第Ⅰ章 第3話 ~帰郷~
~登場人物~
ノイシュ・ルンハイト……主人公。男性。ヴァルテ小隊の術戦士で、剣技と術を組み合わせた術剣の使い手
ミネア・ルンハイト……ノイシュの義妹。女性。ヴァルテ小隊の術戦士で、霊力を自在に操る等の支援術の使い手
マクミル・イゲル……ヴァルテ小隊の隊長。男性。ヴァル小隊の術戦士で、増強術という支援術の使い手
ウォレン・ガストフ……ヴァルテ小隊の隊員で、戦士。男性。あらゆる術を無効化する術耐性の持ち主
ノヴァ・パーレム……ヴァルテ小隊の隊員で、術士。女性。様々な攻撃術の使い手
ビューレ・ユンク……ヴァルテ小隊の隊員であり、術士。また修道士でもある。女性。回復術の使い手
目の前で広がる光景に、ノイシュは声を詰まらせた。
――……何だ、これ……っ
外壁はあちこちで
「ベルム村長、一体どういうことです」
ノイシュは
「うちの管理と
「いやな、教会の方はちゃんと手入れをしっとったんだがな、その、何しろワシ一人では手が回らんでな……っ」
村一番の指導者は消え入りそうな理屈を垂れると、慌てて廃屋の中へと消えていく。
思わず隣に顔を向けると、困惑しつつもどこか
――仕方ない、行こう……
ノイシュはかぶりを振ると、雑草を
ふとそこで眼が
ノイシュは父の形見を拾うと、たまらずにかぶりを振った。きっとどの部屋も似たような状況だろう。住む者のない家屋は
「まぁ、しばらくゆっくりするといい……」
不意にべルムが向こうの部屋から姿を見せるや、そのまま足早に去って行こうとする。そんな彼に、ミネアが近づいていった。
「あの、私達の他に、誰かここを訪ねて来ませんでしたか……」
村長は静かに首を振った。
「いんや、誰一人帰って来んかったよ。オドリックはもちろん、あの孤児達もな……あんたらだけさ」
ノイシュは思わず顔を伏せた。期待はしていなかった。でも――
「じゃ、わしは行くよ」
「村長様、有り難うございます」
去っていくべルム村長とお辞儀するミネアの姿を見据えながら、ノイシュは再びため息をついた。
「……ミネア、とりあえず今夜は教会で寝泊まりしようか」
義妹は顔を上げると、ゆっくりと首を横に振った。
「うぅん、ずっとこの家を放っておいちゃったし」
そしてこちらに振り向くと、彼女は静かに微笑んだ。
「このまま帰れないよ、片付けなきゃ」
「……そうだな。これ以上、そのままにしたら本当に崩れちゃうかもしれない」
義妹が静かにうなずくと、床に散らばった木片を集め始めていく。ノイシュはもう一度だけ息を吐き、彼女と同じく腰を屈めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます