1-30 コミュ障、女難の相?








「シャ〜〜〜〜、、、、」


「可愛いわねぇ。」


「綺麗です!」


「美しい。」


 湖から上がり、融合を解いたナギはいまだケンゴの体に絡みついていた。


 しばらく離れる気はないらしい。


「ヴゥゥゥゥゥゥ、、、、」


 ハクだけは非常に不満そうだ。


「ナギ、元気そうだけど、大丈夫なのかい?」


「シャ〜〜〜〜!!!!」


 ケンゴは残り少ない命と自分で言っていたナギの容体を心配するが、どう言うわけかナギは元気そうだ。


「どうかしたの?」


「いえ、ナギは力を失って死にかけてたんです、僕と融合できたのも不思議でした。」


「魔素がなくなりかけてたのかしら、理由はわからないけれどケンゴくんと融合して解決したのかしら?」


「どうなんでしょう、、、、」


「シャ〜〜〜〜、、、、」


 ケンゴの話しを聞き、復活したなぎのことを不思議に思うリリィ。


「そんなことよりみなさん!これを見てください!」


 ケンゴは抱えていた3つの巨大な魔石を3人に見せる。


「おっきいわね、、、、」


「魔獣化したモンスターの魔石ですか?」


「禍々しい、、、、」


 リリィ、イリス、レナはケンゴの出した魔石をまじまじと見つめる。


「この湖の中にいたワニみたいな魔獣の魔石です、どうやら何者かがこの魔獣を湖に放ったみたいです、そしたら湖の魔素がおかしくなったみたいで、水を飲んだモンスター達も魔獣化してったみたいです、ナギが教えてくれました。」


「スケイルダイルね、確かにこの湖での発見報告はなかったわ、湖の水質に影響を及ぼす魔獣を誰かが放った、一体なんのために?」


 ケンゴの話を聞いたリリィが考えを巡らせる。


「とにかく、ケンゴ様も無事に帰ってきましたしらこの調査結果をまとめてハウエルさんに報告しましょう!」


「ええ。」


「わかりました。」


「はい。」


 イリスの鶴の一声により、3人は街へと戻っていった。


「ケンゴ様、お怪我はありませんか?ちょっとお身体をよく見させてください。」


「あ、あの、イリスさん、、、、」


「ちょっとイリス!近すぎよ!!!!」


「お嬢様、私が見ますので、お任せください。」


「ガルルルル、、、、」(ナギに威嚇している。)


「シャシャシャシャ、、、、」(勝ち誇るような視線をハクに向けている。


 いつも通り、賑やかな道中になりそうだった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 そんなケンゴ達の様子を望遠鏡で覗く黒い影があった。


「失敗しただと、クソ!」


 不機嫌に吐き捨てるマントを羽織った男。


「あの冒険者達か、どうしてくれようか、、、、」


 男は望遠鏡越しにケンゴ達に強烈な殺意を向けていた。


 その時だった。


「!?」


 望遠鏡越しにケンゴと目が合った。


「き、気のせいだ、この距離で気づかれるはずがない、、、、だが厄介な奴らである事には変わりない、主人にしっかりと報告せねば、、、、」


 そう言った男は闇にに消えていった。




(なんだろう、何か視線を感じた気がする、、、、)


「どうかしたの?ケンゴくん。」


「あ、い、いえ、何も。」




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「なるほど、そんなことがねぇ、、、、」


 ケンゴ達が持ち帰った魔石と調査結果を見たハウエルは顎に手を当て真剣に考えていた。


「このスケイルダイルの魔石からは相当な魔素を感じる、これが周囲に影響を及ぼしていたと言うのも納得だよ、そんなことよりケンゴ君、新しい仲間かな?」


 ハウエルはケンゴの首の裾から顔を出す水色の蛇を見る。


「は、はい、ナギって言います。」


「シャ〜〜〜〜、、、、」


 ケンゴに紹介されたナギはお辞儀するように頭を下げる。


「これは、なんとも賢い子だねぇ。」


「シャ〜〜〜〜、、、、」


 ナギはどことなく誇らしげに胸を張った。


「さて、難しい依頼を見事達成してくれて、本当にありがとう、これは報酬だよ。」


 ハウエルは机に大量の金貨が入った袋を置いた。


「わお、、、、」


「すごいです!」


「こんなに、、、、」


「おおぉ、、、、」


 かなりの額の報酬に驚く4人。


「本当に弾んでくれるのね、父さん。」


「私が嘘をついたことがあったかい?」


「そりゃもう、何回も。」


「ハハハ、、、、」


 リリィの言葉に気まずそうに愛想笑いをするハウエル。


「さて、私は今回の結果をもとに原因を調査するよ、本当にありがとう、お疲れ様!」


「「「「お疲れ様でした!」」」」


「ウォン!」「シャー!」


 4人と2匹は事務所を後にした。


 4人が事務所を出てギルドを後にしようとした時だった。


「ケンゴさん!」


「?」


 ケンゴを呼び止める声がした。


「お久しぶりです、ケンゴさん。」


 ケンゴを呼び止めたのは栗色の綺麗な髪をお団子にした綺麗な受付嬢だった。


「あ、お、お久しぶりで、せ、セレスさん、、、、」


 ケンゴがこのギルドで最初に会った受付嬢、セレスである。


「ここ最近のケンゴさんのご活躍はギルドマスターから聞いています、すごいですね!」


「い、いえ、そ、それほどでも。」


「謙遜しないでください!本当にすごいですよ、ケンゴさんは!」


 セレスはケンゴの手を取る。


 ケンゴの手がセレスの胸に埋もれる。


「あ、あ、あわわ、、、、」


「困ったことがあったらいつでも私に相談してくださいね、それと、もし美味しい料理のお店とか、観光スポットとかも教えますよ!なんだったら案内しちゃいます!」


「あ、あの、その、」


「では失礼しますね!」


 セレスは緊張するケンゴにウィンクをして去っていった。


「ふ、ふぅ、びっくりしたぁ、さ、さぁ、皆さん、いきま、、、、」


 汗を拭い、振り返ったケンゴは固まった。


「ケンゴ様、、、、」


「ケンゴくん、、、、」


「ケンゴ様、、、、」


 イリス達がケンゴに冷たい視線を向けていた。


「ケンゴ様、あの方は誰ですか?」


「い、いや、あの人は受付嬢の、、、、」


「とっても親しそうだったけど?」


「あ、えと、や、優しい、人、、、、」


「立派なものをお持ちでしたね、、、、」


「え、え?何が?」


「まあ、いいです、ご飯でも食べながら詳しく聞きましょう。」


「そうね。」「はい。」


 そう言った3人はケンゴを引っ張っていった。


 ケンゴに待ち受ける運命はいかに。


















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