第3話
事件とは突如おきるものである。
そう、それは数学の時間だった。
「隣とここの問題の解き方を考えろー。」
そして、隣の普通子ちゃんと向き合う。
「私の名前、ちゃんと覚えてくれてる?」
えっーと。なんだっけ。
いたって普通子。
じゃ無いか。
「山田…、花子?」
「……うそ。さいてー」
この後、山田花子にじとーって目で見られた。
ちなみに、早坂ひなという名前らしい。
頑張って覚えておくか。
やばい、忘れそう。
せっかくだし、地味子ちゃんの名前も確認しておくか。
そう思い教卓に行く。
そこで、彼女が座っている席と席順の名前が載ってる紙を確認すると、ふむ、彼女は1人でスマホを触っていて友達がいないという事と名前は佐藤怜という事が分かった。
桃田怜推しの佐藤怜か。覚えておいてやろう。
布川の下の名前は、どうてもいいか。
その日の放課後、地味子じゃなくて佐藤さんに呼び止められた。
「あの、このフルセブのチケットあげます。」
嘘だろ。
フルセブはまだ、大人気とまでは言えないが、そこそこ人気はある。
だから、ライブの時はホールの割にファンは多くチケットは当たりにくい。
ちなみに、俺も落選して涙で枕を濡らしていた。
なのに、彼女はライブの券をくれると言っている。
正直、ものすごく欲しい。
生みかんちゃんを拝みたい。
「だめだ。」
「…えっ?」
「せっかくのチケットなのにもらうなんてダメです。
これを当てた、君が観るべきだ!!」
決まった。
おそらく俺はファンの鑑だろうな。
悔しいが、人がせっかく当てたチケットで見るなんてできない。
「あのー、私いらないんで。しかも、当ててないし。
あと、そんな欲しそうで、我慢してる顔で言われても説得力ないですし。」
全然、かっこよく決まってなかった俺は結構ライブチケットをもらった。
「私は、観に行かないですよ。えっとー。この前のお礼です。」
ファンじゃ無いのか?観て欲しかったな。
「佐藤さん、ありがとう。あと、お礼するの俺の方なんだけどなぁ。」
「名前…覚え…。嬉…」
「ん?何かいった?」
「いいえ、何も言ってないですよ。山本くん。」
そう言って微笑む地味子から怜ちゃんを思い出してしまった。
なんか、かわいい。
いや、相手は地味子だぞ。怜ちゃんに失礼だ。
そろそろ、メガネデビューが必要かもな。
後、名前を覚える重要性を教えてくれた早坂虎子にも感謝だな。
えっと、なんか嫌な予感がする。
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