Ⅱ 画期技術とは

『人工知能は画期技術である』と書きましたが、

それは一体、どういうことでしょうか?

画期技術とは、経済・社会活動を大きく変え、

さらには制度・政策も変化させて、

文明活動の発展段階を画するような技術、

つまりは『社会を変える』技術です。


以下は、私的な文明論による説明となります。

文明活動の本体は、全ての人々が営む経済・社会活動、

自然から富を得て、それを豊かにするのが科学・技術、

人々で富を分け、それを健全に保つのが制度・政策です。


しかし、技術の利用には物的資源への具現化、

政策の実現には人的資源による実施、

政策が新たな技術を開発・普及する時には、

自然・社会環境が、制約または促進条件となります。


https://19084.mitemin.net/i611931/


これらの六要素から文明の意義を説明するのが、

私見〝文明の星〟理論(仮説)です。

ご興味がおありの方は、拙作『文明の星』なども

ご覧いただけましたら幸いです。


この理論でみると、技術には4種類があります。

それは、社会を直接大きく変える画期技術、

画期技術の物的資源化による実用化に役立ち、

次世代の画期技術も生み出し得る実現技術、

科学研究・技術開発に役立つ研究・開発技術、

制度・政策の実現を助ける社会工学的技術です。


図:https://19084.mitemin.net/i598750/


技術なくして、文明の発展なし。

技術が進めば社会が変わり、政策も変わって、

その政策がまた次の技術を開発する。

その循環サイクルの中心となるのが、画期技術です。


図:https://19084.mitemin.net/i586017/


実はこの理論では、政策もまた4種類に分けられます。

経済・社会活動に直接働きかけて、

人々の利害を調整する経済・社会政策、

人的資源の確保のための保健・教育という人的資源政策、

制度・政策自体の企画・実施のための行政管理政策、

科学・技術の開発・普及を助ける技術的政策です。


図:https://19084.mitemin.net/i611926/


政策なくして、文明の持続なし。

技術が豊かにした社会を健全に保つため、

人々の利害を調整し、新技術の開発を助ける

という政策もまた重要です。


話を戻しますと、画期技術は社会活動から

制度・政策まで、文明活動全体を変えますが、

すでに各種の政策にも、人工知能を中心とした、

次世代技術の影響が表れています。


まず、すでに国の技術的政策でも、

狩猟・農耕・工業・情報社会に続くAI社会という意味で、

Societyソサエティー5.0』という言葉が使われています。

文明としての順番でいえば4.0にあたるでしょう。

デジタル改革トランスフォーメーションという行政管理/技術的政策も、

官公庁から経済・社会活動全体に広げる形で、

情報化の完成とAI化を目指す政策です。


また、スマートグリッド(技術的政策の中の、インフラ政策)、

マイナンバー(経済・社会政策の中の財政・社会保障政策、

行政管理政策など各種の政策に活用)、

データヘルス(人的資源政策の中の、保健[公衆衛生]政策)、

エドテック活用(同じく人的資源政策の中の、教育政策)や、

スマート/スーパーシティ(インフラ/地方自治政策)等でも

人工知能の普及や利用を想定していると思います。


さらに後述のように、国連のSDGsのような、

人類文明の持続可能性を求める国際総合政策の実現にも、

人工知能などの次世代技術が不可欠になると考えます。


政策論としては基本所得補償ベーシックインカムの発想も、

人工知能による省力化が背景にあるといわれます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る