第2話

『神様の世界‥‥‥ですか?』


「うむ。まあ儂らが導いた世界じゃ。お主の世界と違い剣や魔法、いわゆるファンタジーのような世界じゃ」



『剣や魔法‥‥‥』



「む?興味があるのか?」



『す、少しだけ‥‥』



俺だって、それなりに異世界もののライトノベルは読んできた。


この世界にやり残したことがあるとすれば、それらの小説や漫画の続編が見たかった!と真っ先に頭に浮かぶほどだ。



「ふむふむ、それなら良かった」



『ですが、俺なんかが神様の世界に行ってもいいんでしょうか‥‥』



「なにをいうか。お主は他人のために命を捨ておったのじゃ。儂らは、お主を歓迎するぞ」



俺はそんな大した人間じゃない‥‥‥。

ただ、行ってみたい。神様もこう言ってくれてることだし、俺も自分の力を試したいと思った。



『なら‥‥お願いします!』



「ふむ、よかろう。‥‥ただこの世界のお主の肉体ではなく、儂らの世界で新たな生命として転生してもらうことになるが、それでも良いか?」


『わかりました。大丈夫です』


「よし、なら少し儂らの世界‥‥のことについて話そうかの」


それから神様は多くのことを教えてくれた。




まず神様の世界の人間や一部の生物は何らかのスキル、そして神々の加護を持って生まれる。


成人…15歳になるとジョブを選べるようになり、そのジョブにしたからと言ってその職業に就かなければいけないわけではないが、それぞれのジョブに効果があり、選べる数も個人差があるのだとか。



そしてスキルは先天的なものと後天的なものに分けられ、先天的なものはその者の魂の器や才能などでランダムにきまる。


また、後天的なものは、生まれた後、修練などをすることによって得られるらしい。


どちらのスキルもさらに修練することでレベルが上がる。



最後に加護についてだが、神様の世界には、神が9柱存在する。


知恵・学問の神 メーティス

鍛冶の神 バルカン

慈愛・美の神 ヴィーナス

大地の神 ガイア

海洋の神 ネプチューン

武芸の神 アレス

遊戯の神 ピュアトス

獣の神 ケルトス


そして今、目の前にいる神様こそが‥‥‥


天上の主神・創造の神 ゼウス



この9柱のうちの加護を得られるのだそう。


人によっては複数の加護を得ることができ、その後の信仰によってレベルが上がっていく。












♢♢♢♢♢♢♢♢









「まぁ、こんなもんじゃろ」



さっき話したこと以外にも生活に不便が出ないようにとたくさんのことを教えてもらったが、それはおって話すとしよう。



『ありがとうございました』



「さて、お主のスキルを見てみようかの。本当は5歳を迎えてから見ることができるものなんじゃが、お主は特別じゃ‥‥‥っこれは‥‥‥ふむ」



『ど、どうしたんですか?』



「いや‥‥お主はスキルを2つ持っているようだ。一つは〈神眼ゴッドアイズ〉。そしてもう一つは‥‥‥〈聖本リーフォン〉‥‥‥前者も珍しく強力だが、後者のスキルは儂も見たことがない。詳細は『ステータス』と唱えればわかるじゃろうて」



『えっと、神様にもわからないスキルが存在するのでしょうか』



「たまにな、スキルというのは儂らが決めているのではないのでな」



『そうなんですね‥‥』


では誰が作っておるのだろう、と気にはなったが今はこういうものだと納得することにした。



「それ以外にも使えそうなスキルを見繕って渡しておいてやろう。加護に付載ふさいしている能力の一部を先にスキルとして渡すようなものだ。‥‥少しルール違反ではあるがお主には迷惑をかけたのでな」



『何度も、ありがとうございます』



「うむ、あともう一つお主にお願いしたいことがあってな‥‥‥儂らの世界は少し遅れているんじゃ、お主の世界に比べてもな」




『‥‥‥はい』




「だから発展させてほしいのだ。お主の記憶はそのままにしておくから、その知識を使ってな」



『分かりました。できるかわかりませんが、挑戦したいと思います』



「うむ。感謝するぞ。‥‥‥まぁ、まずは楽しむが良い。お主の世界とはまた違う面白みもあろう」



『はい!』



「またすぐ会うことになるだろうよ。‥‥‥では、お主に神々の祝福があらんことを‥‥‥‥」




そして、俺はもう一度意識を微睡みまどろみいざなった。

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