第2話 最初の壁


朝起きてすぐに森から出る方法を考えた。

思えば俺は森がどのくらい広くて何処の方角に何があるかすらも分からないのだ。

日をまたいで行くにしても夜に身を隠す場所があるかどうか分からない。

しかしそんなことを考えていても何も始まらないので、水と干し肉だけをもってひとまず周辺調査に行くことにした。




ほら穴から少し遠出するにあたって一番厄介なのは体長が俺の2倍ほどある大型カマキリだ。

奴は首が弱点だから俺の爪でしっかり裂いてしまえば問題なく倒せるのだが、大変なのは数が多いことだ5、6匹程度で群れているので全て倒そうとすると一筋縄ではいかない。



俺は此処を突破する為に何をするべきなのか。

考えられるのはまず1つ、隠密し奴らをくぐり抜けにげおおせる。

これは逃げた後また奴らが追跡してくるかもしれないという不安が残る。

一匹ずつ撃破してしまうというのもいい。

ただ手間取って他の大型カマキリに集中攻撃を浴びせられたらたまったもたのではない。



俺は悩んだ末に撃破する事を決めた。

この森の先に進んだらもっと強くより厄介な敵が居るに違いない。

だからこの程度の敵なら自分の力で排除出来ないとまともに進むことなど出来ない。ならこの辺りで戦闘の経験を積んでおいた方がいいと感じたからだ。



まず敵の人数と位置を確認する。

数は5体……4体で固まっているから……

一体は離れているっ!


俺は隠れていた草陰から飛び出して一気に大型カマキリの首元を切り落とす……が他の4体に見つかってしまった。

囲まれるまえに……まず一体を懐に飛び込んで突き上げて落とす。そして2体目……上に跨って爪を振り下ろし首を貫く。次に3体目……!横に回り死角から飛び掛かり思い切り突き刺す……が、しまった……爪を大型カマキリに突き刺すと同時に自分まで仰向けに倒れてしまった……しかも4体目がすぐそこに迫って来ている。



ここで終わりか……その辺のすばしっこいだけの魔物が変に好奇心を出したのが間違いだったかと後悔の念が襲ってくる。

見上げると大型カマキリが鎌を振り上げているのが見える。

俺の体長くらいあるその大きな鎌がそのまま振り下ろされ……ない。


瞑っていた目を開けるとそこには雪の様に真っ白な毛をしたキツネの魔物がいた。


「あなたはここで死ぬべきではないわ」















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