55-ゲームはゲームでもな私

『ゲームと申しましても、狩りの事にございます。この場合は魔獣狩りです』


 ゲームはやっぱり、『キミミチ』とかではなかった。


 狩猟をゲームと呼ぶのはあちらではイギリスだったかな。こちらでもそうらしい。

 ただし、こちらで狩るのは魔獣だけどね。

 寿右衛門さん、解説ありがとう。


 あれ、ちょっと待って。

 魔獣狩りにナーハルテ様が参加されるの?


「はい、そうです。わたくしも、初代国王陛下のご意志のままに」

 いいの、と、確認したらキリリと素敵なナーハルテ様に続いて、朱紅さんが説明してくれた。


 初代国王陛下が積極的に民を守る最前線に立たれた事から、コヨミ王国では王家や高位貴族階級でも積極的に前に出るのだと言う。勿論、跡継ぎさんとか諸々は考慮されるけれど。


 そう考えると、ナーハルテ様は大国に嫁がれるご予定の長姉様はともかく留学中の次姉様(お二方共に賢く優しく美しい方と評判)がおられるし、第三王子は言わずと知れた王太子ではない王位継承権が微妙な王子殿下(事実だから哀しい)だから大丈夫なんだね。


 あ、聖魔法大導師様、浅緋さんが鬼さんになって付いて来ようとしていたのもその為?


『いえ主殿、あの方は主殿と共に闘いたかったのが大きいかと存じます』

 ああ、そう。だから、代わりの召喚獣さんに言い聞かせていたのか。多分。

 ナーハルテ様もご存じな召喚獣さん。


『そう、だから早く召喚してくれ……下さい!俺の名前は緑簾!』

「え、りょくれん?」


『そう、コヨミ王国初代国王陛下の元直属召喚獣にして今は聖教会聖魔法大導師、偉大なる浅緋様が血統、緑簾とは俺の事! 久しぶりだな第三王子さん!……って今は、あ、何でもない! よろしく!』


『この未熟者! 主殿に何たる無礼! 浅緋殿のご指導を忘れたか!』


 え、何これ。


 司祭さんとネオジムさんには聞こえていなさそう。

 ナーハルテ様と朱紅さんは多分聞こえてるけど今後の打ち合わせを粛々しゅくしゅくとこなしてくれている。


 ありがとうございます、よろしくお願いします。


『申し訳ございません、主殿。あのものが浅緋殿が言われた心技体の心が足りないものにございます』


 念話で話してくれている、できる鳥の召喚獣寿右衛門さん。


 今私、召喚予定(?)さんの名前言っちゃったけど平気かな。


『主殿は召喚のご意志を持って、彼のものの名前を呼んではおられませんから、大事にはなりませぬ。然しながら、お気を付け下さい。あの様に召喚されたいものですと、主殿が来てほしいと望みましたら、そのまま主殿に属しますので』


 属すって、召喚獣として召喚できる様になるって事だよね。

 しかも、聖魔法大導師様の血統で、ナーハルテ様もご存じで、第三王子を知ってる……?


 あ、召喚大会の!


『左様にございます。魔力が少ない当時、聖魔法の力を借りたとは言え、よくぞ自分を召喚したと第三王子殿下を褒めておりました。しかも、今の魂はコヨミ様の末裔であられる主殿。彼奴としてはすぐにでもこちらに来たくて仕方がないのです。とにかく、呼ばれます際には慎重になさいませ』


 うーん、せっかく前の第三王子を認めてくれる数少ない存在さんだから仲良くしたいけど、聖魔法大導師様のしてくれた言い聞かせ、あまり効いてないみたいだねえ。


 あ、とりあえず今はゲームの方法とか色々、そっちに集中しないと。


「取り急ぎ、これでよろしいでしょうか」

 朱紅さんに確認された。

 

 うん、説明はものすごく分かりやすかった。でも、本当に実施できるのかは、正直自信がないけれど。


「大丈夫です第三王子殿下。皆様もおられますし、わたくしもお側におります。聖女候補様と共に王都に戻りましょう」

 

「は、はい!」

 

 ナーハルテ様にこう言われたら、やるしかないよね!

 あと、手! 握って下さってます! 


 嬉しい!


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