です。まだ見習いを終えた程度ですが、足手まといにはなりません。あたくしが保証いたします』
か、かわいい……!
朱色のヒヨコちゃん軍団登場。ピヨピヨ。まだ人の言葉を話せないんだねえ。かわいい!
軍団のリーダーっぽい、朱々さんに一番色味が似ている子がペコリと頭を下げて、ピヨピヨピヨ。何て言ってるのか分からないけど、めちゃくちゃかわいい!
「よろしくお願い
少し離れた所から聞こえた声。
え、今のセレンさん? 言葉分かるの?
いや、朱々さんの正式召喚の為に念の為の防音魔法掛かってるのに聞こえるの?
「え、皆さんお分かりになりませんか?」って……。
やっぱり聞こえてた? でもセレンさんだけっぽい。
そもそも、ピヨピヨピヨも私達位にしか聞こえていないんじゃないかな。
『その通りです。これは、
分かりました寿右衛門さん。
「よっしゃあ! 筆頭公爵令嬢様がすんげえ綺麗でめちゃくちゃ強いのを呼んだ所で、始めますか!」
『いや待て邪……ハンダ殿、お主は召喚せぬのか?』
「なーに殿とか言ってんすか白様!! 邪竜斬りでいいっすよあん……貴方なら。ああ、こいつも貴方にお会いしたいかあ。そんなら」
『え』え。
寿右衛門さんと私がかぶった。
白様、お知り合いなの?
『うむ。邪竜と呼ばれてはいるが、元々はコヨミ達に罰せられたもの達の悪しき感情を吸い込んでしまった竜での。邪竜斬りが心の奥底に眠る声を聞き、竜の顎の下の鱗、逆鱗を含む鱗81枚、そして良質な部位の皮は手元に残し、残りを国に納めた。そしてその逆鱗と外の80枚の鱗を全て用いて盾にしたのだよ。皮は奴の衣服にもしておる』
「邪竜斬りのカーボン様に最高の一等勲章が授与されましたのはその為もあるのですね」
「あん時は白様に助けられたなあ。逆鱗はなんか色々調べたいとか魔法局の連中だったか、うるさかったもんな。実は爵位もくれるって言われたんだよ。だから、逃げた。んで、その先で隕石をこいつと一緒にやっつけて、死にかけた。それで、ネオジム、セレンの母ちゃんに会えたんだよ」
盾がこいつじゃなかったら死んでたかもな、って笑ってるけど、いくら竜が付いてくれていたって隕石って一人で戦って勝てるものなのかなあ。
あと、逃げたって言っちゃってるけど。
『叙爵を辞したのは愛する方と結ばれて薬師として働かれる為、という公式記録になっております、との事でございます、主殿』
ありがとうハイパー、リュックさん、寿右衛門さん。
良く分かりました。
あと、ナーハルテ様が邪竜斬り、って言われたのがちょっとお似合いでいい感じ。
竜封じのナーハルテ様とか、見たい。
きっと凛々しい。素敵。朱々さんが傍にいらしたら、最高。
あ、召喚用の衣服とか着替えとかはリュックちゃんが大活躍してくれていて、清潔な物を身に付けておられます。
そうそう、講義の時のスーツは朱紅さん(人型秘書バージョン朱々さん)のを見本にして、色は落ち着いたグレー。
聡明さが引き立って最高!でしたよ。
「よし、それじゃ決まったな、王子様が緑ちゃん、俺がこいつを同時召喚。それが合図だ! あともう一匹の面倒な奴はでっかいトカゲ! 見たら分かるぜ!」
『え』え。
あ、寿右衛門さんとまたかぶっちゃった。
そっかー、緑簾さん召喚するのか。うーん、もう戦力過大が過ぎるから、正直いいかな、とか思ってたんだけど。
『ひでえ! 主様、ひでえよ!』
分かりましたよ、はいはい。
それじゃあ、召喚したらゲームスタートですね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます