第7話

 フランチェスカは普段はドジで花や動物が好きな普通の少女だった。だが聖女としての能力は歴代最強レベルで、アベルの姉シモーネと同等もしくはそれ以上だといわれていた。ただ、聖女は能力の消耗も激しいので、何度も異界からの侵略者と対峙することで、急激に能力をなくすといわれていた。だから、敗北したのはそれが原因かもしれない。


 アベルの目の前にいる聖女は竜族そのものであった。周囲からエネルギーを集めているのが分かった。その力をなにに使おうというのか?


 「なにしやがる?」


 「お主を道具にするだけだ! ありがたく使わしてもらう!」


 その時、アベルは全身の血液が頭に集まるような感覚を受けた直後、気を失ってしまった! その時、ああ死んでしまう、フランチェスカと同じところに行くんだなと思いながら・・・・





 ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ 



 アベルの意識が戻ったのはフランチェスカの肉体の中だった。自分を殺そうとした女の姿になっていた。


 「どうなっているんだよ! 俺は・・・ふ、フランチェスカ様?」


 全身の痛みが抜けたとき、アベルは自分がか弱い少女になったのを自覚した。その身体には聖女としてのフランチェスカの、最高の騎士の能力を持ったアベルの、能力を殆ど感じられなかった。いまは無力な存在だと絶望していた。

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