第Ⅱ章 第8話 ~まるで大神官の様な、人の魂《アニマ》を喰らう術者だった~
~登場人物~
ノイシュ・ルンハイト……主人公。男性。ヴァルテ小隊の術戦士で、剣技と術を組み合わせた術剣の使い手
ミネア・ルンハイト……ノイシュの義妹。女性。ヴァルテ小隊の術戦士で、霊力を自在に操る等の支援術の使い手
ヨハネス……リステラ王国の大神官であり、メイ術士学院の校長。術士。男性。
深い
目を閉じると脳裏にはさきの戦いや、これから始まるであろう決戦の事ばかりが浮かんでくる。
ノイシュはため息をつくと、寝台から身体を起こした。
静かにノイシュは
ノイシュは強くかぶりを振り、思考を無理に中断させる。今夜は
不意に
――あの時、確かにミネアは異様だった。まるで
ノイシュは奥歯を
――一体、彼女に何が起きたのだろう。思い切ってこれから義妹に聞いてみるべきだろうか――
ノイシュはそっと眼を開けると、小さく頷いた。夜更けに女性の部屋を訪ねるのは気がひけるが、向かう先は義妹の部屋だ。それよりもあの出来事について、今のうちに理解しておきたい。せめて声だけでもかけておこう――
ノイシュは寝床から出ると被服
ノイシュはかぶりを振って気持ちを切り替えると、そのまま義妹の部屋へと向かう。途中で仲間とすれ違うこともなく目的の部屋へとたどり着いた。大きく息を吸って心中を落ち着かせると、ノイシュは扉を叩いた――
――返事はない。
既に寝てしまったのだろうか、そう思ってノイシュは扉からこぶしを離す――
「この部屋の方に、何かご用ですか」
後方からの声に慌てて振り向くと、自分より十歳は年上であろう女性が立っていた。
「あっ、ミネアと……義妹と話がしたくて」
緊張のあまり若い年上の女性に対してうわずった声を出してしまい、ノイシュは顔が
「それでしたら、先ほど私がヨハネス様のもとにご案内しました」
若い女給仕は表情を変えることなく言葉を発してくる。
「ヨハネス校長の所に……?」
思わずノイシュが眼を見開くと、使用人の女性はゆっくりと頷いた。
「はい、何でも
――やっぱり、あの異変のことを大神官に伝えたいのだろう……っ
思わずノイシュは彼女へと一歩前に進み出る。
「すみませんっ、ヨハネス様の部屋まで案内しれくれませんか、その、僕も心当たりがあって……っ」
不審に思ったのか、女給仕は一瞬だけ
「――かしこまりました、どうぞこちらへ」
こちらがお礼を言うよりも先に給仕の女性は背を向け、慣れた足取りで廊下を進んでいく。ノイシュは
廊下の突き当たりを曲がると、吹き抜けの
若き使用人に導かれるまま回廊をつなぐ階段を登っていき、ノイシュが小さく息を吐く頃になってようやく最上階まで
「――何ですか」
「夜分に何度も申し
「……分かりました。
女給仕は扉の
「あっ、有り難うございました……っ」
ノイシュは彼女に一礼すると、扉の前へと進み出た。取っ手を握り、そのまま押し出すと
「ノイシュ……」
不意に明るく広大な室内の中央に、ミネアが
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