これって私だけ?~子供時代のパニック~

京呼

はじめに


 10人にひとりは起こる可能性があるといわれる「パニック障害」。


 最近では芸能人の方たちも患っている(いた)ことを、隠すのではなく、堂々と公表される方が増えてきましたね。


「パニック障害」は20~30代で発症することが多いされていますが、小さな子供も発症の可能性があることをご存知でしょうか?


 かくいう私は、幼稚園の5、6歳から高校入学直前の15歳まで不定期にパニック発作を起こす子供だったんです。


 あるきっかけからパニック発作が始まり、抑えられるようになるまで、長い長い日々がありました。


 当時は、自分に何が起こっているのかわからず、ただただ発作に翻弄されているだけだったように思います。



 思えば私は、発作のことについて、親や友人、周りの人にちゃんと相談をしたことがありませんでした。

 子供時代にパニック発作を患っていたことを、30代の大人になってからごくごく親しい友人にだけ話したことがあるのみです。


 これは「言ってはいけないこと」で、「助けてくれる人はいない」ものだ。

 ずっと、そういう思い込みがあったんです。



 なので、自分のパニック発作のために、こころの専門病院に行ったことがありません。

 発作を起こしていた当時は、それは思いもよらないことでした。


 誰にも相談しなかったから、長い期間パニックに苦しみ続けていたのかもしれません。



 幸いにも、高校入学直前に症状は治まり、30代になった今では、発作を起こすことはほぼありません。

 時々体調が悪いときなど、胸の中に小さな予兆を感じることもありますが……自分自身で抑制できるようになり、

 ごく普通の生活の中では、発作の心配はなくなりました。


 15歳で発作を起こさなくなった時、本当に心からホッとしたことを覚えています。

 でも「パニック発作が起きなくなったから、すべてが終わり」ではなかったんです。


 いつの間にか子供時代のパニック発作経験は自分の中で強烈なコンプレックスに変わっていました。


 そのことにはっきりと気づいたのは、30代になってからのことです。

 それは乗り越えられないままで眠っていた自分の中の葛藤や痛みを再認識する出来事でした。



 私はずっと子供時代の経験を「自分の弱さ」だと捉えて目を背けてきました。


 だけど大人になった今。

 縮こまったままでいる「子供時代の自分」を掬い上げてあげたい。


 他人がどう思おうと、せめて私くらいは、私を救いたい。

 そう考えるようになり、これを書き始めました。


 今現在パニックの不安と闘っている方達へ、立ち向かう小さなヒントになり得ることを願って。

 私の子供時代に経験したパニック発作とその克服、辿ってきた経緯をお話させてください。



【おことわり】

 パニックを起こした時の症状を「パニック発作」と表現していますが、現在まで一度もこころの専門家に相談したことがないため専門的知識に欠けている可能性があります。

 あくまで、いち個人の体験談として読んでいただければ幸いです。

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