マイナーな神ゲー発掘してたらうっかりクソゲーを発掘してしまった件
みさか/UN
チュートリアルをやってみて…
俺はマイナーなゲームが好きだ。
今日も安売りしているいかにも地雷っぽいゲームを手に取った。
「なになに?」
『これで君も転校生気分! 転校生なりきりゲーム!』
「うわぁ…おもんなそう…」
しかし、こういうゲームが意外に名作だったりする。
早速家に帰ってゲームを立ち上げる。
ちなみにSwitch対応可だったので少しビビった。
「ん?チュートリアルモードがあるのか。まずはやってみるか。」
『チュートリアルは選択肢が1つしか出ませんが、本番は毎回108個出るのでお楽しみに!』
「108個って……煩悩の数かよ…。しかも毎回って…。」
―――
ゲームスタート!
あなた:今日からこの学校か〜!!!緊張するな〜!!!
「嘘つけ。めっちゃ『!』のマークあるじゃねぇか」
ガラガラガラ……(教室に入った音)
崇期:おはようございます。あれ? 遅刻? 見たことないお顔だけど。転校生かな? お名前を伺ってもいいですかね?
あなた:俺の名前は【unknown】!気軽に【unko】って読んでくれ!
「どこ略してんだよ!」
崇期:では、今日は特別にこの教室で授業受けていただいていいですよ。空いた席に座って。私の授業はちとハードですよ。ついてこられるかな〜? 前の学校では成績どうだったの?
あなた:保健体育以外の全教科10段階中−4だったぜ!前の学校の校長も『この学校始まって以来の成績だ…』って、大笑いしてたぜ!ちなみに保健体育は10!だから全く怯えたり緊張してないぜ!
「校長壊れてんじゃねぇか…」
崇期:そうなの。ガハハハ。大丈夫大丈夫。半分怯えて、半分楽しむくらいでやってね。あ、このクラスでやっていくんだったら、係を決めなきゃね。役割分担だよ。そういう決まりだから。
百葉箱撤去反対運動係
小さい石鹸重ね係
白線の外のピラニアの世話係
とか、いろいろあるんだよ。え? 白線の外にいるのはワニでもサメでもなくピラニアなんだよ。うちの学校ではそうなの。とにかく、やってみたい係を言ってみて。
あなた:早期帰宅係で!
「んなもんねぇよ!」
崇期:じゃあ、よろしくねー。では、さっそく朝の会だよ。今日さ、学校に来賓として〈マグマ共和国〉の方が来られるからね。いい? 廊下で会ったら必ずご挨拶だよ。なにかしてみたい質問とかある? 文化交流は大事だものねぇ。
「いいのかよ!」
あなた:『この間酔った勢いで皇族を襲ったと聞きましたが本当ですか』
崇期:そういう質問しちゃダメでしょ! 教育委員会さんがザワザワするよ! 私も胸がザワついちゃったよー。
あ、もう授業はじまってる! 今日、チャイム鳴らないからね。マグマ共和国の方、犬の聴覚の3倍らしいから。……笑っちゃだめだよ。
「普通の人間の3万倍⁉」
あなたの知り合いにもすごい能力を持った人とかいるんじゃないの?
あなた:半径50m以内のカレーを食べようとしている人のスプーンを曲げる能力を持つ、CoCo◯番屋でバイトしている兄がいるぜ!
「そいつバイトやめろよ!」
崇期:人間、いろいろだよ。じゃあさっそく、1時限目は「国語」ね。
大吉のおみくじが僕に牙を剥くよ
指を切られて 家路につく
おやつは 天地無用のプリン
スプーンがないって どういうことだよ
これは今年も教科書に載らないことになった詩だよ。これって、作者はなにが言いたいんだと思う? 感じたことを書きだしてみよう!
あなた:つまり、ヤクザの組長を差し置いておみくじで大吉を出したら、その紙で指を切った上に指を詰められて、スプーンも曲げられて捨ててしまってなくなるよっていうことを言いたいと思う!
「えらく具体的だな!」
崇期:さすがだね、いいところついてるよ。難しく考える必要ないのよ。だけど、心が思っていることを言葉にするのが難しいの。表現力が身についてなきゃだから。
今、パッと思いついた言葉をいくつか挙げてみて。
あなた:希死念慮!自殺願望!バラバラ殺人!
「超物騒!」
崇期:だいたいなに考えてるかわかるわ〜。じゃあ、その言葉に含まれてる感情を引きだすの。そう、心から作るの難しいでしょ? 自分の心もわからないときあるよね。だから、逆に言葉の中に普段の自分を発見できないかやってみるのよ。言葉を自分に寄せるみたいなね。言葉からなにを感じる?
あなた:え〜と…『シニタイ…』『ハヤクシナセテ…』『アア…タスケテ…』ですね!
「それ地獄じゃね?」
崇期:すばらしい! ていうか、あなた、言葉慣れしてない? まぁ、いいや。私なんて、趣味で小説書いてるけど、タイトルから作っちゃうからね。タイトル生みだした時点で言いたいこと終わっちゃってるから。そうなのよ。あなたもそんな趣味持っていそうだね。
出オチの常習犯
キャッチフレーズ詐欺
尻すぼみ逃走犯
コメント・レビュー愉快犯
あなたの小説はどういう問題を抱えているかな?
あなた:全部!自作自演でやってるぜ!
「嘘だよな?実はやってるとか無いよな?」
崇期:これ、誘導尋問なんだよ……やっぱり、あなたカクヨム作家なんでしょ!? 学生のふりしてやってくるなんて……おちゃめ!
実はね、私も教員免許持ってないの。いきなりこんな告白してごめんね。ガッカリした?
あなた:フッフッフ…がっかりしたもなにも…この会話は全て録音している!これを教育委員会に突き出してやる!
「ざまあ系のラノベの主人公か!」
崇期:そうなんだ。せっかくこうして出会えたのに、もうすぐこの教室を追いだされてしまうのかと思うと寂しいよ。いや、あなたもだよ、あなたも私と一緒に放りだされるよ。まだカクヨムから追いだされていないだけマシと思わなきゃ。
最後にこれを読んでいる奇特なユーザーさんに一言ご挨拶して。
あなた:自作自演なんてしてないよ!頼む!信じてくれ!ほら!この前百均で買った
八十膳の割り箸をあげるからさ!頼む!信じてくれぇぇぇ!
「いらねぇなおい!」
崇期:どうもありがとう。ではまた、どこかの企画で会いましょう。あなたの答え、とても気に入ったよ。成績として、胸に刻んでおくからねー。じゃあ、さようなら。
終わり
―――
「……何なんだこのゲームは…」
変なツッコミあったし。
エンディングもクソもねぇ…
ともかく俺は次の粗大ごみに出すことを決めた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
企画参加用です!
自主企画のコピペのところが面白かったので参加しました。
マイナーな神ゲー発掘してたらうっかりクソゲーを発掘してしまった件 みさか/UN @misakaya
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