第14話 先輩方とのコラボ解禁ってマジですか?

次の日俺は事務所に呼ばれていた。それは何故か..... 知らない。

てことで電車に乗って向かっている最中なのだが、偶然にも途中の駅で乗ってきた桜と目が合ってしまい、事務所に行くという点で目的が一致したので一緒に行く事になった。(半ば強制的なのだが) そういえば気づいた人もいるかもしれないが、俺は同期の子達に敬語を使うのはやめた。何故なら3人ともに敬語をやめてくれなきゃ泣くと脅されたので、仕方なくやめたのだ。


〜回想〜


桜『和人さん!?何故ここに!?嫌、これは運命に違いありません。多分その格好から推察するに事務所に行くんですよね!ならば私と一緒に行きましょう!』


何だか前にも増して積極的になっている。


和人『嫌、俺は別に.....』


桜『行ってくれないんですか?(うるうる)』


いくら俺でも目の前で女の子が泣かれるというのは気分が悪いので、ここは俺が引いておこう。てか俺って女の涙に弱いんだな。


和人『わ、分かった。行くから泣かないでくれ.....』


桜(満面の笑み)『そ、そうですよね!和人さんならそう言ってくれると思ってました!では隣失礼します。』


そう言って、俺の隣に座ってくる。


という訳だ。


桜『そういえば、和人さんは今日何しに事務所に行くんですか?』


和人『あぁ、何か神崎社長に呼ばれてるんだよ。何か重要な話があるとかなんとか。』



桜『えぇ!?VLIVEの社長に呼ばれてるって、それ凄くないですか?』


?、、、、そうなのだろうか。あの人は普通にライバーにも積極的に絡みにいってるかと思ってたんだが、どうやらそれは間違いだったようだ。


和人『まぁ凄いのかもしれないな..... ところで桜は何しにいくんだ?』


桜『私は歌の収録です!』


和人『あぁ、なるほど。何歌うんだ?』


桜『K○NGって曲です。今結構流行ってるんですが、、知ってます??Vtuberの人なら大体が歌ってる曲ですけど。』


とりあえず記憶を掘り返してみる。もしかしたらどこかで聞いた事があるかもしれない。なんて事はある訳でも無く俺の乏しい情報量の中にはK○NGなんて曲は無かった。


和人『さぁ、知らない曲だな。』


桜『えぇ!?知らないんですか!和人さんって曲とかあんまり聞かない派なんですか?』


和人『聞かないな。ほぼ家にいる時は寝てるしな。』


桜『そうなんですね.... てか和人さんって配信時とこっちだと全然キャラ違いますよね。何でなんです?』


和人『それは..... お、駅に着いたみたいだな。てことでこの話はまた今度な。』


桜は不服そうな顔をしたが、事務所に行く途中でパフェを奢ったら、すっかりそんな事どうでも良くなったようで、すぐにパフェを完食し、事務所へ一緒に向かった。


それから事務所に着いて、お互い別の所に行かなければいけないので、そのまま別れようとした時、桜が俺の耳を自分に引き寄せ言ってきた。


桜『今度あの話の続きをちゃんと教えてくださいね!』


そう言って俺が行くとことは真反対の方向にそそくさと歩いていった。


それにしても..... 忘れてなかったのかよ。せっかくの1200円が.....


そう呟きながら、事務所の最上階へ向かうのだった。


◇VLIVE事務所最上階社長室前


(コンコン)和人『あの、和人です。入っても宜しいでしょうか?』


そう言って室内へ向かって少し大きめの声で聞く。


悟『良いよー良いよー!入っておいで。』


了承を得たのでドアを開けると、前会った時の様に神崎社長が無駄に豪華そうな椅子に腰がけていた。


悟『良く来てくれたね〜、和人くん。もし来てくれなかったらどうしようかと思ってたよ笑』


和人『最初は来ないつもりでしたけど、何か行かないと行かないで何かされそうなんで来ました。』


悟『別に何もしないよ〜。僕はね.....』


少し意味深な発言する神崎社長だが、無視しておく。


和人『それで要件は何ですか?蓮夜さんを通してこないって事はそれなりに重要な事なんですよね。』


悟『あぁ、勿論』そう言いながら微笑む神崎社長。


悟『本日君を呼んだ理由としては、前から言ってた通り、1期生の椎名香織ちゃんの誕生日LIVEにゲスト出演して欲しい。まぁサプライズ的なものかな。本人には内緒にしていたいんだ。それで日程の方だけど今から丁度2ヶ月後の8/XXだ。夏休みの期間だから視聴者も集まりやすいだろう。』


やはり、その話か。そろそろ来ると思っていたが、だがその椎名香織さんの動画は一度も見た事ないし関わりもないな。その辺は大丈夫なんだろうか。


和人『あの、俺椎名さんの事何も知らないですし、辞めておいた方が良いんじゃないですか?』


悟『嫌々、別にそこは大した問題じゃない。知らないのなら知れば良いだけさ。それに明後日から君のダンスや歌の..... 必要ないか。君なら大丈夫そうだ。レッスンは無しだ、当日いきたりだが頑張ってくれたまえ。』


そんな適当で大丈夫なのだろうか?まぁ、社長が言うなら問題は無いのだろう。それよりも歌ならまだしもダンスか.......


和人『ダンスに関しては出来る確証はありませんよ?』


悟『むしろ、歌なら出来ると言ってるようなものだね笑 まぁ当たり前か。才能の塊の様な君に出来ないことなんてないさ。ダンスだってきっと出来るよ。』


蓮夜さんにしろ、神崎社長にしろ俺を過大評価し過ぎな気がするが..... これ以上言ってもどうせそのまま行われるだろう。無駄な抵抗か......


和人『まぁ、とりあえず改めましてそれ引き受けますよ。誕生日LIVEでしたっけ?出来る確証は無いですが、僕なりに精一杯やってみせます。それで、これだけでは無いでしょう?』


俺の読みが正しければ、まだある筈だ。


悟『はは、君に隠し事は出来ないな笑笑 そうだね。後もう一つある、それはその誕生日LIVEの準備などと並行して君達5期生の先輩にあたる人達とのコラボ解禁の話も進めていく予定だ。まだ他の子には伝えてないけどね。まぁすぐにでも知らせられると思うけど。』


先輩方とのコラボか..... 正直言ってかなり面倒臭そうだ。コラボ自体あまり好きではないが、それが先輩か..... 骨が折れそうだ。


和人『なるほど。まぁ5期生の人気はかなり凄いらしいですからね。先輩方とのコラボ解禁も妥当な判断かと思いますよ。』


悟『そう言ってくれると助かるよ笑 おっと、そろそろ僕は大事な会議があるんだ。これにて失礼させて貰うよ。和人君も帰りたかったら帰って良いから!じゃ、ばいばーい!』


そう言って社長室から出て行く神崎社長。


社長室にはポツリと俺が取り残されていた。


にしても、Vtuberってものも、それを見る視聴者も全然理解出来ないな。何故ただの絵にあんな高額なスパチャを渡したり、配信を見たりしてるのだろう。あの人達はあんなに大量のスパチャを送って生活に困らないのだろうか。不思議だな。そんな視聴者にいちいち応えるライバーに関しても不思議だ。全く持って不思議だ......



はぁ.....

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る