人殺したら、ループ世界に入ってしまった

@konohahlovlj

第1話 始まり

 「タケシ!起きなさい!!」

下から母の声が聞こえる。

 もう起きてるよ。そう思いながら、タケシは、布団で寝転がっていた。

 枕周りを手でパンパン叩き、自分のスマホを探した。見つかると、顔に近づけ、電源ボタンを押した。

 何時だろ、10時35分。まあ、夏休みだしいいか。お母さんもうるさいな、何時に起きようが勝手だろ。

 また、下から彼女の声が聞こえた。「こらー!タケシ、片付かないから早く食べてしまいなさい。」

 はぁ〜、可哀想だし降りてやるか。

 タケシは、スマホをパジャマのポケットにしまい、欠伸しながら立ち上がった。のさのさとドアのぶを引き、自室を出ると、ぎしぎしと音のする階段を下まで降りた。

 下に着くと、一階の布団がすでにすべて片付けられていた。

 この家は、下に母と父、2階のそれぞれの部屋に大学生の姉とタケシが寝ている。

 父はもう起きているみたいだ。いつも遅いくせに。

 キッチンまで行くと、母が僕に気がついた。

 「あ〜、やっと起きた。はやく、食べてしまいなさい。みんな食べてしまったわよ。」

 姉ちゃんももう起きてるのか、いつも遅いくせに。

 椅子に座ると、テレビがついていることに気がついた。なんかのイベントの中継をやっている。複数の子供達と流行りのお笑い芸人が写ってる。

 つまんなそ笑

 心の中で馬鹿にすると、タケシは、すでにテーブルに用意されている朝食に目をやった。

 小さい目玉焼きとトースト一枚、そして、コップ。テーブルの真ん中に牛乳とバターが置かれている。

 タケシは、いつも通りだな、と久し振りに思い、パンに手をつけた。

 タケシが食べ終わるくらいに、母が我が家の愛犬、リンを散歩に連れ出した。

 洗ってくれる人がいなくなったので、僕は、自分の食器を自分で洗わなくてはいけなくなった。僕は、動きたくなかったので、椅子を横向きに座り、スマホをいじり始めた。

 今日は、土曜日か。夏休みだから、わからなくなるな。8月1日、もう8月か。

 タケシは、今夏も、何もしてないことに気づいた。

 来年は受験だし、高校生として、遊べるの今年が最後だよな。旅はしてみたいな。誰誘う?ユウタ、カズキ、タケ、、、タケはいいか、なんか苦手だし。

 タケシは、ユウタのLINEを開いた。

(なあ、折角夏休みだし、どっか旅行行かない?)パパパッとスマホを叩くと、送信ボタンを押した。

 続けて、カズキのLINEを開いた。

 ああー、さっきのコピペしとけば良かった。

 (夏休みだし、旅行行こ!)これでいっか。

 送信ボタンを押した。

 タケシは、そのまま、スマホでゲームしだした。

 数分経つと、ユウタから返信が来た。開くと、(どこいく?)とだけきた。

 タケシは、カズキのLINEに既読が付いているか気になったので、彼のLINEを開いた。

 未既読。あいつは、真面目だからな。勉強とかしてんのかな。あ、夏だから、心霊スポットとかどうだろ。

 タケシは、スマホをパパパッと叩くと、(山井市 心霊スポット)と検索した。

 スクロールしながら、確かめる。

 山井霊園がヤバい、、、戦争で使われた公園、蛇公園、、、昔、大空襲の被害を受けた跡地、山井市がヤバい

 しょうもな。

 山井霊園の噂はよく聞くけど、地元すぎてイマイチ。蛇公園は、小学生の頃よく遊んでいたけど、あれは完全デマ。

 近くにはないよ。はぁ〜、やっぱどっか旅行行くか。行くなら、緑あふれるとこがいいよな。あいつらが、いいと言うか知らんが。

 タケシが、スマホ画面をゲームに戻すと、急にLINE通知が来た。カズキだ。

 開くと、(なあ、旅行もいいけど 心霊スポットいかん?いいとこあるよ。あの山の上のラブホ廃墟 出るらしい 俺のお兄ちゃんが友達から聞いたらしい)

 おお、いいとこあった。

 タケシは、ウキウキし出した。カズキに(行こうぜ。面白そうじゃん。)と返信すると、ユウタにも、そのことを連絡した。

 ワクワクしだすと、体に力がみなぎってきたようで、タケシは、すくっと立ち上がると、食器を洗い場に持っていった。 

 食器をさっさと洗い終わると、スマホを手に持ち、返信を確認した。

 (いいよー なあ、タケも行っていい?なんかあそぼって誘ってきた。)と、ユウタから、返信が来てた。

 タケシは、悩んだ。

 えー、別にいいけどなんか苦手なんだよなー。妙に優しいのが、きもい。まあいいけど。

 タケシは、そう思うと、(いいよ)とだけ返した。

 しばらくしたら、カズキからも返信が来た。(おけい、タケも来るらしいな。カズキが言っていた。あいつ、結構楽しみにしてるわww)

 俺も楽しみだよ

 そう思うと、タケシは、フッと軽く吹き出してしまった。

 (いつにする?)とカズキに送ると、すぐに(いつでもいいよ)と帰ってきた。そのすぐ後、またカズキからLINEが来た。

 (ユウタから明日は?ってきた。だから、明日でいい?)

 ユウタ、相当楽しみにしてるな

 タケシは、(分かった)とだけ返した。

 僕は、心が躍りだした。心霊スポットは、僕にとって初の試みだからだ。

 タケシは、自室に戻ると、布団を持ち上げて、母の言いつけ通りに手すりにそれを掛けた。

 昼の12時を回った。ちょうど時計を見ると、針が12を指していたのだ。ラッキー、今日はいいことあるな、なんてことをスマホゲームしながら、考えていると、彼のスマホ画面に通知が届いた。

 タップしてみると、カズキから、長文LINEが来ていた。

(明日の夜7時、防災集合 自転車で来て あと、夜ご飯は食べといて あと、廃墟まで片道1時間半だから、親に遅くなるって言っといて)

 防災とは、蛇公園のことだ。災害があったら、避難場所になるから、タケシたちはそう呼んでいる。

 タケシは、(おけい)とだけ返すと、先ほどのウキウキはもうないようで、ダラダラとスマホゲームに戻っていった。

 


 

 

 

 

 

 



 

 

 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る