新年

息を吐く

ひとつ ひとつ またひとつ

吐息は白いかたまりとなって

天へと昇る

朝の冷たさと

僅かな朝日を

めいっぱいに吸い込んで

肺の奥まで冷えわたる


きのうは生えていなかった

雑草どもが

点々と小さく芽吹いている

抜いても 抜いても

きりがない

あしたも きっと

隠れるように

芽吹くだろう


年を重ねるたびに

不意の別れがやってくる

きのうまで忘れていたことを

きょう 思い出すかもしれない

きょう 覚えていたことを

あしたは忘れているかもしれない

時の流れの早さが

ぼくを透明にする

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