乙女ゲームの世界に転生したから悲劇を阻止しようとしたんだけど、運命の修正力が強すぎた。

仲仁へび(旧:離久)

第一章 運命の修正力

第1話 俺、転生



 俺は、乙女ゲームの登場人物に転生したようだ。

 ただし、モブだがな。

 ヒロインでも悪役令嬢でも、親友でも攻略対象でもない。

 そこらへんにいる、一般人だ。

 両親は養鶏場を営んでるけど、そんなのこの世界では他にもいるし。


 ゲームの名前は何だっけ、「カルマ・ストーリー」だったか。学園で青春を送る系の話。


 攻略対象者は業を背負って生きている、生きていく。っていう内容だったな。


 あー、ちなみにこの世界はちょいちょいファンタジー入ってるから、人間以外の種族もいるし、魔法もあるぞ。


 で、攻略対象者は三人。

 できる生徒会長ミュクゼ。

 生真面目で頭が固い、ハーフエルフの男性だ。


 次はムードメイカーなフレオン。

 人懐っこくてフレンドリー。

 コミュニケーション力の高い、獣人の男性だ。


 最後に、(ヒロインから見て)幼馴染のアウル。

 生真面目ってとこはミュクゼと同じなんだけど、若干ヤンデレが入っている。

 嫉妬深くて、気に入った人間以外にはちょいちょい言動が雑になるとこが傷だな。

 吸血鬼の男性だ。


 なんかこいつだけ欠点目立ってね?

 ファンの乙女たちはそこがいいとか、なんとかって話だけど。


 ともかく俺は、せっかくこの世界に転生したんだから、こいつらの業をなんとかしてやろうと思ったわけだ。


 ミュクゼの業は、同族殺しだ。といってもハーフエルフだから、血は二分の一なんだけど。


 掟が厳しいエルフは、めったに住みかの森から出てこない。

 そのため、彼らエルフが人間やら獣人やらがいる所に出てくることは少ない。


 きちんとした手続きをとって、人里に降りるならいいが、そうでない場合は厳しい罰が下されるようだ。

 けれど、ミュクゼの父と母やがその手続きをとらなかったため、一悶着あったらしい。

 ゲームでは、その両親がエルフ達と争ったときに、子供だったミュクゼが同族のエルフを殺してしまうとか。


 とりあえず、まずはこれを何とかしないとな。


 せっかく、原作の情報を持って転生したんだ。


 何やるって聞かれたら、当然原作改変。


 登場人物達が生きやすくなるための手助けだろ。


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