第372話 バールのようなもの
テレビニュースで物騒な事件について報道している。
それを見ていたおくさんがポツリ。
「よく『バールのようなもの』って言うじゃん」
「言うね」
「なぜ?」
「『状況や痕跡からしておそらくバールだろうけど、現物が現場に残っていないから断定できない』っていう表現だから」
「現場に残ってないと断定できないんだったら、バール以外も断定できないはずなんだが?」
「というと?」
「『犯人のようなものは被害者のようなものをバールのようなもので殴り財布のようなものを盗んで……』」
「待って待って待って。いろいろおかしいけど、被害者は『ようなもの』じゃないでしょ」
「あるのは死体だけで被害者の魂は現場に残ってないので断定できない」
「そうはならないっていうのは断定できる」
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