――奇獣流転譚―― その音を知る者へ
里内和也
第1章 鳴箭(めいせん)
第0話 転落
押し寄せる
右手には
荷車二台がすれ違うのも困難な道は、敵が
こちらに振り下ろされる刀をかわし、
いくら返り血を浴びようと、
最初のうちは、何十もの
このまま戦い続けるだけなら、遠からず限界がくる。死にたくはない。だが、戦うのを
敵に背中を向けて逃げれば、かえって危ない。それももちろんあるが、それ以上に、逃げた先にいる人物に絶望していたからだった。
総大将の隊に追いついたところで、戻れるはずもない。戻りたくもない。
逃げずに、どうやってこの状況を切り抜けるか。ずっとそれを
体力を
反撃に出ようとしたところに、さらに別の敵兵が突き進んでくるのが視界に入った。
いかん!
とっさに動作を切り替え、
「!」
谷側に寄り過ぎたと気づいた時には、俺の体はすでに
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