本当にあった〇✖の話(おバカ編)

甲斐央一

第1話 団地の4階で〇✖を叫ぶ~

(注)初めに、この話は想像しながらお読み下さい。少し方言を入れてます。




 もう時効になるだろうから、ここで記す事にした。もしも、この事がバレたらゴメンナサイと平伏するかも知れないなぐらないでください

                 

 でも、歌でも有ったじゃない……和田〇子の有名な歌が。

「笑って、許して……」 


 あれは、私の歳が三十台半ばぐらいの事だった。


 当時の会社では〇×の製造を担当していた。作れば売れる時代。ニーズが高く、供給が間に合わない、そんな忙しい時期だった。


 ある日の昼休憩の事だった。食事が終わるといつものメンバーで、喫煙室でタバコを吸いながら話をしていると、M氏がやってきた。


「ちょっと、聞いてくれや~俺、昨夜やっちまったみたいなんじゃけど~」

「なにやらかしたんじゃ?いつもの事じゃない?……」


 このM氏は時々笑いを供給してくれる貴重な人だ。M氏の乱入により話の期待感が上がる。


「で、ホンで、なにやった?早く言っちまいなよ~何、やったんじゃ?」

「それがな、今朝起きたら、女房が俺の顔を見た途端、馬鹿笑いするんじゃよ。人の顔見て何がそんなに可笑しいんじゃ?って聞いたらさぁ、昨夜こんな事があったらしくて、俺・もう……どうしょうか?」


  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  


 ここから先は、M氏の奥さん視点。


 いつもの様に何も変わらず繰り返される毎日。只、その日の夜は熱帯夜だった。

 当時、私達は市営の団地の四階に住んでいた。四階はこの団地では最上階。夏場は結構暑い。


 いつもの様にエアコンを、お休みタイマーで寝ていたら、深夜にタイマー切れで目が覚めた。扇風機は随時回っている。エアコンは電気代が高くつくのでタイマーにて使用している。枕元に置いてあるリモコンを探すが、暗いため分からない。天井の照明からぶら下がっている紐を、手探りで素早く三回引っ張った。


 ‟カチャ…カチャ……カチャ………” 


 天井に薄ぼんやりと豆球が浮かぶ。


 薄明かりでリモコンを探していると、隣で寝ている旦那がモゾモゾと起き上がった。


 なんだ、トイレでも行くのだろうか?と横目で見ていると、カンフーの酔拳の様にフラフラと千鳥足の如く、トイレじゃなくて窓辺に歩いて行った。


“どうした?そこはトイレじゃないぞ。トイレは反対の方向でしょうが……そこで立ちションをするのか?頼むから、止めてくれ”


 私の思惑をよそに、旦那は窓辺に着くと、レースのカーテンをおもむろに広げ、窓を勢いよく開け放ち、仁王立ちの姿勢のままの大声で、外に向かってこう叫んだ。


「――おお~い、船が出るぞ~――」

「はぁ?~……」(゚Д゚;)?


 船が出るって?ここらには海も無いし、池もない、川は有るっちゃ、有るけど、浅瀬で小さい川だ。船なんかで渡るような川じゃない。やられた、コイツは寝ぼけている。早く、早く窓を閉めなければ、更に何かを叫ぶだろう。急げ!ご近所の笑い者になってしまう。(;゚Д゚)

  

 こんな夜中に、立て続けに大声を出された日には、隣近所の人も起きてしまう。


 私は咄嗟に、寝ぼけている旦那の腕を引っ張り後ろに下がらせた。当然、窓を閉めるのを忘れない。窓が開いていると声が外に漏れるかも知れない。


「ちょっと、起きてる?大丈夫?」

「#$%&**+」


 未だに寝ぼけているので私の問いに答えるも、何を言っているのか分からない。

 寝ぼけた旦那を布団まで連れて来て横にさせると、何もなかったかの様に、旦那はイビキをかいて寝てしまった。


“何だ?船が出るって、アニメの海〇王にでも、なるつもりでいたのか?プププッ・ハハハハハ……何、寝ぼけてんの?窓まで開けちゃって、大声で、ほんとかしら?思い切り笑ったら、目が冴えて朝まで眠れなかったじゃない。顔を見るたびに、何度でも思い出して笑えてきちゃうし……あ~可笑しい“ (≧◇≦)




「って、今朝起きたら、俺の顔を見て大笑いされて、こんな事言うんだぜ。どう思う?」


「「「ドヒャヒャヒャヒャ…… 」」」


 その喫煙所にいた人々は、笑い転げた。笑いの壺にはまり、笑いながら泣いている人もチラホラ居た。


 団地の四階で「――船が出るぞ~――」ってねぇ、普通言わんでしょ。寝ぼけたら言うのか?  


  余程、ストレスが溜まっていたんでしょうかねぇ?

          



         知らんけど

            (^^;)




            了 

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