【本編完結、SS更新中】修学修学旅行で学校イチ可愛い子がスカウトされたら、告白されて遠恋が始まり10年経ちました。コロナで2年逢えなかったから、今夜泊まる⁉︎えっ⁈俺、どうしたらいいの⁈

茶々アルト

第1章 彼氏と彼女と遠距離恋愛10年目 ※魚が苦手な方はご注意下さい。

第1話 彼氏と彼女の2年ぶりの再会


ある日、東京から飛行機に乗って会いにきた彼女が、空港からそのまま海まで、ドライブしたいと言い出した。


彼女とは、中学からの付き合いで、もうすぐ10年が経つ。


中2で九州の南の県から、九州では1番賑わっている県に、修学旅行に行ったら、博多でスカウトされた。


で、スカウトの人にむかって、なぜか俺を指差して、


「彼氏がいてもいいなら、いいですよ」


って、その瞬間に、公開告白、強制彼氏、んでもって、遠恋決定した俺、村上春馬と神城明日菜。


でもさあ?


確かに明日菜は可愛いけど、いきなり遠恋だし、中2なんて、厨二病なんて言われるほど、思春期まっさかりで、未来なんて、まったくわかってない年齢だぞ?


なんか俺の班と明日菜の班に、カップルがいて、強引にふたつの班で、同じ計画を勝手にたてて、修学旅行をまわってただけだし。


その当時から、明日菜は、学校イチの美少女って、言われてだけど。


中2の頃の俺は、初恋さえまだのガキで、まわりから、本当に強制的に、彼氏にされたんだ。


女子を好きになった経験もなければ、ろくに話したこともない中学でいちばん有名だった神城明日菜。


名前と存在くらいは知っていたけど、なんなら俺のいた野球部は、先輩も後輩も同じ学年のやつらも、明日菜に告白しては、片っ端からフラれてたけど。


俺とは、まったく違う世界の子。


俺からしたら、


ー異世界代表?


リアルの恋愛なんて、想像したことさえなかったから、違うクラスの明日菜のことは、よくわからなかった。


なんなら女子の外見も性格も、異星人みたいだと感じていたし。


ちなみに俺には、年子の兄がいる。


地方公務員の父とパートの母と従兄弟たちもみんな男ばかりという男世帯で育った。


年子の兄弟を育てる母が逞しすぎて、女子全員をキラキラの異星人に、みせていたのかもしれない。


明日菜に告白されて戸惑ってたら、修学旅行で、明日菜と同じ班だった女子たちから、脅されてOKさせられた。


ー女って、マジでこわい。


はじめて、母以外の異性に恐怖を覚えたのを、いまでもよく覚えている。


そんな様子をみていたスカウトマンだって、すぐ別れるだろうって、軽いノリで、まあ彼だけならって、OKしてたし。


まさか、遠恋のまま、まる10年続くなんてなあ。


まあ、明日菜が東京に行って、地元を離れて寂しくて、たまに電話で泣きながらも、頑張って仕事してる姿を、高校の頃の俺は、まだ、いろいろな媒体でみてたから、


俺なりに、これでも頑張って、勉強して、一応そこそこの大学卒業したんだ。


東京を拠点に全国展開してる、これまた、そこそこの大きさを誇る企業に入社したし。


一応、頑張ってたよな?


東京の大学は、経済的にも学力的にも諦めたけど、年に数回しか逢えない彼女のためにさあ、俺なりに必死で就活を頑張ったんだよ?


東京に本社ある企業ばっかり、リモートで就活頑張ったんだ。


なのに、いまだに、遠恋継続中。


本社勤務じゃなく九州支店に配属されたのは、単に俺の母校の大学が福岡にあったからだと思いたい。


リモート面接で、女優の神城明日菜が恋人だから、東京本社勤務になりたいんです!って発言が、ただのキモオタだと思われたから、とかないよな?


だって、いまや明日菜は、主演映画もやれるくらい大人気女優になってるんだ。


中学でも演劇部のエースだったしな。


ちなみに俺は、野球部の万年補欠で、ほぼマネージャー化してたっけ?


なんで野郎相手に、球拾いじゃなく掃除や洗濯してたんだろ?


よく考えたら、三年がやる仕事じゃないよな?


あれ?


マネージャー化したのって、明日菜に告白されてすぐだったような?


あれ?


もしかして、俺ってイジメられてないか?


そういや、よく上履きや教科書無くなったり、不自然に破けてたよなあ。


「げっ、マジか?」


いまさら気づいて口に出したら、となりで変装のために伊達メガネと、いまや当たり前になったコロナ対策マスク姿の明日菜が、不思議そうに助手席から、ハンドルを握る俺を見てきた。


ちなみにこの日は、ようやくの緊急事態宣言解除で、約二年ぶりのデートだった。


言わずとしれたコロナは、遠恋の俺たちを容赦なく切り裂いた。


ーなんてこともなく、


俺たちは、特に変わらない遠恋生活を過ごしていた。


明日菜は、大学には進学しなかった上に、舞台は中止で、恋愛ドラマと今年に入っては、いまんとこ映画の数本だけ主演とかで、充実した2年だったみたいだけど。


いきなり、リモート授業になって、就活も何もかもが狂いまくった俺の大学生活。


仕送りもコロナの影響で減らされて、かわりに、道路警備員の夜間バイトやトラックの集荷場で、力仕事に精を出しまくった。


九州イチの繁華街をもつ福岡とはいえ、同じ市内にある大学のキャンパスは、海と山に囲まれた田舎だ。


福岡といえど九州地方は、就活に運転免許は、必要不可欠で、俺はトラックの運ちゃんのMTさばきに魅せられたこともあり、普通免許を取得した。


免許とったら、車ほしくなるだろ?


マニュアルなんて、レンタカーもあんまりないし、あっても初心者の俺にはハードルが高いスポーツ車とかだし。


そうなると、レンタカー代もバカ高いし。


リモートでろくにわかんない授業うけて、調べて、卒論書いて、車のローンを絶対大学で返すなんて、バカな計画たててバイトしてたら、あっという間に寝落ちして、明日菜のメッセージを既読スルーするのも当たり前で、


ーあれ?俺って、なにげに、ひどくね?


そういえば、明日菜は、あの時の既読スルーを、どう思ってたんだろう?


既読スルーどころか、既読すら、かなり待たせてたような?


大学のすぐそばにある海を目指して、信号やカーブなんかで、クラッチ踏んでは、ガコンと愛車のデミオのギアをあげたり下げたりする。


ちなみに5年落ちで買ったデミオは、ディーゼルで2、3速時の加速感が半端ない。


たまに、アクセルワークを間違えると、いきなりぐんっとGを感じるくらい加速する。


なんかエンストしないための補助?っぽいけど。


ってか、なんでマニュアル車に、アイドリングストップ機能ついているんだろ?


信号で止まってさあ行こう!って瞬間に、アイドリングストップかかると、最初はエンストかと思って、本気でびびったぞ?


いや、マジ勘弁。


地球には優しくないけど、アイドリング機能は、ごめんなさい。エンジンかける度にOFFにしている。


だって、マニュアルでの右折時に、心臓にわるい。


大抵の場合、信号待ちで、ひどい時は右折や左折待ちの時だってある。


そんな車だけど、ガソリンの教習車やオートマの社用車とも違う楽しさがあって俺はすっかりこの車の虜だ。


だいいちアイドリングストップは、他のスポーツ車にもついてるし。


軽油は、お財布にも優しいし。


本当は福岡空港からなら、都市高使った方が、便利で近いけれど、明日菜が福岡の町並みをゆっくり楽しみたいと言ったから、のんびりとデミオは、渋滞の中をすすんでいた。


福岡の都市高速を西九州道路にむかって行くと、けっこうな高さになっていく。


その割にフェンスやガードレールも低い上、合流も車も多いし、海の上通るような感覚あるし、右手に見える博多湾の大型タンカーとか珍しいけど、スリリングすぎる。


マニュアル車自体を探すのが大変で、ようやくであえたこの車は、前の持ち主の趣味かボディは白いけどサイドミラーだけ赤くカラーリングされている。


しかも、ディーゼルで排気音がガソリンに比べると大きく、無意識にスタート時にエンジンをふかしてしまうこともある。


マニュアルあるあるなんだけど、それ以外にも、なぜかよく絡まれてしまう。


俺は真面目にゴールド免許狙っている安全運転第一主義なのに。


そういう意味でも、都市高速は、正直言って苦手だから、助かったけど。


俺、高所恐怖症だし?


まあ、さっきからギアをガコガコさせてるのは、渋滞はまってたからだけど。


渋滞の時だけは、オートマが羨ましいってのは、たまにきくけど、両脚、両手が動くから眠くならないし、運動になる。


そんなふうに、視界に無意識にはいる、いろいろな車をみてたら、やっぱり緊急事態宣言あけたから、他県ナンバーが一気に増えたような気がする。


「東京からきた私がいうセリフじゃないけどさ、やっぱり他県ナンバー多いね?」


前を走る野田ナンバーをみながら、明日菜が言った。


「そうだよなあ。野田って、どこだよ?はじめてみたぞ?」


「千葉県だよ?撮影で一回通ったことがあるよ」


「へー、千葉か〜、って、千葉県⁈」


何時間かけて来てんの?すげーな。


「いや、リスペクトだわマジ。あっ、けどバイト先の長距離やチャーターの運ちゃん達は、普通に運転してるんだよなあ。しかもたまに下道でさあ」


「下道?」


「一般道だよ。九州なら国道三号線だったり10号線だったり、関門トンネル抜けて山口県入ったら国道2号線」


「へー。時間があったら、いつか行ってみたいなあ。のんびりマイカーで旅行とか」


「まあ、コロナ騒ぎが落ち着いたら?だよな。俺なんかいまだに、帰省させてもらえない」


「私もだよ。特に東京だもん」


「九州での福岡も似たようなあつかいだな」


「春馬くんが福岡でよかった。じゃないともっと逢えなかったかも」


明日菜が嬉しそうに笑って、ギアにかかる左手に手を重ねてきたけど、


「明日菜、ごめん。運転の邪魔」


「あっ、ごめんなさい」


一瞬で、じゅんとうなだれる明日菜。


いや、手慣れた感じで、ギアに置く手に手を重ねてきたから、ビックリしだけだし。


そういえば、明日菜がヒロインしていた単発のドラマで、こういうシーンがあったな?


ーだから、か。


俺は、無意識のうちに、下唇を前歯で噛んだ。


大丈夫。


こんなことくらい、どうってことないだろ?


だって、俺は明日菜のもっと過激なシーンを、たくさん、見てきたじゃないか。


「いや、信号待ちとかなら大歓迎だったんだけどな」


「ううん、私もごめんね。車の助手席なんか撮影くらいでしか乗らないから、わからなくて。恋人ならあたりまえなのかなあって、思ってたから」


「えっ?」


「えっ?」


「へっ?」


「へっ?」


「ええ〜っ?って信号変わったな」


「ー春馬くん?」


明日菜の声が一瞬で低くなった。


べつに、からかったわけじゃない。


俺は明日菜にバレない程度に小さく息をはく。


「それは、明日菜といるから」


「もう!甘えられない時に限って、甘いセリフいうの禁止です」


ペシって左手を叩かれた。


まあ、確かに明日菜といるのが1番だけど、渋滞を抜けてストレスなく運転できるから楽しいのも確かだ。







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1月中完結保証で、ハッピーエンドです。


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