波打ち際君の世界は消え僕の世界が始まった

桜華 灯火

僕の世界

3年前、貴女は消えた。



テレビの音

「今世間で大注目の作品、空に星はある、今シーズンに映画化も決まっていますが、どうですか?

作者の西川由来(にしかわ ゆら)さん」


「はい、やっぱり緊張とかもありますね。最近特に色んな人に見てもらえて、良く感想とかを聴くんですけれども、ダメ出しされてると落ち込みますね」


(人だったら誰しもそうだろ!見てもらえるだけマシだと思えよ!)

僕は苛立っていた、いや、決してたどり着けない頂点を妬んでいるんだろ、そう思う。


「西川さん次の作品の展望とかはあるんですか?」


「いえ、それが全く無くて、探し回っているくらいです。」


ピーピーピー

「ちっ」

僕は小さく舌打ちをした。

書いていた原稿を雑に纏めると仕事に向かう。


「まもなく、電車が参ります」

駅に次は満員電車に乗り込む、いつもと変わらない作業、これをこれからも40年は繰り返すと思うと憂鬱になる。


朝の8時半には仕事を始めている。

僕は、勾配社(こうばいしゃ)に務めて2年目だ。

ここには、さっきの西川さんも所属している。

その分キツかった。


「おい!今山こっちこい、話がある」

朝から上司に呼ばれた。ツイてない


「はい、なんでしょうか?」


「実はな、西川さんに付いてた担当者が辞めちまってよ、で、代わりにお前が抜擢されたんだ」


ニシカワサン?ニシカワさん?西川さん?

「え!西川さんってあの西川由良ですか!」


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